世界サブカルチャー史 欲望の系譜「シーズン4 21世紀の地政学 アニメーション編」

世界サブカルチャー史 欲望の系譜「シーズン4 21世紀の地政学 アニメーション編」を。少々古臭くなったネイピア史観が強いので、異論もありそうですが、それなりにまとまっていました。収穫もいくつかありました。

ベティ・ブープをきちんと扱ったのが重要でしょう。個人的には筒井康隆の最良の仕事のひとつが『ベティ・ブープ伝』だと思います。ディズニーを相対化するのに、フライシャーをもってくるのは鍵で、宮崎駿も含めて影響は大きいわけです。「カワイイベティサン」という絵本が映り、「カワイイ」の起源の一つがベティさんだとよくわかりました。

「ヒルダの唄」問題を通じて、高畑勲が提起したのが「団結」ではなく「協力」だったという回想も重要でした。ジブリによって資本に飲み込まれてしまったように見える後期の高畑宮崎路線が見失った点が浮かび上がった気がします。『アルプスの少女ハイジ』がスイスの政治的脱色に利用されたことが告発されたように、今後の議論の道が開けたように思いました。

押井守の発言で重要だったのは、『鉄腕アトム』が「無料コンテンツ」として始まったことを指摘していた点です。NHKだから可能な視野かもしれません。これは現在ネットなどにあふれる「無料コンテンツ」と、それを課金やグッズ販売によってどのように有料化するのか、という問題ともつながります。そして1975年に始まったコミケがまさにマーケットとして大きな力をもつのは、『スター・ウォーズ』のグッズ問題とも関連してきます。

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