『ファイトソング』第8話

恋の取り組みが終わりを迎えた第8話。
予告で何となく覚悟はしていたけれど、なかなかに切なさMAXな回でした。

取り組み最後の日、お別れらしいことをしようとお互いの嫌なところを言い合う花枝と芦田。
ポンポン軽妙なやり取りはまるで夫婦漫才を見ているようで。

考えてみたら、相手の何もかも全部好き!という時期を過ぎないと嫌なところなんて見えてこないもの。
花枝と芦田はそれだけ、互いのことをよく見て互いの全てを愛おしいと思っているに違いなくて。

けれど、二人は当初の予定通り別れて取り組みを終わらせる。
正確に言うと、芦田は「一緒にいたい」と本当の気持ちを伝えたけれど、花枝は「さようなら」と別れを告げて去っていく。

少し前から、花枝と芦田の恋の取り組みにはちょっとしたスタンスの違いのようなものが感じられて。
芦田がどんなに恋にときめいていても、絞り出すように想いを口にしても、花枝はあくまでもそれは全て取り組みの成果としてはぐらかしていく。
その度に芦田がキラキラした笑顔から悲しげな表情になる様子に見ているこちら側も胸がキュッとなって。

でも、その感情に流されなかった花枝の強さこそ、芦田を大切に思い芦田が良い曲を作ることを誰よりも願う花枝なりの優しさの裏返しだったのかなぁと思います。
あくまで思い出作りと割り切っていたはずの花枝こそ、芦田の純粋な人柄に大きく心動かされていたんだろうなぁと。
去っていく花枝の微笑みが芦田に背を向けて一歩ずつ離れるごとに消えていくのが、花枝の中に込み上げる寂しさを映し出しているよう。

今ここで本当のことを知ったら芦田はきっと曲作りどころではなくなる。
花枝のために良い曲を作ろうとしすぎて、色々想いを乗せようとしすぎて自滅してしまう。
だから、別れた。それもキッパリと断ち切って。

取り組みなんて枠はとっくに越えて芦田の心はどんどん動いていて、でも花枝はその芦田のために心を封印して去っていった。それぞれの想いの深さゆえの、静かで切ない別れだったなぁ。

果たして芦田は、事実を知らないまま"応援"というキーワードに辿り着き新曲を書き上げた。
頑なに秘密を明かさなかった花枝が何かと闘っていると感じたのか、スタートラインで元気が出ると言ってくれた花枝の背中を押す新たな一曲を聴かせたいという強い思いに突き動かされたのか。

とにかく果耶ちゃんと間宮さんのお芝居が秀逸でした!花枝と芦田の一瞬一瞬変わっていく気持ちが繊細に伝わってきて。二人が視線や表情を細やかに演じていて、それがこの別れのシーンを印象的なものにしていたと思います。

最後の最後、想いを封印して別れまできっちり取り組みを完結させて花枝ちゃんが授けてくれたファイトソング。
2年後の芦田さんは、心動かしたあの日々をどう思い返しているのだろう…

新たな物語の始まりと二人の行く末が気になります。次回も楽しみです!


2022.3.6  うーたん

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