漫画レビュー夜明け前:ゴールデンゴールド

「結局怖いのは人の欲望」という普遍テーマと民俗信仰SF、つまり好きなやつ

『ゴールデンゴールド』堀尾省太 講談社

https://morning.kodansha.co.jp/c/goldengold

怖くておもしろくて、読んじゃう系漫画。
この世界観、まさに諸星大二郎的なんだということに気がついた。
『暗黒神話』のなかに、確か七福神の話があった。
あれも、海の漂着物を持ち帰る(=えびす信仰)が母体となった話で、最後は七福神の生贄になりそうになった少年だけれどもなんとか命からがら逃げ延びた、諸星作品にしてはギリギリハッピーエンド(?)な話だったように思う。

今新たに登場してきたヒトの神=寿老人で、カネの神=大黒様なのではないかと。もともとのフクの神、はそれらの総称的なものというかんじなのかな。絵柄的には、フクの神はまさに布袋様をモチーフにしているんだなと、画像検索をしていて気がついた。画像をみると、ふつうにお寺とかにあるはずの布袋様の像、フクの神よりもよっぽどホラー感強いというか、本気でこわい。福の神と貧乏神という昔話があったと思うけれど、紙一重ということは昔から人はよくわかっていたことなんだろう。

お金ってなんなんだ、人の幸せってなんなんだ。
昨今、地域こそ経済を回さなければ、とか、地域で経済を循環させるとかいうけれど、地域経済がまわると一体どうなるのか、SF的に見せてくれる漫画。ひやりとするというか、背筋が凍るというか、とにかくまあ、結局怖いのは人間の欲望ということを、人は繰り返しテーマにし続けて何か作品を生み出し、そしてしかしそれを忘れて、愚かで、でももう一度やり直そうとする(と信じたい)。

作品詳細・講談社HPより引用

現れたのは、福の神!? 島に降るのは、金か、血か——。
早坂琉花(はやさかるか) 、中学2年生。
他人の心の機微に聡く、内地の中学に上手くなじめなかった彼女は、両親のもとを離れ、祖母の住む瀬戸内の島で暮らしている。
海で拾った「福の神」らしき置物に、琉花が願掛けをすると、置物そっくりな謎の異形が現れ!?
堀尾省太 ほりお・せいた
広島県生まれ。高橋のぼる氏と能條純一氏に師事。連載デビュー作『刻刻』で一躍注目を集め、同作はマンガ大賞2011にもノミネートされた。著書に『刻刻』全⑧巻。単行本未収録の『刻刻 番外編 —300日後—』は各電子書店にて無料配信中。

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