我が家にかま○く同人誌『Love You』がやってきた

何とも使いどころというか、扱いどころの難しい本※じゃないだろか。

※本同人誌は完全オリジナル(一次創作)ではなくどちらかと言えば二次創作にカテゴライズされると思う。(多分)
お話の主人公となったご本人達(かまど氏とみくのしん氏)はかまみくという概念(BL?的な)も、この同人誌も公認しているかどうかはわからないけれど、確実に知ってはいるでしょう。(本出した方がご友人なんだから)
それを差し引いても、ナマモノという非常に扱いにくいものであるという意味。

その日、自分は白老町に来ていた。親族の墓参り後に車の中でウトウトしていたらいつのまにか白老町に到着しており、8月なのに同じ道内かと疑うレベルで涼しいその土地にて、白老牛に舌鼓を打っていた……
が、そんなことはどうでもいい。
肉は美味かった。肉の値段もさることながら物理的な距離の関係上、道内に居てもめったに食べられるものではないだろう。

肉1
肉2
肉3

牛肉の同日、内地ではコミケがあった。
北海道在住でありコミケに参戦できなかった自分は、かまみく同人誌の頒布を指を咥えるどころか、ぎりぎりと嚙み千切る勢いで指に歯を突き立てながら、ツイッター(X)越しで嫉妬交じりに横目で眺めていた。

「通販します」

長イキアキヒコ先生のツイートを見つけた瞬間、肉の余韻は脳内から消え失せた。通販戦争の始まりである。
ツイ廃(今はX廃か)の私がiPhoneに張り付いているのは珍しい事ではないが、この日は状況が違った。コミケでも相当な数頒布されたであろう通販に回される同人誌の残数はきっと多くはない。一瞬の隙が命取りとなる。

頒布予約開始時刻前に帰宅した私は滑り込むようにPCを起動する。先行して先生のBOOTH側を張っていたのが功を奏したのかもしれない。私は通販戦に無事勝利した。

内容としては申し分なく、面白かった。頒布価格の1,000円+送料の730円が加わってトータル1,730円でご本をお迎えしたけれども、いいものを手に入れられたと思うし、なんなら3,000円出せと言われても私は惜しみなく出すだろう。

邪な気持ちがあった。
私はビュー先生の漫画が好きで、他の方もオモコロライターとして有名な方々がどういう経緯なのかは知らんけれども集結して出されたアンソロジー。そんな人たちが書く知人のBL作品とは一体どんなものなのだろうかと。

かまみく(ここではCP名ではなくコンビ名とする)のお二方が好きで、愛という厄介な原動力に突き動かされて書いたものなのか、それとも何らかの弱みでも握られて、或いはこめかみにトカレフでも突き付けられて恐怖で震える手もそのままに筆を進めた結果なのか。

一読者でしかない自分には「作者の気持ち」などはわからないので「この時の作者の気持ちを述べよ」と問われても答えることはできないのだけれど。
(あの手の国語の問題って、ナンセンスですよね)

ネタバレをしない感想

頁を開くとそこには、可憐な美少年がいた。みくのしんその人だ。
少女漫画であれば正統派ヒロインそのものの、美しくて華奢で目がキラキラしてて、守ってあげたくなるような顔も性格もよい美少年がそこにいた。

彼の隣にはナイトがいた。かまどだ。
……基本的に長イキ先生の描かれるかまど氏をリスペクトしていそうな絵柄がビュー先生で、逆襲先生はリアルかまど氏に気を使われているのか、こちらはリアルよりに(男前に)やや似せてあるように見受けられる。

凸ノ高秀先生はこの異様な空間から最も引いたところにいるのかもしれない。かまど氏がかなりリアル寄りであり、不良漫画の主人公といった男くさい狂犬じみた、けれどもカッコよい人物に描写されていたと思う。
彼の漫画に登場するみくのしん氏は、小柄でおとなしめ、腐った一部のBL乙女にとっては大好物だと思われる美形×平凡によくでてくる「平凡君※」といった感じがする。

