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One More chance ?

決まった未来は変えられないと分かって居ても過去に行ってみたいですか?

過去に戻っても未来は変わらない…その過去は誰かの大事な未来だから…変えたいかも知れなくても変えちゃいけない。一瞬一瞬が過去と未来の組合わさりだから。

帯に書かれた言葉に釣られてその本を手にした。
久し振りの陽気に街まで出掛けたついでに寄った本屋で出会った。
思わず、過去を変えるとか未来を変えるって話しなら分かるけど?何も変わらないのに話しになるの?ストーリーのコンセプトとして可笑しくない?と思って逆に興味が沸いたのだ。中身を確認すること無く迷わず購入した。帰り道、喫茶店へ寄って少し読んでみよう!と思って知り合いのお店に立ち寄ることにした。
何となく苦味の効いたエクスプレッソの気分だった。本を読む時は話し掛けられたくないから普段は壁際の席に座るのだけど、今日は何となくカウンターに座ることにした。「へぇ、珍しいね?本を読む時は向こうに座るんじゃなかったの?」さすが分かってらっしゃる(笑)でも何となく違う気分ナンです!気にしないでよ(-_-;)それより早くエクスプレッソ頂戴! 一口飲んでから読みたいんだから!まぁ時間が掛かるの分かってオーダーしたけどね(^.^)
「これってどう思う?過去も未来も変わらないならそのどこかへ行っても意味ないよね?そんなんで話しに成らないでしょう?何か気になって買っちゃった!失敗かもしれないけどね(((^^;)」「へぇ~、変わった本だね?SFなの?」「さぁ、違うと思うけどね(笑)」一口飲むまでは…と思ってまだページはめくっていない。「何か変えたい過去でも在るの?」と問い掛けられて(ある!たくさん有り過ぎる!)そう内心呟いた。「さぁ?どうだろ。何となく買っただけだから」嘘だ。わたしは去年の夏以前に戻って、見届けなかったモノをきちんと見て来たいのだ。たとえ未来が変わらなくても…過去に実際あっていた舞台ならば観る事が叶うだろう。そのくらいで誰かの運命が変わりはしないだろう。しかし、その基準は誰が決めるんだろう?作者か!だよね。
ぼんやりと内容を想像しながらエクスプレッソを待つ。ようやくお待ちかねがトンと目の前に置かれて満足。味わう様に一口。ここのお店の熱すぎないこの温度が絶妙に好きなんだ。タマに違う店で飲むと、熱すぎて香りが跳ぶよ!と思ってしまう。まぁ好き好きだろうけど( ̄。 ̄)珈琲談義より本だよ!見開き1ページ目に帯と同じ言葉が書かれていた。
      それでもあなたはそこへ行きたいですか?
と最後に足されていた。次の頁をめくる…えっ!何これ?思わず両手で持ち上げてパラパラとめくる。何と、二ページ以降白紙だったのだ!印刷ミス?しまった!その場で開いて見てれば確認出来ていたのに (;´д`) 仕方が無い帰りに寄って交換して貰おう。仕方ないからケーキでも食べて帰るか(^o^;)「シフォンケーキ、今日作ってる?」「あら?本読む時は食べないんじゃ無かった?今日はえらくいつもと違うのね(笑)」「印刷ミスで何も書いてなかったのよ!後で交換して貰うわ。だからシフォンケーキ有るの無いの?」イラッとして語調が荒くなる。「はいはい。出来てますよ、どうぞ召し上がれ」と目の前に置かれて満足したわたしはご機嫌になる  (*≧∀≦*)
たわいない会話をしながら食べ終わると店を出て本屋に戻った。「はぁ?なんなの今日は!」ほんの1時間前まで開いていたお店は張り紙がしてあって臨時休業と書いてあった。さっきまで開いてたじゃないの?急用なら事情により本日は早めの閉店ですって書くわよね?もう、開いてないもの仕方ないから帰るか!明日の昼間電話して説明しなくちゃ…
帰ったら主婦モードで大急ぎで家事をこなした。

