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315プロアイドル イメージ短歌・イメージ川柳紹介

315プロのアイドルたちにぴったり!やエッセンスあるな〜と感じた短詩(短歌・川柳)を紹介する記事です。句集を読む時間が取れなかったので俳句はありません。
※イメージ短歌・イメージ川柳:イメージソングの短歌・川柳バージョン。省略してイメ短歌・イメ川柳と呼ばれることもある。

自分がこれまで出会った作品の中での紹介なので、他の歌や句のオススメがあったらぜひ知りたいです!

構成
短歌or川柳
/作者『書籍』
紹介:作品のどこにアイドルみを感じたのか
評:アイドルイメージ抜きの、作品の鑑賞

柏木翼

I am a 大丈夫 ゆえ You are a 大丈夫 too 地上絵あげる
/橋爪志保『地上絵』

紹介:
この歌は歌集の帯に掲載されているのですが、その文字色がオレンジなんです!ドラスタみを感じました。
飛行機内で緊急時は自分が酸素マスクをつけてから他者の酸素マスクをつけるように、自分は大丈夫だと示してから相手に寄り添うのが翼くんみあると思いました。
私は5thアニバ楽曲『ASTERISK』が好きで、歌詞の「繋ぎあわす誰かがいないと星座は生まれない」が特に好きです。
星座も地上絵も誰かが見つけないと知られないのは同じだと感じたので、それも採用理由です。もっとも地上絵は描き手と発見者がいるので厳密には違いますが、フィーリングです。あなたのこと見てるよ、大丈夫だよ、だからこちらのことも見ててね!と相互関係を築こうとしている姿勢を感じます。

Side Memories 柏木翼より①
Side Memories 柏木翼より②
Side Memories 柏木翼より③

翼くんのサイメモが好きです。歌から他者と繋がろうと働きかける人柄が感じ取れて好きです。

評:
「ゆえ」が唐突で、凛としています。主体の大丈夫と相手の大丈夫は関係ないはずなのに、引き受けているのが面白いです。字開けがあることで視覚的に整っており、一定の流れを感じます。「I am a」のa音と「ゆえ」「You」「too」のu音の繰り返しは、自分にも相手にも何度もゆっくり言い聞かせているように感じます。
結句の「地上絵あげる」は、何をしたら地上絵をあげたことになるのか全くわかりません。けれど、地上絵のようにものすごく大きく地面に根ざしている「芯」みたいなものをあげたいのかなと思いました。主体が相手を受け止めたい、励ましたい、差し出したい、繋がろうとする歌です。

木村龍

犬だけがただうれしそう脱走の果てに疲れた家族を前に
/岡本真帆『水上バス浅草行き』

紹介:
犬を飼っているアイドルは複数いますが、この歌が含まれる連作にある「深すぎるお辞儀でひらけランドセル スーパーボールスーパーボール」の歌があまりにもお辞儀した勢いでランドセルから荷物が出てくるきむらりゅう(7)くんを連想させるのでそのつながりで龍くんにしました。リメショチェンジ後の目がキラキラしているのが好きです。
チワワ(ジョン)が脱走するのかは犬に詳しく
ないのでわかりませんが、
リメショチェンジ前でまさにジョンを捕まえてましたね⁉︎チェンジ前イラストの記憶がなかったので、今確認して驚いています。

ドタバタもあるけどハッピー!な歌の感じがすごく龍くんぽくて好きです。

評:
「ただうれしそう」がひらがなで、犬は人間の疲労を分かってないけれども家族全員なんだかんだ幸せな感じがします。全力で犬を追いかけて息切れした家族と、嬉しそうな犬の対比がよいです。疲れてもなんとなくポジティブな疲労だろうなと思います。「脱走の」「果てに」「家族を」「前に」のa音の連続が韻を踏んでいて、リズムを感じるとともに、息切れしたときの口呼吸を連想します。明るい気分になる歌です。

猫柳キリオ

宇宙から持って生まれてきたセンス
/小島蘭幸『金曜日の川柳』(樋口由紀子編)

紹介:
これは猫柳キリオ!「センス」という漠然としながら存在している共通認識を、遺伝とか環境とかでなく「宇宙から」と何段階もスケールが大きい話にしているのが面白いです。しかも誤魔化されていると感じずなんだか納得できるのがまたよさみの深さがあります。
SL楽曲『和風堂々!~WAnderful NIPPON!~』で「宇宙のぱわーを送るでにゃんす!」と歌っているのもよりイメージ川柳としての強度が増します。センスと扇子を重ねて解釈するとさらにキリオみが増しますね。

