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絵日記のような一日

僕の小屋にはクーラーがない。朝夕はいいものの、こう暑くては耐えられない。そこで、峠を越えて隣町まで「かき氷」を食べに行った。抹茶あずきを食べて一旦は暑さが治まったが、よせばいいのに、帰り『国指定史跡 真壁城址』との案内板を目にして、つい見学したくなって寄ってしまった。日差しが強く照りつける午後一時半頃のこと。訪れている人は僕の他に誰もいない。日陰の全くない野原をあちこち歩き回った。歩いているうちに「オオ!ここが虎口か」「二の丸はこの辺か?」「ここは曲輪か」・・・だんだん面白くなってきて熱中症のことなど全く心配しなかった。

左奥のブルーシートは発掘中

この真壁城は、平安時代末(1172年)に大掾氏の一族である平長幹が入部し、以降、その一族が真壁氏と名乗って、1602年に秋田県角館に移封されるまでの400年間、ここを居城とした。その間、戦や内紛に明け暮れていた。「会所」とは、庭園を前にして酒宴を開いたところだという。大量の盃や天目茶碗、茶臼などの茶道具が出土したそうだ。現在は、一面の草原であるが、当時は池のほとりに館が建っていて、ここで武士たちが戦の合間のひと時をくつろいでいたのかと思うと感慨深い。


小屋に戻って、次は近くの集落のお祭りだ。この八幡神社の「片野排禍ばやし」は茨城県の民俗無形文化財に指定されている。地元集落の若者や女性、子供が山車の綱を引いて集落を練り歩く。軽快で独特のリズムを持ったお囃子が雰囲気を盛り上げる。山車の上では、狐や狸、オカメやヒョットコなどのお面をかぶってお囃子に合わせて舞う。山並みのシルエットを背景として、そろりそろりと田舎道を移動する。20年ほど前に初めて見学に来た時は、参道にたくさんの屋台が出て、「今日は祭りだからいいんだ」とコップ酒を振舞ってくれた。時代の変化だろう、今回は屋台はなく、振舞ってくれたのは「おにぎり」だけだった。
普段は半分眠っているような集落だが、今日は違って、多くの着飾った若い女性や幼い子供たちが山車の綱を引いている。年配のおじさんたちはその姿を見て嬉しそうだった。

峠道ーかき氷ー城址見学ーお祭り。なんだか小学生の夏休みの絵日記みたいな一日だった。

おまけ


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