※BL界隈の平凡はだいたい、地味で目立たないとか小さいとか言ってるだけで、顔面偏差値は中の上か下手すればそれ以上。美形は言わずもがな。

内容としてはブロマンスかもしれないし、そんなことはどうでもいいのかもしれない。不良漫画のようなテイストであっても、もともと凸ノ先生の絵柄自体美しいし、こちらのみくのしん氏は平凡な可愛い系といったところか。

マッハキショ松先生のありがたいSS(小説)も読めますが、こちらが一番等身大の二人かもしれないな。ちょっと偏ったかまみくラジオの二次創作を読んでいるような、ある意味本当に正統派な同人誌という感じ。

自分は同人誌(特に二次創作)の原動力は基本的には愛だと思うけれど、確かにこの本からは、まっすぐに捻じれて歪んだ愛を感じる。

愛があれば何でも許されるか

一般論としては「んなわけねえだろ」だけど。
自分は、この本もかまみくも長イキ先生もアンソロ参加された先生方も皆好きで敬愛している。
いるけども、知人やネット上の知り合いにこういう手合いの人間がいたら、ものすごく嫌いだろうというアンビバレントな感情を抱いている。

ここから先は(これまでも)俗にいうオリジナルのBL小説作品を読んでいる方にしかわからない、閉鎖的で面倒な感情かもしれない。

私は、BL作品に出てくる一部の腐女子や腐男子が嫌いで
(現実世界での腐女子や腐男子は勿論この場の限りではないです)

BL趣味の人間に対する同族嫌悪ではなく、具体的に言うと作中で「あ、○○君と△△君!今日も二人はお似合いだなぁ……○○君は受けで、△△君は俺様攻め!キャー!!」
と、本人や周囲に人間がいるところで大声で妄想を吐き出し※その場で身を捩じらせているような腐った登場人物が苦手ということ。

※例えば近所の噂好きの人に、付き合ってもいないしそんな感情もないのに「あの二人お似合いよ」あることないこと騒ぎたてられるの、普通にモラルとしてどうなのみたいな。(仮にパートナーや恋人、ご夫婦であっても「デートしてる?」「夜の方などうなの」とか聞かれたくはないと思う)

でも、自分もそのあたりの嫌悪の裏にある感情がわかっていて、連中の「リアルの人達をBL題材として萌え狂っている自分が好き!」みたいな感じが鼻につく。じゃないかな。
……意味がわからないでしょう。何言ってるんだこいつと思われるでしょう。

上記は、小説や漫画におけるキャラ立ちと言う意味では仕方がないだろうなという気持ちはあるのだけれど。
「自分は純粋にBLが好き。それ以上でもそれ以下でもない」とにかく嗜好として好き、たまらなく好き!であればこういう気持ちは芽生えない。

こういうキャラに透けて見える「BLが好きな自分が好き(題材にされた側の気持ちは考えない)」「そういうキャラとして確立している(周囲に妄想を吐き出しても愛されている自分という存在)」というあれが、腹立たしいんですね。

てめえの趣味嗜好性癖でしかないそれを、自分や同士達の中に留めておかず周囲の気を引きたいがためにアクセサリーやステータスのように使うんじゃないよと。
ね、意味がわからないでしょう。

分かり合えはしないと思うけども、BLや男女CPやGL関係なく「○○さんと誰誰は付き合って~」などと突然本人がいるところで大っぴら声を上げて妄想されたら「何だコイツ」とは思うよね、程度のあれです。

Love Youは

客観的にだけ見れば私の嫌いの役満なはずなのに、前々そんな気持ちが
湧いてこない。口だけの妄想野郎ではない、本当の愛とよくわからない感情と謎の行動力によって生み出されたこの本。

出る杭は打たれるというけども、出過ぎた杭は打たれないというか。
かまみくも本来の意味?(コンビ名)ではないCP名として、従来であればこそこそと一部の腐った方々が日陰でやっていなければならぬことを、堂々と引っ張りだすようなことをしてきたというのに。

上手く言えないけれど、この世界を知れて私はよかった。
読めてよかった。本は宝物にします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?