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間に合うのか?


依頼を受けて3ヶ月間、ずっと描いていた幕の図案。
風呂上がりに描きはじめて、寝るまでの数時間、ほぼ毎日何かしら手を加えて、それでも出来上がらない。下絵は100枚を超えて、色入れしたものは20種以上。依頼主と話を詰めるたび、どこかしらに訂正が入る。
この図案の難しいところは「大きさ」。
実物の大きさは縦240センチ✕横710センチ、描いているのはその1/10。ラインが1ミリなら実物は1センチ。小さな図案なら目立たないが、大きくすると雑に引いた線はアラがわかってしまう。
そのうえプリントではなく、染めなので色と色の間に糊を引いて境を作らなければならないので、図案にはある程度の「約束事」を守
らなければならない。

芸術家でもデザイナーでもない、ずぶの素人にこんな依頼をする方もする方だが、受ける私も大概だ。そんなこんなでこれが3件目になる。描き終わるまで、本職も抱えつつ、この胃の痛い日々を過ごすのだから、いい加減断ればいいのだが、気の弱さで押し切られる。

5月の末。染屋に図案と色見本を渡し、仕事を終えた。さて、染め上がりの品を見られるのは9月半ば。今回の出来はいかがなものか。
(ヘッダーは幕の図案の一部です)

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