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非野球もの/チップスタードーム千葉に行った話

 一昨年の事で恐縮なのだが、千葉公園内に新しくオープンした「ドーム競輪場」である「チップスタードーム千葉」に行った時の話。
 千葉競輪場が閉鎖になりそうだ、さあどうしようという話になっていた時「日本写真判定」(現JPF)という、公営競技で行われる「写真判定」に使われる特殊カメラの開発をやっている会社が100%出資して新しいドーム競輪場を造りますと名乗り出た時の衝撃は結構大きかった。今時公営競技場が新設されるなど考えにくかったからだ。
 が、250Mトラックの、車券販売施設やその他付随施設のない、ドームがでーんとひとつあるだけの施設だという。それだと競輪ではなく「ケイリン」のための施設だろう。大体の事はイメージできた。
 従来の公営競技場のイメージとは一線を画す近代的なドーム。行われたのは学生自転車競技連盟主催の国際自転車競技大会。ギャンブルでないイベントに使われないと体裁も悪かろう。東京五輪の前に出来ていたらとつくづく思う。

美しい250Mバンク。

 うん、確かにこれは「公営競技場」ではない。ゴミを散らかしてはいけないし、選手にヤジなど飛ばしてもいけない(輪界には走る前の選手にバカヤローとかいう客が普通にいる)。周辺の治安を悪くするような行為はもっての外。そう思わせる十分な説得力。まず善良な地域住民に受け入れられなければいけない。
 だが主たる目的はギャンブルである。ただし「競輪」ではなく、このドームでしか行われていない、世界共通の「ケイリン」に近い規格とルールにて「PIST6」という通称で行われている。
 出場するのは競輪選手会に所属する競輪選手だが、KEIRIN.JPでも扱わない別物となっている。投票行為の一切は公式投票サービスで行うので、車券売り場などというものはない。
 なので施設全体がスマートでオシャレなのだが、Youtubeで配信されているレースの中継を観ていると、客がいないのと(入場料2,000円はちょっと)、組み合わせによってはオッズがついていなかったりする(締め切りまでにはついているのだろうか)。
 これでちゃんとやれているのだろうかと心配になる。このオシャレさから、おそらく従来の「競輪ファン」はすっ飛ばして、善良なカタギ層にアピールしているのだと思うが、たぶんそれが間違っている。
 どう無害さ健全さを、若年層やファミリー層にアピールしようと、所詮はギャンブルである。PIST6がやろうとしている事は、今までギャンブルなど無縁だった人達に「ひと口乗りなさいよ」と言っているに等しいわけで、普通は良心の呵責がある。
 収益を上げるには、既存の「競輪ファン」をせめてイギリスの競馬ファン並には紳士らしい振る舞いを身に着けさせた上で(笑)手放さないようにする事に知恵を絞った方が良いように思う。新規のファン層と同じ空間で過ごす事で彼らも洗練される事だろう…と考えるのは甘いだろうか。1千万円の配当が出ましたみたいなニュースでもあれば興味を示す人も増えると思うのだが。

串カツもモツ煮込みもチューハイもありません。


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