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    ことり合戦

    わたしと沙都の物語。 子育て中の方、 親を愛したい方。 是非お手に取ってください。
    1,540円
    rakuko76
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    スパイス     今秦 楽子

    わたしと彼女の物語。 彼女と少しずつすれ違い…… 美味しいものが食べたくなるお話。
    500円
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最近の記事

【小説】捨てる女 集める男

              今秦 楽子

    • 【スケッチ】窓の外

      その窓の外は 綿雲が浮かぶ ギラついた町並。 ひしめきあう家家は その営みが見えぬ程 小さくて遠く はるかな存在として 私の目に映る。 ここが私の立ち位置 あそこが他人(ひと)の                  立ち位置              5/sep/2024 段々に並ぶ色々な屋根 ひしめいている。 この坂を下ってあの坂を昇れば 美しい景色に出会えるだろう。               5/oct/2024

      • 電線のある風景

        長崎には電線のある風景がよく似合う。 雨上がり、 湧きあがる雲の大きくなるスピードも、 電線の定規があるからこそ体感できる。 もくもくとおそろしく湧き立つ雲が、 空の青とのコントラストを引き立たせる白線。 夏の日差しをひと手にうけて白白と輝く白線。 そこにピシッと電線が走る。 それが空を広く魅せるから不思議だ。 #夏の1コマ

        • 【小説】捨てる女 集める男 (中)

                         今秦 楽子 男は行く。山に薪を集めるごとく昨日を行く。 女も行く。川に想いを捨てるごとく明日を行く。そしてコンビは解散した。 ♢14 「何があったん? 話してみて」 男がLINEで遠く離れた女の途切れるセリフを一生懸命拾おうとしていた。 「警察が来て……それから……精神科に運ばれて……」 「それで連絡取れんかったんやね。それで?」 「子どもは児童相談所に行った……これから一緒に住めるかわからないだって」 「何があったの?」 「子

        【小説】捨てる女 集める男

          ディルームにて

          セミの声が風に滲み入る暑い夏、 わたし達は出会った。 わたしは隔離解放が済むと、 病棟の中にある デイルームというスペースがあることを知る。 そこにはダイニングテーブルに椅子が四脚。 大きな窓にシンクがついており、 小さな談話室のような体で 患者に親しまれている。 そこから見える景色はやはり坂に家の 長崎らしい風情。 病院の施設らしい建物にも 西洋風の廊下がついているような独特の雰囲気 が出ていた。 長崎の建物はいちいち頑丈でいちいちお洒落な イメージがわたしにはついて

          ディルームにて

          【スケッチ】あるベッドの片隅で

          このベッドの片隅で 泣いているわたしに 何を言ってあげれば 良かったのだろう わたしは泣いていた 天井は 在るだけで 何も 教えてくれない ただ時を流すだけ 止まった時を流すだけ この部屋の 片隅 在るがままでいいよって 言ってくれてる 充分頑張ったよって 言ってくれてる あなたは あなたって 言ってくれてる 壁を 超えるには 柔らかい 壁 だけれども 高い壁 壁しなかいこんな部屋で 勇気だけでいい 飛び出そう 一歩外の世

          【スケッチ】あるベッドの片隅で

          【絵本テキスト】優しいおばけの おはなし

                        今秦 楽子 ぼくは ぽんくん 最近めっちゃ怖い事が起きたんだよ。 それはね、 ぼくのお家に優しいシェアメイトが 来たんだ…… 3人も揃ってやってきた。 それは、人間の目には見えない 3人のお化けだった。 3人がきて以来、 ママはいえのものをよく無くして、 とくに鍵をなくした時は 家から一歩も出られなくなったんだ。 ある日ママは川へ行ったんだ。 川の水で遊んで帰ってきた。 そして日が暮れて空を見上げると かすんだ空気で星は一つも見えなかっ

          【絵本テキスト】優しいおばけの おはなし

          【エッセイ】キャメルの吸いくち

                         今秦 楽子 〜ゆらゆら〜 タバコの煙に似合う文字列。 今は、 紙タバコをふかさずnoteに向き合っている。 また精神科からの投稿だ。 ♢♢♢♢♢♢♢♢ なぜ、タバコの話題かと言うと 意外と注目されるのかもと睨んだから。 タバコって害になりつつあるけれど、 植物の恵みを肺に燻すという行為は 神聖なものだとわたしは思う。 コーヒーも酒もそう。 神聖だ。 久しぶりに「のんだ」タバコの味は、 なんも言えぬ大人の背徳感。 あれは、 東長崎

          【エッセイ】キャメルの吸いくち

          【小説】捨てる女 集める男 (上)

