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White Angel from Prague

「震災の後の記録」I

一枚の絵を壁に掛けるという小さな仕草であっても、当時の私には、ーー余震のあるなしに関わらずーー、自らの心の中の一つの区切りとなる、たいせつな「儀式」とさえ言える振る舞いでした。

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(2016年)熊本での4月の震災以来ずっと部屋の隅に(裏返しにして)立てかけていた絵を壁に飾ってみました。
 右側の羽の生えた白い人の絵は、若い頃に一人でプラハまで旅したときにふと入った画廊でもとめたものです。段ボールに挟んで鎌倉の家まで持ち帰り、アルバイトをしたお金で額装してもらいました。
 その頃の何やら、自分自身を越えた何者かになりたい、とでも言うような、やや面映ゆい願望が伺われますが、これはこれで私の通ってきた道であり、今も自分の心の奥をあらためて探ってみれば必ずしも無くなってしまったとも言えない、渇仰のようなものが映じた小さな買い物であったのかもしれません。

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