お風呂に入りながら考えてみた…変えられるものなら変えて欲しいけど…無理なものは無理って事か…そんな事わざわざ小説のネタにしなくても?というかネタに成らないでしょう!気になるなぁ~😂「お母さん?まだお風呂入ってんの!お風呂で溺れて無いよね?」気が付いたら長風呂してたみたいで心配した次男が声を掛けに来た。「うん。もう出るよ!ありがとう」出てから、テレビを見ていても読めない本の内容が気になって集中出来なかった。ここの所寝不足が続いていたから寝る事にした。こんなに早く眠れるかなぁ~と思ったのに意外と早く眠りに就いていた。


夢だよね?何処?見慣れた景色の様な気もするけど…どこかで見たような?思い出せない…ドラマの撮影で使われたとこ?わりと最近見たような…?
目の前を通り過ぎた車の運転手にも見覚えがある気がするかも?ナンだ、このデジャブ感は?何の夢見てるんだろう…路肩に停めて車から出て来た青年を見て思わず『あっ!』と声を上げた!聞こえなかったのかそのまま車を、ロックして目の前のマンションへ入って行く。『ダメだよ!行ったら!』いや…そうじゃないな、早く行って?どっちが良いんだ?もう運命は決まってる。早かろうが遅かろうが結果は変わらないんだから。でも、彼のその運命は変えられないのか?変えてやれないのか?どちらの運命も変えてあげたいけれど…このくらい?にはならないよね、やっぱり。思いきって声を掛けようとして、漸く気づいた。声…出て無いよね!ガラスにわたし映ってない‼️もしかして意識だけってこと?まるで幽体離脱みたいな?そんな事を考えているうちに私にぶつかりもせずに青年は通り過ぎた。…春馬くんのマネージャーだ!間違いない、インスタライブで映り込んだ時にリアルに見ていたから!後で修正が加えられていたけれど私は見て知っている‼️彼が第一発見者になるのだ!ドキドキして来た。既に運命は動き出している。せめて彼のショックだけでもどうにかしてやれないのか?これも彼の運命なのだろうか?自分の担当する俳優のそんな場面に遭遇する事が…。どれだけ心の傷を負う事になるのか想像もつかない。今回の事でマネージャーの気持ちを考えてみたことがある人はどのくらいいるんだろう?当初はそんな声も聴かなかったわけでも無いが…身内でも知り合いでも無い彼を心配する人は今ではもう居ないんじゃないだろうか?きっと悪夢にうなされている。まだ会社は続けてるんだろうか?表稼業のタレント達と違い裏で働く彼らこそ会社のコマの1つでしかないのだから…若い彼の事を思うと止めてあげたい気持ちにもなる。しかし、彼がもう少し早くマンションに来ていたら間に合わなかったのだろうか?でも、逆にギリギリ間に合っても春馬くんが廃人同様の機械に繋がれた人で生きながら得ていると分かったら何故死なせてあげなかったのか?等と考えるのではないだろうか?それは生きていると言えるのか?いつかは目を醒ますのか?脳の酸欠に奇蹟は起きるのか?それでは彼が彼で無いのでは?等と今更ながら勝手な事を今気付いた。運命は三浦春馬を三浦春馬のまま死なせて下さったのかもしれない。だからこそ今わたしたちは、彼の死にショックを受け、嘆き哀しみ彼を想うのだ。万が一助かったとして彼が三浦春馬で在り続けられなければわたしたちにとっては同じ事では無いのだろうか?現実と違う事実は想像が難しい。それでも、生きて居て欲しいとホントに思えるのだろうか?言い切れない…自信が無い。居なくなってしまったからこそ、どんな形でも生きて居てくれればと願う。でもそれは死を選ぶ程の想いを抱えたまま壊れてしまうぐらいなら、何処か見ず知らずの土地で別人になって生きていてくれればと勝手な思いだ。こんな場面に遭遇するとこれが三浦春馬の運命なのだと思わなければイケないのでは無いか?と考えさせられる。この場に居たらマネージャーの事の方が気になってしまう。
そんな事を漠然と考えていたら救急車が到着した。ああ、彼が発見されたのだ…涙が流れた。過去も未来も変わらないと云う事は、納得出来ない現実を受け入れる為の現場の瞬間に立ち会わせると云う事なのか…。だから事実を受け入れろと云う事なんだな。違う未来が待っている事など無い現実を受け入れろ…と言われているのだ。あの本に出会わなければ、こんな風に考えたりもしなかったハズだから。
長いな…まだわたしは此所から目覚める事が出来ないのだろうか?もうそろそろ彼が運ばれて降りて来るのでは?さすがにそれは見たく無い。ツラすぎて忘れられなくなる。顔色の変わった別人の様な彼を覚えてなど居られる訳がない!お願いだから目を覚まさせて!
念が通じたのか?気が付いたらリビングのソファーに横たわっていた。心配そうな次男が顔を覗き込んでいた。『お母さん、うなされてブツブツ言ってたから起こそうと思ってたよ!悪い夢見てるんだろうと思ってさ!』わたしは堪らなくなって、次男の手を引き寄せ抱き締めた。『何すんだよ~!』『ごめん、ありがとう起こしてくれて。怖い夢みてたから』『いや、まだ起こして無いから?勝手に自分で起きたよ!だから離してよ…』『もう少し…恐かったんだから』嫌がる息子の体温を感じながら思った。なにをしても、どんなに願っても…どんな奇蹟が有るとしても現実は成るべくして為るのだ。受け入れる側の問題なだけで、当事者にとっては何ら変わる事など無いのだ…と。現実にはone more chance なんて無いのだ。もう一度なんて勝手な言い訳に過ぎない。事実認定の為の本だったんだな…

