一文字
2024年の「今年の漢字」が「金」に決定した。全国から送られてきた投票を集計したところ、一番多かったのが「金」、2位が「災」、3位が「翔」だったという。オリンピックのあった年の漢字は2012年以降はすべて「金」となっている。
1995年 震
1996年 食
1997年 倒
1998年 毒
1999年 末
2000年 金
2001年 戦
2002年 帰
2003年 虎
2004年 災
2005年 愛
2006年 命
2007年 偽
2008年 変
2009年 新
2010年 暑
2011年 絆
2012年 金
2013年 輪
2014年 税
2015年 安
2016年 金
2017年 北
2018年 災
2019年 令
2020年 密
2021年 金
2022年 戦
2023年 税
2024年 金
2000年もオリンピックの年で「金」が選ばれているから、むしろ2004年と2008年は、なぜ「金」にならなかったが気になる。
日本選手団は2004年のアテネオリンピックでは金メダル16個、2008年の北京オリンピックでは金メダル9個を獲得している。「金」が選ばれた2012年のロンドンオリンピックの金メダル7個より多いのだ。なのに選ばれていない(「金」は、2004年4位、2008年2位だったので、けして候補に上がらなかったわけではない。)
2004年は「災」。この年は多くの台風が上陸。新潟中越地震が発生した他、猛暑で作物も不作となった。天災だけでなく、イラクでアルカーイダによる邦人殺害、オレオレ詐欺の多様化など人災も多かったということで「災」となった。
2008年は「変」。サブプライムローンの問題に端を発する世界的金融恐慌、アメリカでは変革を謳ったオバマ氏が次期大統領となり、地球規模の気候変動が問題となったことから「変」となった。
「金」よりも注目すべき話題がある年だったということにほかならない。
「今年の漢字」というだけあり、その年その年によって「理由」がキチンとあるのだが、「なぜこの年はこの漢字?」と疑問に思うこともある。それで理由を見にいくと「ああ、そんなこともあったね」と思い出す。まあ、その理由を見ても納得いかない漢字の時もある。そういう意味ではオリンピックの年=「金」は分かりやすくていい。2014年と2023年の「税」は消費税率のアップ(2014年)と、増税とインボイス制度スタート(2023年)とこれも実にストレート。1995年の「震」は阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、金融機関の倒産など社会に「激震」が走ったことをよく表している。2011年の「絆」は東日本大震災発生後、盛んに用いられた言葉であった。この年の2位は「災」、3位が「震」であったことも含め、この地震を指し示す言葉が上位を占めた。
ちなみに「災」がトップ10に入ったのは、
1995年(3位)、1999年(9位)、2000年(5位)、2004年(1位)、2011年(2位)、2014年(4位)、2018年(1位)、2019年(5位)、2024年(2位)と、たびたび候補に上がっている。それだけ災害、厄災が印象的な年があったということになる。
漢字一文字でこの年を言い表すなど、難問もいいところで、土台無理な話なのだが、それでもあえて言おうとするなら、印象的な出来事を一つピックアップして、それを表す象徴的な漢字を選び出す(一般投票だからそうなるわな)。そして、選定された漢字に他の意味を付加していくことで、その年を象徴するかのようにしていくしかないのだ。だから、オリンピックの年は「金」になるし、災害が多い年には「災」が候補に上がる。