DX3rd「Artificial Messiah Calls You」


 “父よ、彼らを赦して下さい。なぜなら、彼らは何をしているのかわからないからです。”

 ――ささやき声がする。それはあなたを呼んでいる。
 ――助けを求める声がする。それはあなたの内よりいづる。

 ダブルクロス The 3rd Edition 『Artificial Messiah Calls You』
 ――ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。

■シナリオハンドアウト
PC1
カヴァー/ワークス:高校生/指定なし
シナリオロイス:神余 清香(推奨感情 P:庇護/N:不審)
君はUGN日本支部のイリーガルだ。
昨今、とある共通点を持つ人間たちが次々に謎の死を遂げているという。
君は、そのとある共通点――臓器移植を受けたことのある人間のうちひとり、神余 清香(かなまり さやか)の監視を命じられた。

PC2
カヴァー/ワークス:指定なし/UGN支部長
シナリオロイス:楡井 有終(推奨感情 P:信頼/N:疑念)
君はUGN・N市支部の支部長だ。
君の支部に所属するチルドレンである楡井有終がN市市長の警護任務中に姿を消した。
一部ではUGNを離反し、出奔したのではないかとささやかれている。
彼の居所を突き止め、真相を確かめなければならない。

PC3
カヴァー/ワークス:指定なし/指定なし
シナリオロイス:怪死事件(推奨感情 P:好奇心/N:危惧)
ある夜、君は人間が内側から弾けて怪死する現場を目撃した。
あんな光景は尋常のものではありえない。
興味を持った君は、事件を調べ始めた。


 基本ルールブック2掲載シナリオ・「World End Juvenile」をプレイ後、そのときのプレイヤーで遊ぶ続編として書いたシナリオです。同シナリオのネタバレは含みませんが、同シナリオのPC1またはPC2をNPCに置換して遊ぶこともできます。その他改変ご自由に。




――――以下GM情報――――







【プリプレイ】
■シナリオデータ
プレイヤー人数:3人
消費経験点:0~15点
レギュレーション:基本ルールブック1・2、上級ルールブック、エフェクトアーカイブ

■ストーリー
 UGNチルドレン“メサイア”はあらゆる相手に無条件に適合するドナーという特異体質を持ち、なおかつ傷つけられても再生する体である。彼の体に対する研究は最初こそ平和的なものであり、“メサイア”もそれに同意していた。しかし、研究所長の暴走により、次第に“メサイア”の体は営利目的のドナーとしてヒトのかたちを逸脱し、作り変えられていく。
 やがて非道な仕打ちに耐えきれずジャーム化した“メサイア”であったが、彼の肉体は日本中に移植用臓器として散らばっていた。神余清香も“メサイア”からの臓器移植を受けたひとりだ。研究所のあるN市を中心に、“メサイア”の恐怖と嘆きに呼応した彼の臓器は内から人体を蝕み、ジャーム化・怪死事件を起こすようになっていく。
 現N市市長も“メサイア”のレシピエントであり、UGNチルドレン・楡井有終の目の前でジャーム化し、死亡する。その際“メサイア”の細胞を浴びた楡井有終は《メンタルインベイション》によって操られ、研究所を守る門兵とされてしまった。
 神余清香は現在のところジャーム化を免れオーヴァードとして覚醒しかけているが、このまま“メサイア”の侵蝕率が上がり続ければ彼女もまたジャーム化を免れない。
 “メサイア”の侵蝕率が200%に達する前に彼を倒すことで神余清香を救うことが可能となる。


■トレーラー
 “父よ、彼らを赦して下さい。なぜなら、彼らは何をしているのかわからないからです。”

 ――ささやき声がする。それはあなたを呼んでいる。
 ――助けを求める声がする。それはあなたの内よりいづる。

 ダブルクロス The 3rd Edition 『Artificial Messiah Calls You』
 ――ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。

■シナリオハンドアウト
PC1
カヴァー/ワークス:高校生/指定なし
シナリオロイス:神余 清香(推奨感情 P:庇護/N:不審)
君はUGN日本支部のイリーガルだ。
昨今、とある共通点を持つ人間たちが次々に謎の死を遂げているという。
君は、そのとある共通点――臓器移植を受けたことのある人間のうちひとり、神余 清香(かなまり さやか)の監視を命じられた。

