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五十嵐隆久/コンクールシェフ!

旨いラーメン屋があると聞いて、
行ってみるとそれほどでもないことがある。
雑誌やウェブであれば、宣伝広告の絡みで、
真実を曲げやむをえず、旨いと言ったかもしれぬ。
ただ知人友人のおススメでも、
しばしばそういうことがある。
かと思えば、自分がオイシイと思ったラーメンが、
そうでもなかったよと言われることもある。

たぶん舌に絶対はなく、
それぞれが食べてきたものが大きく影響し、
その日の体調やコンディションにも左右され、
それぞれの好みは人によって違うのではないか。
そんな風に思う。
だから美味しい料理を客観的に決める。
そんな試みは成立しないのではと考えてしまう。
客観的な美味しさの順位があるのではなく、
好きか嫌いかの好みの違いがあるだけで。

この物語では、
キャリア10年に満たない料理人たち、
ヤングジェネレーションたちが
日本一の座をかけて競う。
和食・中華・イタリアン・フレンチ、
変わり種のポルトガル料理。
ただでさえ料理は優劣ではなく好みと思うのに、
違う趣きの料理で順位がつくのだろうか。

きちんとつくのである。
料理は好みと思っている僕でさえ、
このコンクールの結果には納得させられる。
そして厳しい批判を受けた料理も、
とんでもなく旨そうである。

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