                         今秦 楽子 男は行く。山に薪を集めるごとく昨日を行く。 女も行く。川に想いを捨てるごとく明日を行く。そしてコンビは解散した。 ♢1「スニーカーと腕時計は自分自身だからこだわるよ」男が言う。 彼の部屋にはナイキやジョーダンの靴の箱がゴロゴロと転がっていた。「箱も価値があるんだからね」なんて言いながら誕生日や給料が多かった日にはウキウキとスニーカーのサイトを閲覧する。「限定」の文字に心踊らせているのは言うまでも無い。 「狭いけど入ってー」

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          【スケッチ】燃え滓スケッチ

          《燃え滓スケッチ》 スケッチしていると、何もが忘れられて。 目の前の景色との対話の時間になる。 私はその時間を大切にしている。 ただそこに燃え滓のスケッチが残るだけで なにか言葉を添えておきたくなった。          〜長崎の風景やエッセイ                今秦 楽子 ♢南山手乙27番館 「この街は龍がたくさんだね」 友が言う。 言われてみると、 おくんちでも目玉は龍踊りだし 中華街は龍の巣窟だ。 彼女が行きたいと言った グラバースカイロードには

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          【短編小説】チョコレートのような恋

                         今秦 楽子 ♯1目をあけると輸液瓶からポタポタと俺の血管につながった管が真っ赤なルートを作っていた。 「生きたい、死にたくない」 そう彼女に告げた記憶の中で俺の中から吐き出したチョコレート色をした血液がどんどん広がって行くそんな夢から覚めた時。 「目が覚めましたか」 柔らかく声をかける看護師にここは病院かと問いかけて、少しずつ記憶を辿ってみる。そうか血を吐いて救急病院に運ばれたんだった。細かなことを思い出してきた。 「彼女さんはもう帰りま

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          Siren(仮)

                        今秦  楽子 「新人さん11時回ったよ、売り場に出て」 先週から水産部に配属になった新人を 急かしながらわたしもバックヤードから 売り場にでた。 もうすぐ時計の長針は2分にかかろうと していた。 「お客様に申し上げます。 本日8月9日は被曝から78年目の 平和記念日にあたります。 原爆投下時刻の午前11時02分から レジカウンター以外のスタッフは原爆死没者の ご冥福を祈り、 併せて世界恒久平和の実現を祈念するため、 黙祷を捧げさせていただきま

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          【エッセイ】黄身が好き

                                                                                                                     今秦  楽子 まだ雨が続く長崎にわたしは降り立った。 かつて乗ってきた特急かもめは弓なりの浜に 沿って情緒とともに過ごせたのだけれど、 今や無味な西九州新幹線に成り代わって しまった。 七月中ば。まだ梅雨は明けていない。 引越しには3つの段ボールを新居に 送り

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          【小説】なないろトマト2

                         今秦 楽子  前回のあらすじ 2035年、ベーシックインカムが導入され 若者達は広島で共同生活を始めた。 やりたい分野で活躍できるよう集まった者たちの中に 田舎暮らしに同じほどの熱量をもたない 裕(ゆう)と詩(うた)の姿があった。 わたしたちはキャンドルの奥に   夕暮れなずむ瀬戸内をただただ眺めていた 「詩ちゃんは人に会わなくて平気なの?」 裕くんからふと投げかけられた質問。 「メタバースでちゃんと人に会ってるじゃん」 咄嗟にこ

          【小説】なないろトマト2

          【小説】なないろトマト               

                        今秦 楽子 〈あらすじ〉 12年後の日本では めざましく発達する人工知能AIが 人間の仕事を奪っていった。 増加する失業者に対し 政府はベーシックインカムを 導入する決断をした。 一律12万/月 岐路にたった新社会人たちは、 豊かさを求め、 瀬戸内の古民家で共同生活を始める。 営業職で食べていく事を選択した裕(ゆう)。 彼を取り巻くシェアメイトたち。 豊かさを得るための労働とは。 働くこととはなんだろう。 裕の苦悩と自立を描く。 203

          【小説】なないろトマト               

          【短編小説】白い格子

                        今秦 楽子 今わたしはそこにいる。       誰も来ない格子の中に。 ♢1そこは刺激を避けるために存在する「保護室」 と呼ばれる格子の中。 精神科病棟独特の治療室。 何度『収容』されたことだろう。 その光景は強烈すぎて記憶が あやふやなのだけれども。 いつもこの格子の中で時間を潰すのに トイレットペーパーとトイレの水栓。 後は防音壁に響くわたしの歌声が必要だった。 「また、やってる、 そんなにトイレットペーパー出して……」 「……」

          【短編小説】白い格子