PC2
カヴァー/ワークス:指定なし/UGN支部長
シナリオロイス:楡井 有終(推奨感情 P:信頼/N:疑念)
君はUGN・N市支部の支部長だ。
君の支部に所属するチルドレンである楡井有終がN市市長の警護任務中に姿を消した。
一部ではUGNを離反し、出奔したのではないかとささやかれている。
彼の居所を突き止め、真相を確かめなければならない。

PC3
カヴァー/ワークス:指定なし/指定なし
シナリオロイス:怪死事件(推奨感情 P:好奇心/N:危惧)
ある夜、君は人間が内側から弾けて怪死する現場を目撃した。
あんな光景は尋常のものではありえない。
興味を持った君は、事件を調べ始めた。

■NPC
神余 清香(かなまり さやか)
 UGN傘下の企業役員の娘で、非オーヴァードだがオーヴァードの存在については承知している。生まれつき体が弱く両親は過保護気味であり、年齢が近く娘にストレスを与えない相手を、という希望でPC1が監視・護衛役に指名された。
 植物を愛する心優しい少女であり、温室で育てている花の世話が趣味。
 すぐ謝る癖がある。

楡井 有終(にれい ありはて)
 PC2の支部に所属するUGNチルドレン。ウロボロス/バロールのクロスブリード。
 名前、シンドローム、設定などは自由に改変して構わない。


【オープニングフェイズ】
●シーン0:市長室の惨劇(マスターシーン)
 エキストラの視点で進行する。朝の市長室から悲鳴と不穏な音。覗き込むと中は乱暴にぶちまけたような血と内臓の海。それに浸かるようにひとりの少年(楡井有終)がへたり込んでいる。
 慌てて人を呼びに行き、戻ってきたときには少年の姿は消えていた。
 
●シーン1:温室の少女(PC1)
 PC1が神余清香と対面するシーン。
 神余邸はN市の高級住宅街に存在する。神余清香は温室でPC1を待っている。
 父親が無理を言ったのではないか、とPC1を心配する、花の話をするなどある程度会話をしたらシーンエンド。

●シーン2:疑惑の失踪(PC2)
 PC2に楡井有終の失踪が伝えられるシーン。
 霧谷からの電話で楡井有終の失踪と、一部でささやかれる疑惑について伝えられる。ある程度の時間を稼ぐことはできるが、あまり長くこの状況が続くようならUGNとしても正式に動かざるを得ない。それまでに楡井有終を見つけなければならない。

●シーン3:血煙の夜(PC3)
 PC3が怪死事件を目撃するシーン。
 Eロイス《絶対拒絶》が効果を発揮する。PC3は〈知覚〉6を目標に判定。成功すると、見知らぬ男性とすれ違いざま「たすけて」と幼い声がする。直後、男性は内側から爆ぜるようにして死亡する。


【ミドルフェイズ】
■固定イベント
●シーン4:情報収集(PC2)
 情報収集項目「怪死事件」「神余 清香」を提示する。


■情報収集
◆怪死事件
〈情報:噂話〉6、〈情報:UGN〉7
〈情報:噂話〉6
 N市近辺で多発している怪死事件。突然人間が内側から破裂して死亡するというもの。被害者の中には、数日前から「誰もいないのに子供の声がする」と訴えていたものもいたらしい。
 UGNは記憶処理で対応しているが、処理から漏れたものから噂として広まってしまっている。
〈情報:UGN〉7
 被害者はいずれも非オーヴァードのはずだったが、一様に侵蝕率が異常に上昇しており、エグザイルシンドロームへの覚醒の兆候を示していた。急激な侵蝕率の上昇及びオーヴァードへの覚醒に肉体が耐えられず、異常増殖する細胞が内側から体を爆散させたのだ。
 彼らの共通点は、「過去に臓器移植を受けたことがあること」。N市市長もその中に含まれている。

◆神余 清香
 神余清香には、あなたに話すべきか迷っていることがあるようだ。
 この情報項目は、神余清香がシーンに登場していないと調査できない。
◆神余 清香
〈意志〉〈交渉〉7
 神余清香は、裏社会のネットワークを通じて違法に提供された臓器を移植されている。彼女は両親が手を回して手に入れた臓器で健康に暮らしていることに強い罪悪感を抱いているようだ。
▼情報項目「違法な臓器移植」を公開する。

