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芽鱗のほころび

 庭のマルバノキの冬芽がほころび、赤い芽鱗の噛み合わせが少しばかりずれて初々しい浅緑色がのぞいていた。冬が終わって木々たちが目覚めたのだ。このところの暖かさで冬芽の中の新葉が成長して、硬い芽鱗の殻を押し上げたのだ。僕は、これを見ると春の到来を実感する。

 昔、お世話になった植物の先生が、「植物を学ぶものは、この芽鱗のほころびを見て、その新鮮な緑色に感動するようでなければならない」と言っていたのを思い出す。



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