想楽P、俳句と川柳の違いを調べる

レジェP北村担当のあさぎと申します。
担当の北村想楽のことは社外の人間に対して社内の人間を呼ぶノリで北村と呼んでいます。

この記事は、「【考察】北村想楽がやっているのは川柳なのか俳句なのかなんなのか」の前提となる俳句と川柳の違いを調べてまとめた記事です。

ふ~んそうなんだ~くらいの軽さで読んでもらえると嬉しいです。私が現代川柳をやっているので、やや川柳に寄っているかもしれません。よろしくお願いいたします。

俳句と川柳の違い(ざっくり)

ググるとそれぞれルールが出てきます。
・俳句のルール:①季語を使う ②五七五(17音)の定型に収める

・川柳のルール:基本、なし。「川柳はなんでもありの五七五」(渡辺隆夫)という句があるくらいにはなんでもあり。五七五の定型が一般的だが七七の定型もある。

わかるようなわからないような……。もう少し詳しく見ていきます。
なお川柳と俳句の歴史については省略しました。気になる人は検索してみてください!

季語について

俳句の特徴ともいえる季語。季語は季節を表す言葉で、春夏秋冬(四季おり!)の、「時候」「天文」「地理」「生活」「行事」「動物」「食べ物」などさまざまなものがあります。
季語は6000~8000以上と大量(!)なので、俳人(俳句をやる人)もすべて暗記はしていません。(たぶん無理)
季語をまとめた「歳時記」を辞書のように手元に置きながら作ることが多いようです。
一つの句に一つの季語が原則です。

また季語には言葉そのものがもつ共通のイメージ(性質・あり方・五感情報)が含まれています。
そのため、季語に含まれるイメージを句の中で説明する表現は、音数が少ない俳句の中にわざわざ入れない方が良いとされます。

俳句と川柳の違い(しっかり比較)

川柳と俳句の違いについてまとめた表がありましたので掲載します。

監修上野貴子・江畑哲男『違いがわかる はじめての五七五「俳句・川柳」上達のポイント』p13,メイツ出版,2017より改変
※noteが横書きなため、引用元の表の列と行を入れ替えています

川柳の三要素(ユーモア・うがち・軽み)について

上の表の川柳の表現の特徴にあがっている「ユーモア・うがち・軽み」は、まとめて川柳の三要素と呼ばれています。

簡単に説明すると、
①ユーモア
滑稽、笑いと表現されることもあります。
うれしさ、おかしさ、クスッとさせること。

②うがち(穿ち)
事や人情の核心に巧みに触れること。
ものごとを斜に構える視点の角度。

③軽み(かるみ、かろみ)
軽やかで、気が利いていること。共感。

この三要素をどこまで意識して句を作るかは人によると思います。
ちなみに川柳はサラリーマン川柳、〇〇(属性)川柳が多くありますが、伝統川柳、文芸としての現代川柳などそれ以外の川柳もあります。後者のほうが広い領域です。

個人的には、俳句は自分専用のカメラで風景(+人間)を切り取るイメージです。俳句は「説明しない」文芸と表現されることもあります。ルールが多いので、改良点・上達のコツが明確で指導しやすさがあると思います。
川柳は「なんでもあり」といったらそこまでですが、感情表現必須というわけでなく言葉の組み合わせを楽しむ印象があります。読み手に理解・共感してもらわなくてもかまわない感じ。

TV番組プレ○トでおなじみの夏井いつきさんは、著書で以下のように述べています。

 (前略)俳句も川柳も十七音の世界最短詩ですが、両者の違いを「季語を季語として認識して使うか、使わないか」と指摘することもできますし、「川柳は人間の営みに、俳句は自然の営みと自然の上に成る人間の生活に、それぞれ重きを置いている」と解説することもできます。(後略)

