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マンボウやしろ/あの頃な

コロナになって変わったことは色々あるも、
そのうちの大きなひとつは、
テレビを売り払いラジオを聴くようになったこと。
力を失ったとはいえテレビは、
まだまだ大きな影響力を持つメジャーなメディア。
それに対しラジオは、
マイナーメジャーといった位置づけだろうか。
多くの人が聴いているものの、
テレビほどの注目度や影響力はない。

それだからかテレビが、
スポンサーの意向やコンプライアンスに喘ぐ今も、
ラジオは比較的に緩く個人的な話題も多い。
瞬間的な面白さも多いけれど、
パーソナリティの人柄からにじみ出る、
これまでの経緯も含めた
じわじわくる面白さにあふれる。
パーソナリティやディレクター、
プロデューサーといった作り手側だけでなく、
リスナーの関与が大きいのも特徴。
番組に参加する、一緒に作り上げる喜びがある。

著者のマンボウやしろさんは、
ラジオパーソナリティとして活躍する人だ。
ショートショートの物語が、
コロナを通じて緩やかにつながる、
一見、不思議な雰囲気な物語。
物語だけでも面白いけれど、
彼のラジオ番組「スカイロケットカンパニー」
を聴いていると、さらに面白い。
ラジオ番組のひとつのコーナーを
聴いているような感じで読んでいる気分。
かと思えば、この物語こそ主で、
ラジオ番組の方が劇中劇のような。
入れ子入れ子で世界が引っ繰り返り、
どれが真実でどれが虚構だか錯覚させられる。
面白いなあ。物語だなあ。
好きだ。

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