(「怪死事件」「神余 清香」を調査後開示)
◆子供の声
 この情報項目は、神余清香がシーンに登場していないと調査できない。
〈感覚〉9
 かすかに子供の声がする。
「たすけて」
 それは神余清香の口から発せられた。神余清香は青ざめて口元を押さえている。
▼トリガーイベント「たすけて」が発生する。@ページめくり

◆違法な臓器移植
〈情報:裏社会〉8
 裏社会で横行している違法な臓器移植斡旋。ルートを追っていくと、奇妙な事実に辿り着く。「生体化学研究所」という場所から提供された臓器の遺伝情報がすべて同一なのだ。ひとりのドナーから提供されるなどあり得ない数の臓器が提供されているにもかかわらず……。
 「生体化学研究所」から提供された臓器はいずれも拒絶反応をまったく示さずすべてのレシピエントに適応している……レシピエントのリストは、怪死事件の被害者の名前と一致した。その中には神余清香の名前もある。
▼トリガーイベント「“World End” Without You」が発生する。

◆“メサイア”
〈情報:UGN〉6、9、12
〈情報:UGN〉6
 UGNチルドレン。12歳。エグザイル/ブラム=ストーカーのクロスブリードである。「あらゆる相手に無条件に適合するドナー」という特異体質の持ち主。N市に存在する「生体科学研究所」に所属し、臓器移植の未来のための研究の被験体として協力している。
〈情報:UGN〉9
 「生体科学研究所」はUGNの一部署であるが、当初の設立理念から外れて暴走を始めていた節がある。ここ数年は“メサイア”の姿を研究所外で見ることはなく、連絡すら取ることができない。
 N市にある生体科学研究所には近々査察が入る予定だったらしいが……。
〈情報:UGN〉12
 オーヴァードである“メサイア”の臓器はレシピエントの中でまだ“メサイア”として生きている。“メサイア”がジャーム化し、侵蝕率が上昇すれば、レシピエントの侵蝕率も連動して上昇し、オーヴァード化、もしくはジャーム化してしまうだろう。


■トリガーイベント
●シーン5:たすけて(PC1)
条件:情報項目「子供の声」を調査する
 神余清香が、数日前から頭の中で「たすけて」という子供の声が聞こえていたことを告白する。清香はこれが自分に臓器を提供した相手の声ではないかと考えており、自分の罪悪感から来る幻聴だと思っていた。
 だが、はっきりと聞こえる声に神余清香はこれが現実であると確信し、自分なら声の源にたどり着くことができると言う。
 〈知覚〉8の判定に成功することで、神余清香の侵蝕率が上昇しつつあることがわかる。
 以降、「声の源に向かう」と宣言することでクライマックスフェイズに移行する。

●シーン6:Calling You(PC3)
条件:情報項目「違法な臓器移植」を調査する
 ワーディングが展開され、神余清香が倒れる。血まみれの楡井有終が登場し、襲いかかってくる。瞳は茫洋とし、呼びかけには反応しない。〈知識:レネゲイド〉5の判定に成功すれば、なんらかのエフェクトによって操られていることがわかる。
 「楡井有終」「ジャーム:肉塊」x2との戦闘になる。
 PC全員は一塊のエンゲージ、5m離れた場所に「ジャーム:肉塊」x2、さらに5m離れた場所に「楡井有終」を配置する。
 戦闘終了後、「楡井有終」は「“メサイア”を探して」と言い残し、気絶する。
▼情報項目「“メサイア”」を公開する。


【クライマックスフェイズ】
●シーン7:Artificial Messiah Calls You(PC1)
 たどり着いた先は「生体科学研究所」と看板のかけられた建物だった。不気味なほどに人間の気配がなく、建物はがらんとしている。建物内を探索すると神余清香が地下への隠し階段を発見する。
 地下は不気味にうごめき、脈動する肉塊に覆われていた。その核とも言うべき場所に、手術台に乗せられた人間大の内臓の塊のようなものがある。それは呻くように子供の声で発する。「たすけて」と。
 Eロイス《衝動侵蝕》を使用し、難易度9の衝動判定が発生する。この判定に失敗したとき、衝動「恐怖」が発生する。
 “メサイア”のレネゲイドの高まりに呼応するように、神余清香の侵蝕率がさらなる上昇を始める。
 “メサイア”の侵蝕率はPCと同様に管理する。“メサイア”の侵蝕率が200%に達した時点で神余清香はジャーム化する。