夏井いつき『夏井いつきの俳句ことはじめ 俳句をはじめる前に聞きたい40のこと』p18
ナツメ社,2019

続いて俳句・川柳それぞれ作品を見ていきましょう。

実際に俳句と川柳を見る

~俳句~
閑かさや岩にしみ入る蝉の声
/松尾芭蕉

→ライブで俳句レスポンスをやったこともあり、
みなさんご存知だと思うので説明は省略します。
そう、the buzz of cicadas…

【きらり艶やかに】で初披露された北村の私服パーカーは衝撃を受けましたね。
その色何!?その英文何!?今でも北村の私服のチョイスはわかりません。

12月に着られるアウターもあるようです。(それにしては薄くない?)
よく見ると裏地が恒常の羽織りと同じなので、デビュー前からthe buzz of cicadasを着ていたのかもしれません。
俳句の紹介に戻ります。

流れ行く大根の葉の早さかな
/高浜虚子

→大根の葉があっという間に流れていったな〜、というときに引用できる一句です。大根が冬の季語です。切れ字「かな」が余韻を感じさせます。
ちなみに高浜虚子は見たものをそのまま表現することで主観を織り込む「客観写生」を提唱しました。

紙コップ多き祭の本部かな
/斉藤志歩

→そうそう、お祭りの本部って紙コップ並べて人がたくさんワイワイやってるよね!という景色が思い浮かぶ一句です。祭が夏の季語です。
夏!お祭り!のシチュエーションで、どんな景色を五七五にまとめるか、どこに視点を持っていくかに個性が出ます。

いずれも景(景色)が想像でき、それを見ている作者の思いは句の中にはなさそうですよね?大根の句は大根の葉の様子しかわからないのが好きです。

~川柳~
雷をまねて腹がけやっとさせ
/誹風柳多留(はいふうやなぎだる)
→腹掛けを嫌がる子どもに対して、親が雷の真似(音真似?)をしておへそを守るように言ってようやく腹掛けさせられたよ、の句。
下五の「やっとさせ」から腹掛け成功までの苦労を感じます。
『誹風柳多留』は江戸時代の句集(川柳をまとめた本)です。作者不明。
江戸時代のころの川柳は古川柳と呼ばれ、明治時代以降の川柳とは区別されています。

妻をころしてゆらりゆらりと訪ね来よ
/時実新子

→日本で一番売れた(らしい)川柳句集『有夫恋』(1987)。
夫が有る女の恋、つまり不倫をモチーフに作った川柳です。
七七五なので定型から外れますが、不思議と違和感なく目と耳に入る句です。
本当に妻を殺したら、おそらくゆらりゆらりとは訪ね来られないと思います。こういうのも川柳。

いけにえにフリルがあって恥ずかしい
/暮田真名

→(主語)に(名詞)があって(形容詞)という文法は一般的ですが、「どういうこと⁉︎」と感じたのでは。読み手に衝撃と動揺を与え、当たり前に使われている言葉が全くわからなくなりますね。
いけにえにフリルがあって恥ずかしくなっても、読み手としてはどうすることもできない困惑。
感情から句を作るというより、言葉を組み合わせて句を作る「現代川柳」と呼ばれるジャンルの句です。こういうのも川柳。

前に紹介した俳句3句より感情が句の中に出ている感じがありませんか?この6句だけでもなんとなく違いが伝われば嬉しいです。

まとめ

☆俳句と川柳の違いはざっくり言うと季語を使うか使わないか。あるいは自然と人間の風景を主に見るか、人間の感情を見るか。俳句は季語で作者と読み手の間にイメージを共有できるので、わざわざ説明を句に入れない。

以上を踏まえて、北村想楽は川柳やってる説を考察していきます!
自由律俳句については北村想楽は川柳やってる説のほうでふれる予定です。

参考文献
・『今日から始める現代川柳入門―ドラマチック川柳のすすめ』杉山昌善(実業之日本社)
・『50歳からはじめる俳句・川柳・短歌の教科書』坊城俊樹・やすみりえ・東直子監修(土屋書店)
・『ゼロから始める俳句入門』大高翔監修(KADOKAWA)
・『実践!すぐに詠める俳句入門』石寒太(日東書院)


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