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コロナと入国規制と妹のタイ渡航ミッション

知らぬ間に9月になってしまいました。在宅の日々が続き、海外に行けず、家族と会えず、という日々が続いています。今回は、その問題の中心にある「入国規制」に触れていきたいと思います。

1. 韓国・日本間の入国規制

私は日本に住んでいる韓国人ですが(永住権はありません)、もともとは日本で仕事をしている家族と一緒に住んでいました。2019年に両親がタイへ転勤になり始めた一人暮らし。自由なのはいいけど、なんだかんださみしい時も、やっぱり家族に会いたいときもありますよね。

2019年までは韓国とタイ、合わせて年3-4回行き来するほど、海外で過ごしていたのですが、コロナの影響で入国制限が厳しくなり、韓国へも、タイへも行けない状況になってしまいました。(=家族と全く会えない!)ただ、同じ「入国制限」といいながらも、実は韓国とタイの事情はそれぞれちょっと違うんです。

まず、韓国・日本間の入国規制は、「物理的・制度的に韓国には帰れるけど、日本に帰ってこれない」。韓国は2週間の隔離を実施すれば、国籍・出発国を問わず国内への受け入れが可能な状況なので、もちろん韓国人の私も入国することができます。ただ、問題は日本に帰ってこれない(帰国時入国できない)ということなんです。9月1日時点で日本は、入国制限を実施する前に海外に渡った、在留資格を持つ外国人は再度入国ができるよう調整をしていますが(留学生など)、入国制限後に渡った人は今も帰ってこれないのが現状です。(なのでもちろん今行ったら帰ってこれません。笑)

じゃ韓国に帰って入国制限がなくなったら帰ってきたらいいじゃん?と思われる方もいるかもしれません。でも、職場や自分の家など、生活の基盤がこちらにいる人にとっては「いつ帰ってこれるかわからないけど、とりあえず海外に行く」っていうのはなかなか厳しいのが現状です。例えば、今は在宅ワークが中心だからいいけど、感染者数が減少傾向に転じたらお客さん先へ行かないといけないんじゃないか、とか、日本にいなかったら自分だけ配属で不利な状況になるんじゃないか、とか。また、長期的に海外で日本の企業の業務を行うと、その国へも税金の支払い有無も大きな論点になります。

私の会社は比較的柔軟に対応しているほうだとは思いますが、なんにせよこのような事態が初めてなので、社内で帰国の許可が下りるのはケースバイケースですし、実際交渉にかなりの労力を要するケースを見てきました。長期の在宅が前提となるミドルオフィスのPJであれば行きやすいけど、クライアントフェーシングが前提のPJであれば状況の変化も読めないので許可が下りなかったり、何カ月以上帰ってこれなかったら休職/有給消化という約束や、アサイン(コンサル会社なのでPJベースです)に不利になることに同意せざるをえないケースもあります。

2. タイ・日本間の入国規制

一方で、タイ・日本間の入国規制はまたちょっと違います。こちらは、国境が開かれている韓国と比べ、タイも日本も国境が閉じているケースです。すなわち、「タイに物理的に行ける手段も制度もなく、行けたとしても日本には帰ってこれない」ということです。

タイは段階は少しずつ緩和されていますが、国内の緊急事態宣言を維持しており、特に入国制限についてはかなり厳しい態度をとっています。7月まではタイ国籍の人や外交官などしか帰れず、大使館の手配する便でしかタイ⇔他国間の移動はできない状況でした。8月になってまた少し状況が緩和され、タイのwork permitを持っている外国人やその家族、永住者、留学生、医療行為を受ける目的の入国などが認められるようになりました。ただ、依然として大使館の手配している便でしか行き来はできず、行き来の数はかなり制限されている状況です。(9月は非タイ国籍向けに、計6便の便を運航予定)

実はアメリカに留学に行っていた妹が3月末にコロナの影響で突如帰国し、転校予定だったタイの学校への入学に向け、ひたすらタイへの入国制限が緩和される時期を待つ、ということをしていました。(妹の場合、日本へ再入国する予定はないので、とりあえずタイに渡れればいい!という状況でした。)毎月延長される非常事態宣言に心苦しさを覚えつつ、いつ行けるようになるのか、いつ行けるようになるのか、という想いで毎日を過ごしていました。8月になってからすぐにビザを申請、CoEを取得、大使館の手配する便を予約でき、すごいスピードで物事が進んだ結果、現在は現地での隔離期間も終え、元気に過ごしています。この準備過程は、また別の記事でお話しできればと思っています。

3. まとめ:みなさんの理解が必要です

「帰りたければ帰ればいいじゃん」といわれることも多いですが、生活の基盤があったり、それはそれで仕事もがんばりたかったり、ここでやらないといけないことがある。そんな悩みを持つ外国人のみなさんにはきっとつらい時期が続いています。「在留資格」という、「日本にいていいよ」という資格を持っているにも関わらず、日本に帰ってこれない現状は、帰らなければならない理由を抱えている誰かにとっては本当に致命的な問題である場合もあります。

日本のみなさんも、感染者数の多い東京から地方に行くなんて家族から反対される、なんてニュースも聞きますから、帰りたいけど帰れない状況があるのは外国人だけではないと思います。でも、また一つ視野を広げて、それでもここで頑張って生活している外国人がいること、入国制限という本当に制度上のむずかしさがあることを理解して、少しは応援していただけると助かるな、と思うこの頃です。

また、さらに視野を広げて、「海外で仕事ができる環境づくり」も会社単位でできるようになってくれば、もっと多様な外国人労働者が多様な形で貢献できる形が生み出せるのではないかと思います。在宅ワークの可能性を感じながら、今回の記事はこの辺で終わりたいと思います。

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