評:
「センス」って具体的に何?の問いに対して、宇宙由来の生まれつきのものです!と言い切られた気分になります。それならセンスについて考え込まなくても答えはもう出ているのかも、と思わせてくれます。「宇宙」「生まれてきた」のu音を発する時の自分の口の動きから、なんとなく人外っぽさを感じます。

秋山隼人

夕暮れがギターケースにしまわれる
/八上桐子『hibi』

紹介:
ハイジョで下校時間まで練習して片付けしてみんなで帰る、その毎日を切り取ったかのような句です。ギターケースを閉じ、部室の電気を消して帰る景が浮かびます。
日常のなんてことのない景色だからこそ、高校生以外の人間にはまぶしく見えます。

評:
夕暮れ時までギターを弾くのに熱中し、区切りをつけた句だと読みました。窓辺から差し込む夕陽が浮かびます。夕陽をギターケースに閉じこめてさっそうと持ち運ぶようなスタイリッシュさを感じます。

神谷幸広

楽しいに決まっているさ曲がり角
髙瀬霜石『金曜日の川柳』(樋口由紀子編)

紹介:
これは視界に入れた瞬間神谷幸広!になった一句です。曲がり角の先に何があるか現時点で全くわからないのに、「決まっているさ」で断言しているお気楽さと説得力を感じるところが神谷っぽさを感じます。神谷が道に迷う理由・原因は分かりませんが、楽しさを確信しているからこそ、たとえ曲がった後に迷っても困らないし気にならないんだろうなと思わせてくれます。
「曲がり角をとりあえず曲がる」神谷幸広の概念に共感してもらえると嬉しいです。

評:
なんとなく不穏な感じがする「曲がり角」を「楽しいに決まっている」と断言するところに強さと明るさを感じます。「曲がり角」は物理的に道が折れ曲がった所、ネガティブよりな意味での転機に用いられることが多いですが、別の言葉をぶつけることでニュアンスを変えるところが面白いです。この主体は時間も場所も関係なく曲がり角を信頼してそうなところがよい。

神谷幸広+東雲荘一郎

立ちながら靴を履くときやや泳ぐその手のいっときの岸になる
/榊原紘『悪友』

紹介:
神谷と東雲の関係を一言で表すのなら、悪友だと思います。この主張から入る理由は、この歌が含まれる連作のタイトルが「悪友」だからです。『悪友:交際して身のためにならない友。悪い友だち。また、親しみを込めて親友や遊び友だちなどをいうこともある。』(コトバンクより)
実際にゲーム内で一緒に帰ったり靴を履くとき手の置き場になったりするシーンはなかったかと思いますが、この歌が似合う人を315プロ内49人から2人選ぶとしたら神谷と東雲だと思ったのでそうしました。咲ちゃんと巻緒は有力候補でしたが、2人で一緒に靴を履き替える様子が浮かびにくい・2人とも体幹強くてよろけなさそう・巻緒は靴べらを、咲ちゃんは椅子を使って靴を履きそうという勝手なイメージがあるので神谷と東雲にしました。
待ち合わせて一緒に帰るのか偶然下足場で鉢合わせるかしたときに、手を差し出して「いっときの岸」になっていてほしい。靴を履く側と手を差し出す側は決めない方が素敵だと思うので決めません。

評:
「やや泳ぐ」から、言葉のやわらかさと句切れによる一呼吸を感じます。ふらつく身体の様子を「泳ぐ」と表現して、「岸」にリンクさせているのが言葉選びがものすごくいいです。四句目と結句にまたがる「いっとき」から、主体が手の置き場になり、ほんのわずかな時間だけ二人が繋がっている印象を受けます。とても好きな歌です。

葛之葉雨彦

あぶらあげあるとあんしんしてしまう
岩根彰子『金曜日の川柳』(樋口由紀子編)

紹介:
315プロ内で油揚げと一番結びつきがある人は雨彦さんでしょう!でこの句を選びました。油揚げを見かけたときやゆっくり味わうとき、お味噌汁に油揚げがあるのに気づいたときに日常に戻ってふと「あんしんしてしまう」雨彦さんは「いる」と思います。
句全体に生活に紐づいている感があるので、人や物の汚れを沢山見ている雨彦さんが油揚げを通してあたたかさを感じてほっとしていたら嬉しいです。

