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手紙とコロナとレトルトカレーの話。⑥

コロナ禍の振り返りと、新しく企画してるレトルトカレーについての長文のシリーズです。

【#手紙とコロナとレトルトカレーの話】
⑥個人戦とチーム戦と責任の話

僕はカレー屋を経営しているので、いちおう経営者のはしくれということになります。
よくマーケティングや経営の本を読んだり講演を聞いたりもするのですが、「経営者は孤独」というフレーズをよく見たり耳にしたりします。

理由は様々だとは思いますが、
決断を迫られる場面が多いこと
その結果が全て自分にのしかかってくること
失敗した時のダメージがダイレクトで降りかかってくること
うまく行けば妬まれること
あたりがその要因なのかなあと思っています。

緊急事態宣言中、飲食店に配られる時短協力金の対象から外れた時(ランチのみのお店はもらえなかった)は「あ、これは本当に死ぬのかもな」って実感したし、 

レトルトを売るために慣れない土地に出張して「ラージクマール?聞いたことない、まずはお店頑張って有名にしなよ」って製品を見てももらえなかった時は悔しくて泣きそうになったし、

一年近く悪戦苦闘してようやくレトルトが各地のスーパーに並び始めた時は
「レトルト、いくら儲かってるの?」
「金儲けが得意だよね」
という主旨のことを言われることが増えてきました。

それでも、何かを始めることや、自分でビジネスをすることにはこういう孤独感がつきものなんだろうなあと思っていました。みんな言ってるし。本にも書いてあるし。

が。


僕は今年の後半くらいから、この孤独感を突破することを覚えました。
前置きがすごく長くなりましたが、今回はそんな話です。


今年の4月から「らじくまインターン」というものをはじめました。
学生と一緒に僕が手掛けている仕事やイベント等をやることによって、社会勉強をする、というものです。
せっかくなので生の現場を見せようと思って、
「今のうちの売上はこんなかんじ。で、コロナ前はこのくらい。飲食店としてはこのくらい売上が無いと厳しい。コロナで受けてるダメージはこのくらい。ということでこんな施策を考えてます!」
みたいなガチの裏側までインターン生に見せてしまうことから始めました。

いくつかの仕事を割り振る中で、自然と僕の仕事は「個人戦」から「チーム戦」にシフトしていきます。
「これはこんなコンセプトで、こんな想いを込めた仕事だから、こういう風にやってほしい」
「この仕事でこういう成果が出た。これは感動するよね」
「これは相手にこんなメリットを与えるためのもので、そのためにこんな手段を取ってるよ」
というところを伝えるように心がけ、インターン生はみんなそれをきっちり汲み取って仕事をしてくれました。

今回作っている新レトルト「Letterシリーズ」は、インターン生と一緒にやっている仕事の中でも大きなものの一つです。

これまでにさんざん書いてきましたが、このシリーズは「コロナ禍だからこそ生まれたもの」「コロナを乗り越えうるもの」として設計していて、
「コロナ禍で会えない人に気持ちを届けるもの」
「アフターコロナの世界で今まで会えなかった人に会いに行く時に手土産として成立しうるもの」
をコンセプトとしています。

皆で手分けして空港や新幹線のお土産売り場に行き、並んている商品のパッケージデザインや売り場の構成、売れ筋製品の調査を何回も行い、デザイナーさんとの打ち合わせに立ち会ってもらったり、デザインの改良等も何回も話し合いました。


個人戦からチーム戦になるにしたがって、仕事のスタイルややり方はどんどん変わっていきました。


①仕事のスピード感がものすごく落ちること。
これは誰かの能力が低いとか言うわけではなく、今まで僕が一人で判断して決めていたものが、「みんなどう思う?」
というプロセスを一旦挟むことになるからです。

そして、
②責任は増えること。
僕はインターン生達の貴重な時間をもらって仕事を手伝ってもらっています。
彼ら彼女らに返せるものがあるとしたら、「将来の人生で、必ず役に立つような経験や学びを得られるような時間にすること」「(即物的ですが)就活の面接で喋れるような活動にまとめてあげること」あたりしかありません。
どちらも必要になるのは「結果」です。
「一つの商品に立ち上げから関わり、結果その商品が大ヒットした」
という生のビジネスの現場を経験していることは、社会に出る上でとんでもなく強みになるはずです。そうしてあげる為に、僕は確実に「この商品をヒットさせる」という結果を作らないといけません。

最後に、
③それでも、孤独感は消えること

たまに、サラリーマン時代に僕の上司だった方々のことを思い出します。
当時僕がもっと仕事が一人前にできるやつで(謙遜でもなんでもなく本当にダメ社員だった)、チームの目標を理解して動けていて、助けになれていたら、きっと上司は楽だったろうし、そうでなかったためにきっとたくさん迷惑をかけたり孤独感があったりしたんだろうなあと思います。

あの時このことを知っていて、僕もインターン生のように会社で動けていたら、それはそれで、どんな未来があったんだろう。

ともあれ、新「Letter」のデザインは9割方出来上がりつつあります。次くらいに画像で見せられたらいいな。

次回、⑦「綺麗事じゃ済まないことと綺麗事の話」に続く。

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