警報のあった日Remixについて

警報のあった日 - ナクモ&めろう

警報のあった日は、ボカコレ2023夏ルーキーランキングで3位にランクインした楽曲である。ポストロックやオルタナの要素が大きい楽曲で、2000年代のオルタナに強く影響を受けたことを伺わせるそんな楽曲だ。

港沿いは曇天で波風が立っている
腐食の進んだ鋼材と機械油のにおい
「嵐がくるよ」って誰かが言っていた
海風は轟轟と互いに唸って交差している

だれもが永遠に仲良しじゃないから
ひどい口論の残響が耳元でわんわん啼いている
心臓の裏を悪い汗が伝って
肩腕を抱き寄せても破裂に耐えられない

街を巨大な腕が掠めて風が壁ごと窓を叩いた
黒い影、海を持ち上げて
歩行可能な怪物が防潮堤を跨いでしまいそう

いつだって言葉は余るか足らないか
でたらめなままで届いてしまう
過ちの数だけ爪が立ち見えない傷がまた膿んでいる
強い言葉では掬えない複雑な根を張る痛みごと
穿ってしまって、ぜんぶ攫ってしまえよ
街を巨大な腕が掠めて…

風の咆哮みたく頭がくるいそうだ!
やり直せないのはきっと当たり前だよ
すべてはもどらない、だから赦されない

ぬぐえない孤独はいつでも夜のむこうから
足取りや言葉を辿って背後に立つから
欺瞞や、誤答や、見限りのすべてが
肩透かしであればよかった

動画概要欄より

私は歌詞考察マンではないし、文学が専門ではないため推測として述べると、大体こういうのは歌詞とMVはセットになっている。
MVに出てくる人物は、制服を着た少女と巨大化した女性の二人だ。最初は巨大化した女性が何者かわからないが、空が赤くなるシーンで女性が少女と同じセーラー服であることが分かる。つまり、巨大化した女性は少女なのだ。

だれもが永遠に仲良しじゃないから
ひどい口論の残響が耳元でわんわん啼いている

動画概要欄より

からは、楽曲中での『私』がこの少女と仲が悪くなってしまったことが分かる。

街を巨大な腕が掠めて風が壁ごと窓を叩いた
黒い影、海を持ち上げて
歩行可能な怪物が防潮堤を跨いでしまいそう

動画概要欄より

「歩行可能な怪物」とは何者なのだろう。きっとここで多くの人間は津波だと思うが、私はそうではないと思う。どちらかと言うと、この楽曲では『私』が海を見ながら少女のことを思い出し、後悔に苦しんでいると言うことが大きいだろう。自己の中の少女が肥大化することにより、街という自己の比喩が少女(巨大化した女性)に飲み込まれると言う構図になっているのではなかろうか?


警報のあった日Remix by Raison

 今回、警報のあった日をRemixした理由は、、、特に深い理由は無い。普通はこう言う時、何か強い思い入れがあったりするものだが、ボカロだったり歌詞のある曲は基本的に聴かないため、STEMデータ一覧を見た時、全ての曲が分からなかったし何一つ聴いたことすらもなかった。
しかし、『警報のあった日』は友人とシェアしているSpotifyのプレイリストに友人が追加していたのを知っていたためデータをダウンロードしRemixを行った。
 基本的に私のRemixスタイルはvocal音源はそのまま使いそれ以外は全て作り直す。"歌/主旋律=意味"をきちんと生かしつつ、まったく別の曲に聴こえるようにする事で、原曲に対し適当なループ音源くっつけた子供騙しみたいな酷い音源や、原曲をダンストラックとして機能させるという愚行を避ける為だ。
つまり、私の考えているRemixの最大の魅力、と言うよりも使命は、原曲とは全くの別物を作り新しい発見を楽曲に与えると言うことにある。

 ちなみに、ピアノの音はagraph(牛尾憲介)を意識して作っている。上記の楽曲のようなピアノのリアルな音、つまりピアノが出す音を全て収録するような技法をDTM内で再現しようとした。
また、ナクモやメロウの音量は原曲とは異なり、メロウがメインになるように工夫した。これは完全に私の好みである。最後のシンセソロは相棒のprofet5の音である。



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