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生きものを殺して食べる

久しぶりに罠に猪がかかりまして、
先日お肉にしたのです。

いつも、殺生の前は
いやだな〜〜と思っているのですが、
捌いて食べるとこれがウメ〜〜のです。

それでやめられないのであります。


ウリ坊がかかった

今回はいわゆるウリ坊でした。
箱罠に2頭入ってました。
1頭が少しだけ大きいかな、という感じ。

こんなかわいいのが。

仕掛けをセットする時から、
小さな足跡がありましたから、
かかりそうな気がしていたのです。

大人のイノシシは警戒心が強いですが、
ウリ坊は何にも考えずに
箱罠に入っちゃうのです。

ウリ坊が入ると面倒くさいので
仕掛けが落ちにくいようにしてあったのですが、
かかってしまいました。

ウリ坊は食べるところが少ないのです。
だけど捌いて肉にする作業は結局大変ですから、
どうせやるなら大人の猪がいいのです。

ウリ坊なんて、やりたくないのです。
周りの藪の中からきっと、
親がこっちを見ているでしょうし。

そんなこと思うとやりきれません。
でも、かかっちゃったらやるしかないのです。
そして、食べるとこれが美味しいのだから
困ったものなんです。

* * * * * 

ウリ坊が罠にかかってから、
そのまま逃しちゃおうか、
それとも食べちゃおうか、
どっちにしようか考えていました。

本当は親を獲りたいのですが、
子供が罠にかかったとなると
ますます警戒心が強くなります。

子を逃したからと言って、
次に親が獲れる保証は全くありません。

仕留め方も考えていました。
大きいイノシシなら箱罠の中でも
こちらに向かって突進してきますから、
そこを後ろ足で立たせて槍で仕留めます。

槍で心臓を一突きするのが
一番、肉の味がよいのです。

それが、ウリ坊はチョロチョロ逃げ回るので
なかなか難しいのです。

そんなことを考えながら、
バイトやら、予定が忙しくて3日ほど経ちました。

いつもの相棒にも声をかけちゃったし
結局やるしかないだろうと思って、
大きい方だけでもやるか、、と思って現地に行ったら
罠の中で小さい方が死んでしまってました。

雨も降って寒い日が続きましたから。
僕の予定がずっと埋まってましたから。。
こんなことがあるから
予定なんて入れたくないのですが
僕も現代を生きてますからね。。

罠の中を逃げまどうウリ坊に苦戦しつつ、
槍で仕留めて家に持ち帰ります。

60キロとか100キロとか、
大きいイノシシだと持ってくのも大変なので
その場で一旦処理しますが、
今回は10キロちょっとくらい、
家で処理することにします。

解体のこと(苦手な人は飛ばしてください)

腹を割いて、
あばら骨を真ん中からノコギリで開きます。
内臓がどーんと出ます。

膀胱を傷つけないように注意して
肛門、尻尾あたりと一緒に取ります。

腸内はウンチが詰まってますから
切ったらウンチが出てこないように結んでおきます。

口から肛門まで繋がった一つの管です、、
なんて言いますが、
そういうことも解体すると一目瞭然であります。

あとは食道あたりで切って
筋膜、横隔膜を外していくと
内臓がずるっと全部取れます。

内臓があばらの中で保護されているのも
よくわかります。
槍で心臓を突くのも
首の方からしか入りません。

内臓以外の肉部分は
川の清流にドボンとつけて
2、3時間冷やしておきます。

その間に内臓の処理をしつつ
昼食をとっておきましょう。

昼は猟師飯

ホルモンは
新鮮なら新鮮な方が美味いです。

とりあえず、すぐに食べられるのは
心臓、レバー、腎臓。
そのあたりを焼いて食べるのが
いつものパターンです。

腎臓なんて、あまり馴染みがありませんが
新鮮じゃないと食べられないみたいです。

こういうのは猟ならではでしょうか。

コリコリ心臓、いわゆるハツ。
腎臓、別名マメ。
なんか魚肉ソーセージ的な感じ。
ねっとりとした食感のホホ肉。
いつもは捌きませんが時間があったので。

今回は相棒が腸も処理してました。
腸の処理ってかなり大変なので僕はやりません。
相棒ももうやらないかも、、とのことでした。

あとは胃袋ですが、
こちらは内容物を出して
ゴシゴシ擦ったり
清流に半日くらい漬けておくと
臭みがとれます。

腸よりも胃袋の方が臭いかも、、
しっかり処理しないと食べられません。

処理さえすれば胃袋はすごい弾力で
これも美味しいです。
腸と一緒にもつ鍋とかサイコーでしょうね。

かわいそうなことをしています

ウリ坊みたいな小さい個体だと
肉になるのは4割程度です。
10kgの個体なら肉は4kg程度になります。

大人だと歩留まりはもう少し良くなります。
60kgの個体なら5割くらいは肉になります。
それくらいだと殺して肉にしてもいいな、と感じます。

おいしいお肉は欲しいです。
だけど、殺生はしたくありません。

これが誰しもの本音でしょう。
僕もそう思います。

罠を置いて仕掛けをセットして
毎日見にいくわけですが
何も入ってないといいな〜と、いつも思うのです。

でも、そのうちにかかっちゃって、
そうなるともう、殺すしかないのです。

実際に見たらわかりますが、
逃してやるとか、そんな選択肢は
危険すぎてまずありません。

大人のイノシシが箱罠に入ってたら
普通の人はビビって
10メートル以内には近づけないでしょう。
僕もはじめ、そうでしたから。
これをヤルんか、ホンマかいな、、と。

実際に見るとそれは
なかなかにスゴイものですよ。

だけど、食べると美味しいから、、
やめられないのです。

だけど、やっぱり殺生はしたくない。
そんなときに便利なのがお金です。

お肉を買う、ということは
殺生を自分以外の人に
してもらってるってことですから。

店先できれいにパッケージされてたら、
かわいそう、とか思わなくて済むでしょう。
この肉はうまいとかまずいとか
高いとか安いとか言ってれば、それでいいのです。

そんなことを
猪を捌きながら思ったりします。
自分の体にも思いを馳せたりして。

個人的には、、、
肉を食べる人ならば
生きものを殺して食べる、という経験を
一度くらいしておいて損はないように思うのです。

魚、鳥、四つ足の順に自分と近くなっていきます。
機会と興味があれば、ぜひどうぞ。


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