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2018年 初個展『青い記憶』

(※この記事は2018年に下書きされていたもので、気が向いたので今更だが公開する。2020年8月3日現在)


今回展示したのはほとんどが過去学生時代に描いたもの。

今まで趣味の延長で書き溜めていたから原画を販売することは考えてなかったし、売っていいものなのかさえ悩んだ。
ただ、私が積み重ねてきた作品たちを見てもらう機会は欲しいと思っていたから、これをその機会として全てを展示することにした。閉じたノートの中の私の記憶を開示して、過去を思い出す展示にしようと思った。

今に至るまで、描いてる私自身に数々の変化があって、それが絵の中の女の子にも自然と反映された。
誰しも変わっていくし、変わっていくことは必要だと思う。
思い出すから過去は過去になるし、今を確認できる。
それを「記憶」として今いる地点から眺めたかった。"そうだった自分"を客観視して安心したかった。ちゃんと進んでることを自分で認めたかった。表向きは過去作品を一挙公開という形になっているが、自分の中ではそんな気持ちで作っていた。思い出すのは私だけで、見る人はただ絵を眺めるだけで楽しんでくれればいいと思っていた。

しかし実際はそうではなかった。
描いた絵はSNSに投稿してタイムラインに現れ、誰かの目に飛び込み、それを見た人のその時々の記憶の一部になった。どうやら絵に潜む記憶は私一人だけのものではなかったらしい。
絵を見た人の、その時の生活や状況、気持ちが絵に投影されて、その人だけの記憶が生まれる。今回の展示で過去作品を当時ネットで見ていた方が、その絵で当時の記憶と感覚が蘇ったそうだ。
そこで初めて、「青い記憶」が私の独りよがりではなく見に来てくれた人のものにもなったように感じた。

2020.8.3追記

当時まだ会社員で、フリーのイラストレーターになるか否かを悩んでいた頃だった。もしも展示をするならというつもりで予算を聞くためギャラリーのオーナーへ声を掛けると、いつの間にかその場で開催日まで決められてしまった。

不本意ながら、それが間違いなく転機だった。

展示を初めて経験して、作品が実際に誰かに届いていることとその責任を感じた。そういう意味でも、この初個展は私の中でとても重要な出来事だったと感じている。



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