90年代ガールズカルチャーからみるnewjeans
久しぶりに韓国の女性アイドルグループであるnewjeans(ニュージーンズ)にどハマりしている!
newjeansというグループ名は
という由来だそう。
その名の通り、newjeansはこれまでのK-POPの在り方からは一線を画している。その新しさは楽曲、MV、ファッション、ダンス、グッズ関連、プロモーションなど多岐に渡る。newjeansに重要なインスピレーションを与えているであろう存在が、90年代ガールズ・カルチャーだ。
90年代ガールズ・カルチャーとは
私自身も学生時代、このガールズ・カルチャーに多大な影響を受けていたうちの1人だ。
そしてnewjeansの活動を見ていると思い出す、この時代を牽引してきた2人の女性がいる。女性写真家ヴァレリー・フィリップスと映画監督のソフィア・コッポラである。
今回は彼女たちにフォーカスを当て、紹介していきたいと思う。
まずはニューヨーク出身の写真家ヴァレリー・フィリップスである。
90年代、世界中で女性若手写真家が活躍した。この一大ブームは「ガーリー・フォト」と呼ばれ、彼女はその牽引者の1人である。
その時代活躍した他の女性写真家と同様に、彼女の被写体はクラスメイトや家族のポートレイトだった。
写真の中の女性たちは、ごく自然な姿を捉えられている。
体毛をありのままの状態にしていたり、裸体も写されているが、そこには異性を意識した”性的な”セクシーさは体現されていない。あくまで女性同士で、「こういうのってかわいいよね」と共感し合うような、ナチュラルな姿を提示してくれる。
newjeansの楽曲ではよくイントロ部分でメンバー同士で会話をしている。その様子からも、外側に打ち出したい強いメッセージはなく、あくまで友達同士の無邪気な会話の延長線にある世界観を表現したいのではないだろうかと思う。
もう1人は90年代ガール・カルチャーの火付け役であるソフィアコッポラである。
彼女の作品の中でも、ガールズ・カルチャーの先駆けとなった「ヴァージン・スーサイズ」は、newjeansの楽曲、コンセプトをしばしば彷彿とさせる。
この作品はガーリーな世界観と、それとは対照的なショッキングなシーンが印象的で、少女たちの可憐さと儚さ、光と影の部分を繊細な映像と音楽で表現している。
物語の主人公であるリズボン家の姉妹は、その美しい容貌から少年たちと交流するが、決して入り込めない少女たちだけのミステリアスで、繊細な感性の中で生きていた。
撮影はソフトフォーカスの画調で少女たちを柔らかく映し出していて、これはnewjeansの「ASAP」への影響を伺える。
newjeansのプロデューサーであるミン・ヒジンは、これら90年代ガールズ・カルチャーの影響をもろに受けた1人であろう。newjeansは、その音楽性の高さから一部の中高年男性ファンが現れ、彼らのことを「newjeansおじさん」と称することが話題になっているが、このガールズ・カルチャーの影響によって、30〜40代の女性の心をも鷲掴みにしているはずだ。
また、BLACK PINK、ITZYなど、K-POPのアイドルグループの属性として知られるガール・クラッシュは、同性である女性から見て「憧れ」の対象となるような印象をもつことであるが、newjeansのガールズ・カルチャーはあくまで「共感」に着目しているのではないかと思う。そこが現在のSNS全盛期にみられる「共感」の時代にフィットしているのはないかと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?