ヨハンナ・スピリの『ハイジ』

テレビでヨハンナ・スピリの『ハイジ』1881についての番組をやっていましたが、当時ヨーロッパで著作権に関する法律がそれほど明確に確立していなかったこともあり(1891年が重要な日付となります)、英語などにすぐ翻訳されました。

『ハイジ』を読んで自作に大胆に取り入れたのが、バーネットの『秘密の花園』1911です。テクストを読み替えるお手本でしょう(30年離れているのは案外著作権が絡むのかもしれません)。

アルプスの代わりに、ヨークシャーの田舎(これ自体語り手がロンドンから保養休暇のためにやってくる『嵐が丘』のパクリともいえますが)で制度とぶつかるヒロイン。車椅子から立ち上がる少女ではなく少年。そこにインドという植民地が接合され、バーネット自身の庭園(=幼い時に失った本国)への思いが重ねられるわけです。このあたりは拙著『ピグマリオン・コンプレックス』で触れましたが。

『ハイジ』自体が、ゲーテの教養小説を模範(模倣)としていたわけで、それも重要なポイントなのかもしれません。いずれにせよバーネットによる『小公子』『小公女』を含めた3作は今尚チャレンジングな小説だと思います。

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