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通訳ガイド 中山道、鳥居峠を歩く
通訳ガイドのぶんちょうです。
鳥居峠はかつて中山道で1番の難所と言われた場所。中山道の藪原宿と奈良井宿をつなぐ山道です。ゆっくり歩いて2時間強のハイキングコースです。
今回のルートは私にとって初めてのコース。しかも調べた限り、なかなか手強い山道であるらしい。まずはコースの下見、そして日をあらためて本番と2回の峠越えをしました。
スタートは中山道の薮原宿近くの薮原駅。ここから鳥居峠を越えて奈良井宿に出ます。
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1回目は5月の爽やかな気候とお天気に恵まれ、ハイキング日和りです。
峠道は、頼りのグーグルマップも真っ白で、何の表示もなく使えません。ヤマップなどの登山者用地図のダウンロードも考えましたが、そこまではいいかなと思い出発です。
薮原の駅からスタートし、まもなく「あれ道がない…」よく見ると地下道があり、そこから薮原宿へ行けることが判明。これだから下見は欠かせない。
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薮原宿は、観光地として栄えている馬籠宿などと比べると地味で静かな場所でした。それでも、お六櫛と言う木曽の伝統工芸品のお店がぽつんとあったりして、かつての宿場町の面影を密かに残しています。
お六櫛には、こんな伝説があります。江戸時代、お六と言う娘が頭痛に悩まされていました。するとミネバリの木でクシを作り髪をすきなさいと言う御嶽山の神様からのお告げがありました。その通りにすると、頭痛がすっかり治ったそうな。
この櫛を、他の頭痛に悩む女性の為にもと作り続けたところ、ここ薮原の名物になったそうです。
さて、この藪原宿を通り過ぎると、間もなく急な坂が続きます。まだまだハイキングは始まったばかりなのに息があがってきます。
それにしてもハーッ、この近くにお住まいのお年寄りは、ハーッ、一体どうやってハーッ、この坂を普段上がってるのかね、ハーッとコロナ期にすっかり衰えた筋肉をうらめしく思いながら独り言ブツブツ。
この辺りの写真がないのも私の余裕のなさを語っていますね。
しばらくコンクリートの急坂を上った後に、こんな道に出ます。
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山路をひたすらに上りながら、幕末の和宮も明治天皇もこの峠を越えて京都から江戸へ向かったことに思いを馳せます。
当時の山路はほとんど整備されていなかったでしょうから、急峻な峠を馬や駕籠で一体どんな風に越えて行ったのやら…。
また、戦国時代には武田軍と小田軍が激突した「鳥居峠の合戦」の戦場です。尾張と信濃の国境であるこの峠では、数多くの戦いの場となったそう。帰りにふと気づいた標識の「葬り沢」と言う名の意味が、後にわかりました。兵士の埋葬の場所であったようです。
写真は楽そうな道ですが、実際はかなりの急な山路が続きます。連日2万歩は歩くガイド業ですが、やはり山路は堪えます。
頂上はまだかいなと思いながら、1時間弱位歩いた頃でしょうか。鳥居峠の名前の由来となった鳥居が見えてきます。
そして、その神社の裏側から、こんな景色のご褒美。
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ほどなくして、峠の1番標高の高い場所へ。頂上付近は、やがて信濃川となって日本海へそそぐ奈良川と太平洋へとつながる木曽川の分水嶺であることも、この地に立つことで何か自然のスケールの大きさを感じさせる場所です。
ここからは下りが始まります。ところが下りもまたきついのが鳥居峠です。細い道で下は崖っぷちです。足を滑らせないように慎重に下ります。
前日も中山道の別のハイキングだったので、前日の軽い筋肉痛が残る状態の追いハイキング。この職、筋肉鍛えられます。(泣)
こんな山の中なので他のハイカーと出会ったのはハイキングの終わりの奈良井宿のすぐ近く。ガイドに引率された外国人の団体さんでした。皆さん、両手にハイキングポールを持ってました。
なるほど、あれは便利そう。使ったことがないので、下見の後、アマゾンで購入してみました。両手が塞がると不便かと思い、とりあえず一本のポールにしました。
このたった一本の棒が便利で、特に下りの足元が危ない所でバランスを取るのに非常に役に立ったのです。
これを私が使っているのを見て、お客様も「それ、私も今度買う!」と言ってました。
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鳥居峠を越え、お客様と1番の難所克服したね!とハイタッチ。奈良井宿が眼下に見下ろせる所まで来ると本当にホッとします。
奈良井宿に着けばパラダイス。その始まりはお煎餅なのじゃ!
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峠の先にあるのは全長1000メートルの中山道は奈良井宿。ここの宿場町は当時からとても栄えていたそうで「奈良井千軒」とも言われたそう。
今でも昔にタイムスリップできたような素敵な場所です。しかも中央本線、奈良井駅のすぐそばなので、ここには観光客の姿もあります。
ここでお蕎麦を食べ、名物の五平餅を食べ歩きすることができます。
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そして、3回目の鳥居峠越えの日。この日は雨でした。雨でもハイキングは大丈夫というお客様。鳥居峠を歩くかどうかの判断は私にかかっています。
前日から、かなりの大雨。でも、ハイキングをしたいという気持ちはかなえてあげたい。迷いに迷いましたが、途中の車のなかで雨は相当な本降りになりました。
これを中止のサインと捉え、お客様にハイキングの中止を告げて、代替案を提示しました。お客様も納得してくださり、ほっ。
途中の道の駅やお土産屋さんでも、雨のハイキングの情報を集めましたが、やはりやめて正解でした。確かに晴れていても、木が鬱蒼としているので下がぬかるんでいるし、心配なのは下りです。もし足を滑らせたら谷に転落してしまう可能性も。
今回のお客様は中学生もいるし、そもそも短パン姿なのでした。ハイキングシューズを履いていても危険です。また、晴れていた先週は汗をかきながら上りましたが、その日の峠の気温は12度。なめちゃいけないハイキングです。
というわけで、3回目の鳥居峠はなくなりましたが、奈良井宿や近隣の宿場町でたっぷり遊んでいただきました。
2時間かけて歩いた鳥居峠。電車ならほんの5分の距離です。トンネルって偉大だわ。ありがたーいとしみじみ感じます。
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