評:
ないときに今すぐ買いに行くほど必需品ではないからこそ、あると安心するのが油あげ。句がすべてひらがななところに柔らかさ・安らぎを感じます。前半の「あ」、後半の「し」の連続の韻が弾んで楽しい気分になります。男性の低い声で読み上げてほしい一句です。

北村想楽

二と二では四だが世間はさうでない
/近藤飴ン坊『金曜日の川柳』(樋口由紀子編)

紹介:
アイドルデビュー前の北村想楽の一面を感じる一句です。「世間はさうでない」に周囲とのズレを感じる北村が重なります。2+2は4だよねー?みたいなこと思ってても言えなかったことがありそう感。
この句は断言することで自分と世間に明確な線引きを感じますが、北村は合わせようとして疲弊したり、過去の発言を後悔したりする描写があるためそこは少し違うかもしれません。
初見はデビュー前の北村みのある句だと思っていましたが、改めて読むと「氷上のアクアリウム〜個性豊かなペンギンたち〜」の北村想楽じゃないですか?

氷上のアクアリウム〜個性豊かなペンギンたち〜イベストより

世間のズレを感じる北村、そのまんまじゃないですか?北村が世間に対して斜に構えているのは、アイドルになる前もなった今も変わらない穿ちの視線を持ち続けていることと同義だと思います。アイドル活動と出会いによって物事の捉え方や取り組み方に変化がある一方で、角度をつけた見方は変わらないところに頑なさを感じて好きです。

評:
世間が「二と二では四」と思っているのが定番な気がしますが、この句はそうでないと嘆いています。覆しようのない2+2=4を「世間はさうでない」としているところに、主体が込める思いの強さを感じます。そう思わせるようなことがあったのか気になる一句です。自他の境界線がはっきりしていてかっこいいです。

古論クリス

長い長い手紙を書いてきた海だ
/前田一石『金曜日の川柳』(樋口由紀子編)

紹介:
この句にクリスさんを感じました。
海洋学というかたちで海を捉えてきて、研究にひと段落ついた時、オフで海を眺めた時、ふと「長い長い手紙」を自分が受け取ったと感じる時があったんじゃないかと思います。
手紙は読むより書く方が時間がかかるもので、誰かに宛てたものならきっとしまい込むよりは読んでもらいたいはずです。クリスさんは書くのにかかった時間を大切にしながら読んで受け取めてくれると思うので、その点もクリスさんらしいと感じました。
クリスさんは人生を使って研究やアイドル活動で海への返事を書いているようなものなので、本人が思っている以上に海(概念)とは互いに意思疎通が出来ているような気がします。

評:
海は手紙を物理的に書くことはできませんが、長い年月をかけて成立した海を手紙を書いてきたと比喩している句です。ただの手紙でなく「長い長い」と表すことで、44億年前に誕生したとされる海の歴史があり、海と自分が経てきた年月に大きな差があることを表現していると思います。海自身が主張しているようにも海を眺めた人が言っているようにもどちらにも取れますが、後者と解釈したいです。

天峰秀+花園百々人 

今週の天才型と努力型
/平岡直子『Ladies and』

紹介:
血液型みたいに「天才型」「努力型」と人を区切っています。切り口が軽やかでかっこいいところが2人に通じると思って選びました。エピゼロで「天峰秀は天才」と自分に言い聞かせていた秀くん、「才能はない」と言われつつ数多くの分野で受賞していた百々人はどちらも天才型かつ努力型だと思います。
朝のニュースのいちコーナーのような軽さで人を分類しているのが、アイドルとしてまなざされるときの悪意を感じて好きです。

評:
今週の血液型占いです、みたいなテンションの句です。
「今週の」で毎週天才型・努力型が変わるのか、または週単位で型ごとに様子が変わるかどちらとも取れます。前者だと「天才型」「努力型」は推移していると考えられます。
使われている単語は全て一般的ですが、17音の句として見ると急に意味がわからなくなります。その言葉選びが鋭くてかっこいいです。

眉見鋭心

そりゃ男はえらいよ300メートルも高さがあるし赤くひかって
/平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』

