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鹿島灘にて

山小屋が小さな盆地の中にあるせいか、時々、地平線や水平線が見たくなる。そんな時は、決まって鹿島灘に行く。太平洋の遠くの水平線を眺めていると次第に開放感が溢れてくる。なぜだか晴々としたような嬉しいような感情がこみ上げてくる。

 はるか遠くの水平線の上に小さな白い点を見つけた。船だ!大洗港に向かう大型フェリー船『サンフラワー号』かもしれない。北海道から戻ってきたのだろうか。止まっているようだが、少しづつ動いている。

 今日は気圧が去って、よく晴れたが、強い東風が吹いている。海は少し荒れていて、真っ白な波が浜に繰り返し押し寄せている。砕ける波音が絶え間無く聞こえる。


 しばらく眺めていたら急に寒くなってきたので、丘の上のカフェに入った。客は僕一人。三方がガラスのラウンジから海がよく見える。深々したソファーに座って熱いコーヒーを飲む。テラスは春の陽光に溢れていた。

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