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雷操の零 1章-2

活気づいた、綺麗な村。

アオ「この村は、もともと廃墟だったところを住居にしたんだ。」

零士「でも、かなり綺麗でそんな感じはしないんだが…」

アオ「随分苦労したからね。廃材も全て活用しているんだ。」

よく見てみれば確かに、階段に使われる板や街灯も、かなり古びたものだった。

アオ「君は世渡…つまりあまり長くは滞在しないみたいだけど…良かったらこの村の鍛冶屋くらいは使ってくれ。」

零士「ああ、ありがとう。」

アオ「……………、ああ、そういえばまだ名前を聞いていなかったね。君の名前は?」

零士「零士だ。」

アオ「零士………いい名前だね。」

………本当の名前ではないんだけどな。

アオ「あ、ちなみに鍛冶屋は向かってすぐ左だよ。」

零士「ありがとう。」

零士「……でも、なんでそこまでしてくれるんだ?案内とか説明とかいろいろ…」

アオ「この村は外からなかなか人が来ないからね。」

零士「そうなのか…」

アオ「それに…あの昨年の厄災が…」

零士「……?」

アオ「ああ、何でもないよ。僕は小屋のところにいるから、何かあったら言ってくれ。」

零士「分かった。ありがとう。」




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まだまだ聞きたいことはあったが彼も忙しそうだし、いろいろこの世界やこの村について調べてみるか…。

まずは、彼が言っていた鍛冶屋に行ってみるか。

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鍛冶職人「話は聞いたぞ。噂の旅人だな?」

零士「あ、ああ…」

そんなに早く知れ渡るものなのか…?

鍛冶職人「作ってほしい武器はあるか?」

零士「ああ、いや…まずこの刀を見てほしいんだけど…」

私の刀、零剣は、旅を始める前…あのときに見つけた刀だ。「一部の者にしか」扱えないものとは聞いたことがある。

鍛冶職人「………これは……………………」

鍛冶職人「この刀はどこで見つけたんだ?」

零士「いや……これは出元が不明だったもので…」

鍛冶職人「…この形、なかなか見たことがないな…」

職人は零剣をじっくり見る。確かに珍しいものと言われたことがある。

鍛冶職人「これは…魔力が誘導される構造か…?」

零士「ああ。ここに魔法を放てば刃の向きに放出されるし、魔法を「斬る」と鋭い魔法が放てる。」

鍛冶職人「すげぇな……この構造はなかなか見ないものだ。これは昔に作られた構造だが…」


鍛冶職人「あとこいつ、喋るぞ」

零士「え?」

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