雷操の零 1章-1
あれから数年…
いろいろな世界を旅してきたが、まだ何もわかっていない。
どうだろう、でも今回の世界には何かありそうだ。
数時間歩いても一面の草原。周辺に人の気配がない。動物もいない。
空を見上げる。流石に誰もいない…か。
ん?
あれは…鳥?…鷲か?
何かを言いたそうに見つめてきている。どこかへ誘導してくれているようだ。道案内…みたいなものか?
移動している最中、今までやってきたことを振り返っていた。
(まだ…自分は何者なのかわかっていないな…あのとき、私の体を乗っ取り悪事を働いたというやつのこともまだ分かってない…一応、零士と名乗っているが…)
………………
少し高い土地に何か小屋がある。そこへ案内してくれているようだ。
小屋の前に来ると、誰かいる。男性か…?
零士「あの…」
?「おお、」
?「キミは向こうから来たのか…?」
頷く。 どこか気さくそうな人だ。でも、鷲 を飼っているのか…
?「ってことは…キミは世渡(世界を渡り歩く者)かな?」
零士「…!!……………………、まあ、そうですね…」
驚いた。世渡を知っている者も少ないはずなのに、なぜそんなことまで分かるのか…?
?「…つまりこの世界について説明する必要がありそうだな。よし、ひとまず付いてこい。」
連れられて歩いているが…
零士「あの…あなたは…?」
?「ああ、名乗り忘れてたな。」
?「僕はアオ…とでも言っておこう。」
少し気迫に圧倒されるが、彼は頼ってもいい、そんな気がした。
アオ「…よし。最初はここで説明したほうがよさそうだね。」
見張り台のような場所に連れてこられる。上ると辺りを見渡せる。
そこには栄える村が見えていた。
アオ「この世界はray-2-a3だ。」
世渡は、同じ世界線系列内を移動できる。零士がいる系列はray-2-a内だ。難しいかもしれないが、簡単に言えばこの世界は3番の世界ということ。
アオ「この世界の特徴としては、村が多いということ。あとは…この世界の特有魔法は氷を扱う魔法だ。」
どの世界にも共通して使われている魔法は温度魔法や電気魔法、岩石魔法、回復・補助魔法だ。
特有魔法は、世界一つ一つに存在し、その世界のみで継承される魔法。共通する魔法の内どれかを強化したものが多い。
零士「氷属性は確か、全世界を救った勇者が扱っていた魔法だったか…?」
アオ「そうさ。みんなそれを誇りに思っている。まあ、その勇者は行方不明だというが…」
アオ「まあいい。とりあえずこの村について説明しようか。」
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