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日記帳

 何をやっても長く続かない僕でも、日記と植物とパソコンと坐禅は例外で何十年と続いている。日記などは、その日の出来事や考えたことを書かないでは眠れない。昼間に不快なことがあったり、自分に嫌気がした日には、それを日記に吐き出さなくては気持ちが収まらないのである。また、無常に過ぎ去って行く時間を少しでも引き留められるかのような錯覚を持てる。

 僕の日記は、自分の気持ちを文字にして吐き出すためのいわばゴミ箱みたいなものだから、後日、読み返すことも無いし、絶対に他人に見せるものではない。だから、分厚く溜まった過去の日記は、一応保存はしているものの、それが入った箱の扉には「僕が死んだら、一緒に焼却すること」と書いてある。

 でも、こう毎日向き合っている日記帳とペンには、少し贅沢して牛革のノートとクロスの万年筆を使っている。もう、このコンビは30年以上になるだろう。ますます、愛着が出てきた。

 以前、山麓の草原で老人とお茶をご一緒したことがある。息子夫婦に連れてきてもらったそうだ。おばあちゃは何歳かと聞いたら104歳だという。驚いて、長寿の秘訣は何かと聞いたら教えてくれた。その一つが「日記を書く」ことだという。おばあちゃんは女学校の頃から毎日欠かさず書いているというから80年以上も書き続けていることになる。毎日大学ノートに1ページが日課だという。現在も1ページだそうだ。ただし、現在は文字が大きくなったそうだ。また、主に何を書くのと聞いたら、隣に座っている息子の嫁を指差した。隣の嫁さんは笑っていた。
 おばあちゃんには他にもいろいろ教えてもらったが、この「日記を書く」ことがボケずに元気で長生きするための秘訣だと確信した。






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