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想い出の店

広島にいた頃、よく行ってた鉄板焼き屋さんのお店があります。
「中ちゃん」
何年か前に亡くなられて一時は閉店したが、再開しました。
一緒によく行っていたむこうの友達が「中ちゃんにいま~す」と写真を送ってくれた。


おー、店内外が綺麗になって、料理もおしゃれになってる。
僕が言ってた頃は、トップの写真で、壁に空いた穴には電話帳がつっこんであった。テーブル席はなかったなぁ。
なんでも、いきなりいったら入れない時があるくらいの人気店らしい。

初めて連れて行ってもらったのは師匠に。薬研堀通りをちょっと奥に入ったところ、いわゆる歓楽街?なのだが、当時はトルコ風呂の店(今はこの言い方もない)が連なっていた。
それは今も変わらないらしい。

そこで食べたステーキ、舌平目のムニエル、海老の踊り、カキのバター焼き・・・(品目だけみたらどんだけの高級店かという感じだが)
ほんとびっくりする程おいしかった。
僕はその味に魅せられて何度も店に足を運んだ。

そのうちにだんだん話もするようになり、中ちゃんも何故か僕達には優しかった。
「知る人ぞ知る」という店だから音楽業界の打ち上げでミュージシャンもよく来ていた。
でも中ちゃんは、「今、いっぱい」とブスッと断ったりしてる。
「中ちゃん、僕達もう出るから」と言っても「ええんよ」とそっけない。
知ってるプロモーターだったりしたら、なんか居場所がなかったり、カシオペアが打ち上げに来た時、たまたま呑んでいた僕に「rakudaはこの人よりうまいん?」とか、とんでもないことを言った。

女性には優しかった。
「はい〇〇ちゃん、これサービス!rakudaは食っちゃいけんぞ」とよく怒られた。

そんな中ちゃんが、僕達が呑みながらみんなでバスケットの試合をすることを話していたら「俺も行っていいか?」と聞いてきた。
「いいですよ」と僕達は答えた。時間と場所を教えた。でも来ないだろうと思ってた。

そしたら中ちゃん来ました。バスケットこそしなかったけど、僕達がふざけて女の子に抱きつきながらしてるのを怒って観てました(笑)

終ってから近くのお好み焼きさんで打ち上げをしたらそれにも来てくれて、しかも焼いてくれた(爆)
さらに「今日は競馬で勝ったから」と支払いまで済ませてくれていたのだ。
さすがにこれは申し訳ないと、いくら返そうとしても受け取ってもらえなかった。

もうひとつ。一度、中ちゃんの買出しにおつきあいした事があった。
なんか昔の広大の近くの大きな肉屋さんに行きました。その時
「中ちゃん、儲かるの?」って失礼な質問を僕はしました。
ステーキはほんとおいしくて量もあって(今あれにライスとサラダがついてたら10000円くらいするんじゃないかな?)、でも僕達が払える金額だったのでずっと気になっていたんです。
「肉はほとんど原価」って話してくれたのを覚えています。

「中ちゃん」は値段が書いてあるわけでもなく時価みたいなもんだから僕達お金のない若者には安く、お金のありそうな人には高く請求していたのかもと思っています。

また、トルコ風呂のマネージャーさんが「お持ち帰り」をよくしてましたが「タダか倍か」のじゃんけん勝負をしてました。
根っからのギャンブラーだったかもしれません。
生活費はギャンブルで稼いで飲食業はボランティア?

当時、一人暮らしだった僕達を栄養のある料理で腹いっぱいに食べさせて頂いたご恩は忘れてはいません。  合掌・・・・