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感染怖いが日本は行きたし

通訳ガイドのぶんちょうです。
今日は、個人ツアーに参加したコロナ感染をとてもとても怖れていた外国人観光客の話です。

一般的に言われてるのは、まあ、言われてだいぶ経ちますが「外国、特に欧米では、もうとっくにマスク時代は終わり、今までと変わらない生活を謳歌している」と言う話です。

外国人が自由に入国できるようになってから、かなりの数の、アメリカ人を中心に個人ツアーのガイドをしましたが、彼らの話からも、22年の夏頃、彼らの奔放な生活ぶりを聞いて「本当にそうなんだ!」と、鎖国下で欧米からもたらされる情報に感心する江戸時代の人間の如く、ウワサを生の声で確認しては「へーっ」とか「ほーっ」などと思っていました。

2022年に日本に観光に来た人たちは、一番乗りグループですから、好奇心に溢れ、行動的、冒険心の強い人たちのはずです。

そうでなければ、あのめんどくさい書類審査やら検査やらを突破してまで来る気にはならないでしょうから!

そんな彼らも「郷に行ったら郷に従え」精神で夏場であっても協力的でした。もっとも、人の少ない外の開けたような場所では、「マスクを外してもいい?」と聞かれれば、「どうぞ」と言い、私も外します。

マスクを外すと面白いことがあります。思わず「始めまして!」と言いたくなるのです。 ホテルで初めて会い、そのままずっと数時間経ちますから、言わばマスク付の顔が、その人の「顔」として私の頭は認識しているのでしょうね。

だからマスクを取った瞬間、新しい人に会ったように感じてしまいます。ガイドをしていると、ランチの時に初めてお顔を拝見というのがほとんどのパターンです。
マスクを取ると制服を脱いだ時のような安堵の気持ちになります。

普段マスクなしの生活をずっとしながらも、こうして日本の旅行のルールに従ってくださるのはありがたいことです。正直な話、私の仕事がひとつ減ります。もし、マスクをしないという主義をツアー中にも主張されると、きっと説得に時間がかかり、観光どころではなくなる可能性も。

私自身、郊外に住んでいますので散歩中のマスクは、長いことしていませんが、ツアーでは必ずしていきます。周囲からの攻撃を受けたら、仕事にならない。私はできる限り自分のやるべき仕事に集中していたい。それが理由です。そもそも寒がりだから冬のマスクは好きですけれど!

そう思っていましたが、真逆のことが起きたこともあります。電車の中なのでマスクをしていることで、私のお客様が咎められました。「そのマスク窮屈じゃない?」から始まりました。これにはびっくりでした。電車の中でまさか「マスク外して」と、しかも日本人から言われるとは。

観光客のなかには、私たちが持っている欧米人のイメージと全く違う方もいます。感染をとても、とても怖れている方達です。もっとも、本気で恐れていたら海外旅行はしないでしょうから「こわい。けど行く!」の人達です。

今まで二組ありました。一組目はアジアの方です。日本は大好きで何度も来日経験のあるグルメさんです。専用車で富士五胡方面へ行きました。車(アルファード)には、ドライバーさんと助手席のある1列目とお客様の座る2列目の間に、ビニールのようなプラスチックのような仕切りがあります。(感染対策用)

私はこの仕切りが好きではなく、取り外しが可能であれば取っていただくのですが、今回はもちろんそのまま。仕切り越し、マスク着用、車内、マイクなし、この条件で後ろを向いて聞こえるように長時間話すのは結構喉も疲れます。2列目からでは、あの富士山だってビニール越しで見るとヨレヨレしてしまいます。

こちらの方、あらゆる接触を避けたい方なので、1人1枚持たなければならないチケットは大変でした。親指と人差し指で、チケットの端っこ1ミリ位の場所をつまんでいました!風吹いたらチケット飛ばされるかも。

お昼のレストランは、靴を脱いで上がるタイプだったのでトイレ専用のサンダルが用意されています。これもNGらしく、自分の靴でトイレに行ってもいいかと聞かれました。

「いいですけれど、脱ぎ履きが大変だからサンダルを使ってもいいですよ」と答えました。すると、ばつ悪そうに「あの、自分の靴で行きたいの」と。あ、なるほど。とまあ、こんな感じのお客様でした。何だか可愛いらしく思いました。

もう一組は、アメリカの方。最近、老人ホームに入った老親に面会をしたいので、絶対に感染したくない。アメリカ人は勝手で、自分はもう感染経験があるからマスクしないなどと、勝手な人が多くていや。日本人はちゃんとルールを守ってうらやましいと言うのです。

マスクに関して日本は理想だと言うアメリカ人がいることに驚きました。そのご家族、アメリカではコロナ騒ぎ以来、一度も外食したことがないと言う徹底ぶりでした。

その日は幸い、風もなく快晴だったので美味しそうなお弁当を買ってデパートの屋上でご家族皆んなでピクニック風ランチで楽しんでもらいました。

ガイドの中には、お客様にマスクをしてもらうことに苦労した方もいるみたいです。

色々な人がいらっしゃいます。国のイメージでお客様のタイプを判断することは全くできないのですが、今回あらためて、このことを感じましたね。




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