紹介:
私にとってすごく「眉見鋭心」ぽさを感じる歌です。眉見はえらいし(生徒会長)、(背が)高いし、(髪の毛と個人カラーが)赤いし、(アイドルなので)光ってますし。
眉見は、客観的に見て環境体格容姿etcが恵まれており、かつその自覚もあってか自分で自分のハードルを爆上げしている印象があります。「男」の理想像をなぞっているように見えます。この歌は『男はつらいよ』をもじっており、私は眉見は男性優位社会・権威に縛られていると感じているのでこの歌を選びました。常人ならとても成し遂げられない「男ならこうあるべき」を素質と努力で保ち続けているように見えます。
それはそれとしてエピゼロを読んだときにヴァイツゼッカーのスピーチが思い浮かんだので引用します。

(前略)問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。(後略)

ヴァイツゼッカー『荒れ野の40年』(岩波ブックレット)

現時点の眉見はフレームが堅いイメージです。 「俺は正しい、いつだってな」と「間違った人間は俺」は言ってることが正反対なだけで、「正しさ」を唯一無二と捉えているのは同じです。間違えてはならないと盲信しているから、確実な正当以外に踏み込む自分が許せないのかもしれません。それでも自分の選択が「最適解」だと思えるところに驕りが見えます。18歳の青さといえばそれはそうですし、そのような彼だからこそVDWDで見せる一面が愛らしく感じられます。 
ただしその信念がある行動で最強生徒会長として有名になるほどの実績を重ねており、ほぼ初対面の百々人には話しやすいと思われることもあったので、その選択で間違ったことは経験でも実感でも少なそうです。「わからないから考え続ける」ことを回避しているように見えます。
315プロはなんとなく、自分の意志or無意識に「善くあろう」と努める人が多い印象があります。コンプライアンス遵守はもちろん、倫理的に望ましい行動と自分がやりたい行動が偶然一致していることが多い雰囲気を感じます。眉見のようにこうも世の規範に沿わねばならぬ、なぜならそれが正しいから、というスタンスの人物は今までいなかった気がします。いつか抱え込んだ義務感を捨てられるといいな、と思っています。
エピゼロ〜ノアロイベ、ノアロイベ以降が全くわからないままサイスタ終わるって本当ですか?

評:
「男」が東京タワーの比喩を用いて表現されている歌。「300メートル」の高さで、光を発する主体であることから「男」が見上げられる存在・権威ある存在として表されています。「えらいよ」「ひかって」がひらがなでやわらかい印象です。「そりゃ」「男は」「えらいよ」に含まれるo音、「高さが」「あるし」「赤く」のa音の繰り返しが畳み掛けるような勢いと飲み屋でクダを巻くような循環を感じます。

アイドルマスターSideM

えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください 
/笹井宏之『えーえんとくちから』

紹介:
「えーえんとくちから」3回の繰り返しがステ・モバ・スタのサ終告知を知ったときの嘆きに重なります。「永遠」は変化のない日々・SideMを知る前の日々、「永遠解く力」はSideMと出会わなければ、永遠に踏み出せなかった一歩(≒SideMをきっかけに始めたこと・挑戦したこと)とそれぞれ解釈しました。
個人的に卒業・就職・再就職までの期間にSideM楽曲から元気と勇気をもらい、SideMコラボを見るために旅行頻度が増えたり同人イベント(パバステ現地)にスタッフ初参加のきっかけをもらったりという経緯があります。
永遠解く力、いつまでもくれよSideM……未来はそこにあるって言ってよSideM……これSideMのイメージ短歌じゃなくてSideMに対して私が抱く感情へのイメージ短歌ですね。
笹井宏之の作品は、熱とやさしさが芯にありつつときに表面に突拍子のなさが強く出てくるところにSideMみを感じます。

評:
「えーえんとくちから」三度繰り返して「永遠解く力」とわかりました。「えーえん」は口から漏れ出る泣き声のようにも感じられます。定型から外れた9・9・9・5なのに、ものすごくかっこよくてさみしい歌になっているのがすごい。「永遠解く力」だけ漢字で、願いの強さと切実さを感じます。

以上です。歌も句も私が知っている作品だけなので、素敵な作品はこの世にもっともっと存在しています!見つけ次第追加したいと思っています。

Waveboxのスタンプ押してもらえるととても嬉しいです。

ここまでお読みくださりありがとうございました!

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