ゴールデンカムイ映画見てきた(ネタバレ有)

基本的に自分は実写は実写で楽しめる派です。
定義があいまいですが、作品に対してある程度の尊重があればパロAVすらも楽しめます。著作もろもろ的には完全アウトでしょうけどね。

個人的には真夜中の弥次さん喜多さん(映画)とかおすすめです。あれは映像への落とし込みがかなり上手で、原作の目にLSD流し込んだような毒々しいサイケデリックさと、時折垣間見せる人間模様というか泥臭さがまたいい塩梅でした。
漫画と映画監督の個性と癖がかみ合ったというのと、やっぱり映画側が原作をリスペクトしているのがひしひしと伝わってくるのが良かったです。

最近Xで流れてくる原作改変の話ですが、金カム映画に関しては原作に忠実過ぎるぐらい忠実、寄り添える限り忠実であろうという作品に対する真摯さがそこかしこから感じ取れました。
ネタバレとは記載ありますが、本当に原作に寄り添っているので内容についてはほぼほぼそのままです。

映画も原作通り二〇三高知の戦争シーンから始まるんですが、漫画だと7ページぐらいの導入箇所が、映像に起こすとこんなにも凄いことになるんだ……という感じです。
なんとなくプライベートライアンの冒頭シーンが脳裏をよぎるぐらいにエキストラの死体から衣類や顔の汚れぐらいから、血と汗と硝煙の臭いが鼻に突きそうなぐらいリアルだったと思います。

杉元はそりゃ強いんですけど、チートで勇者な俺強えぇではなく傷の治りが早いという特性はあるものの、強いけれども無傷とは程遠く戦闘後はいつもぼろぼろです。
死にたくないから戦う、殺されたくないから殺すという戦争の悲惨さから生まれた哀しき不死身さが、映像の暴力とともに如実に目から脳に流し込まれる感じがしました。戦争って嫌ですね。
年齢制限PG12でいいんだろうかこれ。

二〇三高地で、杉元といくら喧嘩や取っ組み合いをしても勝てなかっただろう幼馴染の寅次が、敵兵から助けるために火事場の馬鹿力で杉元を背負い投げをして退避させるシーンがあるんですが、映画の後半で杉元と寅次のやり取りと思い、そして「梅子を頼む」という友との約束がわかるんですよね。

二人には梅子さんという幼馴染がいて、かつての杉元の想い人、今は寅次の妻というよくありつつも切ない関係性なんですが「梅子は渡さない」と憤った時の寅次は杉元にあっさり投げ返されて負けてしまいました。
でも、戦場で杉元を助けようとした時に初めて背負い投げが決まり、そして杉元の身代わりとなり敵兵の捨て身の攻撃で致死傷となってしまった寅次。

杉元に(恐らく初めて)勝ったんだという寅次と「俺が保証する」と言葉を返してやる杉元。人を守りたいという気持ちすら脳裏をよぎる前に、とにかく助けたくて脊髄反射のように咄嗟に身体が動いてしまったんでしょうか。
そこで泣きました。
他はレタラとアシㇼパさんの別れのところとかでも。

キャラクターの完成度としては鶴見中尉は言うまでもなく、個人的にはあの姿勢よく拳銃もってダッシュしてくるところとかが本当に鶴見だと思いました。漫画から抜け出て来たのかな。異世界人かな。
もしかしたら漫画のゴールデンカムイで馬に撥ねられて、こっちの実写映画の世界に転生してきちゃったのかもしれません。地獄から地獄へかよ。

月島軍曹、めちゃめちゃかっこいいですね。いや本当に月島って感じで基本的に台詞も「はい」だけなんですが、暴走した暴走した二階堂双子を取りなすように杉元を押さえつけたりしているところが、序盤からして彼の苦労人っぷりの鱗片が見えてよかったです。

あぶない刑事の人が土方さんか、キャストが豪華ですよねぇ。映画だとカッコいい土方さんですがアシㇼパさんを抱っこしたりチカパシと兼定でチタタプする好々爺な彼も見てみたいです。

私のイチオシはチンポ先生です。かっこいいなぁ牛山さん。顔とでこのクオリティもすごいんですが、彼は女性好きじゃないですか。
性欲が強いチンポ先生は序盤で遊女と絡み合っている最中でしたが、ちゅっちゅとリップ音が響いているんですよ。私の記憶が確かなら。
この遊女の人は、牛山さんを売った(情報を流した)人なのでその直後に裏切り行為を働いたとして牛山に投げ飛ばされてしまいますが、それまでは女性に乱暴せず優しく抱いていた、という描写に見えました。

そのほかといえばやはりご飯のシーンですね。チタタプと桜鍋は空腹時に見ない方がいいです。腹が減ります。この時期ですから美味しそうな鍋は本当に食欲をそそられます。

なお、炎上に関してある程度対策が練られているというか配慮があり(それでも不満を持つ方はおられるでしょうが、ここで議論するつもりはありません)例えばチタタプのシーン(チタタプと言いながら肉を叩く)については実際には行われないそうなので「これもアイヌのそういう習わしなのか」という杉元の問いかけに、アシㇼパは「うち(限定)のローカルルールだよ」みたいな感じでさらりと補足が入っている感じです。

エンドロールで「実物の動物に怪我は負わせていません(CGとかだろうねそりゃ)」という文言もあり。

クマのシーンは本当に怖いですが某サファリパークの「近づきちゃってどうしよう」レベルじゃなく「ここまで近くにいたら反撃や逃走の隙もなく殺されんじゃね?」ぐらい近距離でしたが、自分としては違和感はそれぐらいです。

最後にこの映画、まだまだ序盤なんですが何部作になるんでしょうね……2~3時間で終われるわけがないと思っていたので、むりくり詰め込められておらずここまでのボリュームで制作いただけたのは本当に嬉しいです。

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