いつまでも無限ループから抜け出せないわたしの為の…手引き書?的な。だから白紙だったのか?もう開く事も無いだろう。これ以上事実認定の場に立ち合いたくない。こんな思いは一度でたくさんだ。知らなければ良い事は知らないが一番なのだから。違う意味で未来が変わりそうだな。
『ごめんね、ありがとう』ポンと背中を叩いて息子を解放してあげた。悪夢だったかも知れないけど少しだけスッキリ出来た気がする。何かnoteに呟こうかな?こんな夢書いたら私らしくなくて笑われるかも(笑)そう思いながら、やっぱり気になって本を手に取る。!!内容、、、本文が存在する。白紙じゃ無い!じゃあ…あの夢はナンだったんだろう?ただの夢?夢から覚めた夢?まぁ、良いか!読む本が増えただけの事。明日読もう。こんな事きっと誰も信じない。白紙のページが夢から覚めたら活字だらけに変わってたなんて(苦笑) タマにはビールでも呑んで、寝直すか(笑)こんな気持ちじゃnoteもかけそうに無いや!

どんなツラい現実でも意味が在り、為るべくして成る。助からなかったのも彼の運命で、助けられなかったのもマネージャーの運命なのだ。わたしたちが何かが出来なかったのかと思っても運命は変わらなかったのだと。

白紙だった本も、活字のビッシリ詰まったこの本もどちらもこの本だな。立ち上がってビールを取りに冷蔵庫へ歩き出した。




もしも貴方の手元にこの運命の本が届いたら何を体験してみたいですか?それでも未来は変わりません。過去が変えられないのと同じくらいに。
過去も未来も繋いでいるのは自分自身です。毎日の生活が日々の歴史になっているのです。毎日を心して過ごしたいものですね…後悔先に立たずと言いますから。

拙い文章への共感やサポートありがとうございますm(_ _)m