陳情令サウンドトラック『清心音・乱魄抄』感想

サントラをようやく聞いてこの曲のあまりの衝撃に感激したのでその感動を忘れないように熱が冷めないうちに書き残す

※物語の重要なネタバレを含む

・清心音・乱魄抄とは
琴によって演奏される曲、姑蘇藍氏が扱う絶技
曲を弾きつつ霊力を込めれば様々な効果が付与される

清心音(せいしんおん)
その名の通り心を落ち着かせる曲、作中では聶明玦の刀霊を抑えるために藍曦臣が弾き金光瑶に教えた

乱魄抄(らんぱくしょう)
東瀛(とうえい、古代中国における日本を指す言葉)から持ち帰った邪曲、普段は雲深不知処の蔵書閣の更に深くにある禁書室にある
姑蘇藍氏の者でも簡単には入れない
霊力を込めながら演奏することによって対象者の心を乱したり、錯乱させたりと悪い方向に運ぶことができる

作中では清心音の中にほんの僅か乱魄抄の一部を入れ込み心を落ち着かせる曲を弾いているように見せかけて少しずつ心を乱すように金光瑶が聶明玦に弾いていた

ドラマだとほんの数フレーズしか登場せずフルバージョンは聴けない

だけどサントラにはフルバージョンが入っていてしかも清心音→乱魄抄→清心音の順に途切れなく綺麗にこの橋渡しが非常に美しいし私たち日本人なら聞いただけで「なんか違うな?」って感じることのできるフレーズなのがあまりにも凄すぎる

作中では琴や笛でメロディーだけ奏でている独奏バージョンでサントラには他の楽器が入った合奏バージョンになっている
今回はサントラに入っていた合奏の方を紐解いてみた

清心音は姑蘇藍氏が使用するだけあってシンプルな旋律にほんの彩り程度の細やかな副旋律や伴奏が入っていてどこの旋律に耳を傾けても邪魔をせず一本の線のようなまとまりを感じられる
途中から入ってくるオクターブ高いハモリの笛も耳に残る嫌な感じがしなくすごく聴きやすい
低音の下腹部にずっしりと構えるしっかりとした土台が意識しないと分からないがかなりいい仕事をしている

乱魄抄は一言では言い表すと清心音が白なら乱魄抄は黒
一本の線に聞こえる清心音とは正反対で複数の音が纏まる様子なくそれぞれの方向を向いている感じ
音楽がかなり盛んな現代を生きる私たちにはそれくらいかなり当たり前だと思うけどこの時代を考慮すると確かに心を乱すというか落ち着かないというか聞いていて疲れる曲だと思う
テンポは同じだけどかなり忙しない動きをしているのも相まって明確な「違う曲」というのが分かる

主旋律となる琴の音階がおそらく都節音階という日本の琴や三味線に多く使われる音階を使用してるのではないかと
途中から入る笛は清心音より目立ちそっちに気が逸れてしまう、と思ったら琴のリズムが気になりそっちにも気が逸れ低音のリズムも気になったりと様々な箇所で耳移りしてしまう
オーシャンドラムのような「サーッ」とかなり気になるノイズのような音も入っている
これは意識してきかないとわからないけど確実に無意識下で心を乱すような効果を発揮しているかと
清心音の低音と真逆の効果

清心音に比べてだいぶ賑やかでかなり時代にそぐわない曲調のなのに何故か違和感を感じない、同じ国の曲ではないけど時代はそこまで違くないと思える

清心音のどっしりと一本軸を持出せることによって心を落ち着かせるのであれば乱魄抄は心をいろんな方向に惑わし安定させない事で心を乱すのを促進させるのではないかと

この対比よくできてるな本当にすごい

サントラの清心音と乱魄抄の曲の繋ぎ、ウィンドチャイムで乱魄抄に入りハープで清心音に戻るこの仕掛けも素晴らしい。知らない人には「変調したのかな」と一瞬思わせるような流れるような導入と少し聞いて違うと思った時にはもう遅い手遅れ感が合わさっていて正直興奮したしドラマでは絶対分からないところだしたった1分ちょっとの乱魄抄にここまでいろいろな意味が込められているとは思わなくて聞いた後ひたすらリピートして今こうしてこの感動を忘れないように書き記している

筆者は管楽器と楽団経験以外に詳しいコード進行や曲制作等のことは全く分からないただのいい音といい旋律と掛け合いが好きな狭きところのオタクなので参考程度に聞いていただければと思います

サントラはApple Musicで全部ではないけど聴けるのでもしご興味のある方は聞いてみてください(※2023.3.13現在 稀に編集されたりサブスクから消えたりしてるので要注意 もしかしたらサブスクの方はCDと配信日が違うので何かしら変わっている可能性があるけどそこはまだ確認できていません)

CDにもなっているのでいくらでも手に入れる方法はあるのでこちらの方が全部入っているし何より手元に残せばいつでもいつまでも聴けます
※余談ですが金光瑶のキャラソン「多恨生」はCD版とサブスク版で曲調が全く違います

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?