【エンディングフェイズ】
●シーン8:救世主は墜ちて(PC1)
 神余清香がジャーム化した場合、PCは殺害するか冷凍保存をするか選択する。
 神余清香は生き残った場合もオーヴァードとして覚醒する。イリーガルやエージェントとしてPCたちと今後関わることもあるかもしれない。いずれにせよ、彼女はPCたちに深く感謝し、いつか恩を返すと微笑むだろう。


【敵データ】
“メサイア”
◆データ
ブリード:クロスブリード
シンドローム:エグザイル/ブラム=ストーカー
衝動:恐怖
能力値
【肉体】7 〈白兵〉5
【感覚】3
【精神】1
【社会】1
【HP】95 【イニシアチブ値】15
装甲値:0
侵蝕率:140%~(ダイス+4個)

取得エフェクト
▼エグザイル
《妖の招き》2、《オールレンジ》5、《ブレインハック》1、《骨の剣》5、《伸縮腕》3、《命の剣》1
▼ブラム=ストーカー
《血の宴》4、《殺戮領域》3、《不死者の恩寵》2
▼一般エフェクト
《ワーディング》1、《コンセントレイト:エグザイル》3
▼エネミーエフェクト
《加速する刻》1、《加速する刻Ⅱ》1、《生命増強》2、《反射適応》4、《蘇生復活》1、《メンタルインベイション》1

取得Eロイス
《衝動侵蝕》《怯えのまなざし》《絶対拒絶》《人造救世主》

《人造救世主》(オリジナル)
タイミング:オート 技能:- 難易度:対決 対象:自身 射程:至近
あなたが戦闘不能になったときに使用できる。HPを最大値まで回復する。この効果に対して、シーンに登場しているキャラクターは任意の技能で対決を行う。キャラクターがその対決に勝利すると、この効果は無効化される。このとき、あなたの達成値は20に固定される。

◆コンボデータ
▼リジェクション・アルファ
《妖の招き》LV2+《オールレンジ》LV5+《伸縮腕》LV3+《命の剣》LV1+《血の宴》LV4+《殺戮領域》LV3
タイミング:メジャー 技能:〈白兵〉 難易度:対決 対象:範囲(選択) 射程:視界 侵蝕:15 制限:100%
肉体で判定する白兵攻撃。ダイス+5、攻撃力+17、対象に1点でもHPダメージを与えた場合、対象をあなたのいるエンゲージへ移動させる。シナリオ2回まで。

▼リジェクション・ベータ
《ブレインハック》LV1+《オールレンジ》LV5+《伸縮腕》LV3+《命の剣》LV1
タイミング:メジャー 技能:〈白兵〉 難易度:対決 対象:単体 射程:視界 侵蝕:16 制限:100%
肉体で判定する白兵攻撃。ダイス+5、攻撃力+7、このエフェクトを組み合わせた攻撃が命中した場合、バッドステータスの憎悪を与える。シーン1回まで。

▼リジェクション・シータ
《オールレンジ》LV5+《伸縮腕》LV3+《命の剣》LV1
タイミング:メジャー 技能:〈白兵〉 難易度:対決 対象:単体 射程:視界 侵蝕:7 制限:100%
肉体で判定する白兵攻撃。ダイス+5、攻撃力+7。

楡井有終
◆データ
ブリード:クロスブリード
シンドローム:ウロボロス/バロール
衝動:嫌悪
能力値
【肉体】1 〈回避〉1
【感覚】2 〈射撃〉4
【精神】8 〈RC〉2、〈意志〉1
【社会】1 〈情報:UGN〉3
【HP】30 【イニシアチブ値】12
装甲値:0
侵蝕率:100%

取得エフェクト
▼ウロボロス
《無形の影》1、《原初の赤:ペネトレイト》1、《原初の黒:完全なる世界》4、《イージーフェイカー:猫の道》
▼バロール
《斥力の矢》1、《時の棺》1、《魔王の玉座》
▼一般エフェクト
《ワーディング》1、《コンセントレイト:ウロボロス》3

◆コンボデータ
▼真昼の月
《無形の影》LV1+《原初の赤:ペネトレイト》LV1+《原初の黒:完全なる世界》LV4+《コンセントレイト:ウロボロス》LV3
タイミング:メジャー 技能:〈射撃〉 難易度:対決 対象:単体 射程:視界 侵蝕:17 制限:100%
精神で判定する射撃攻撃。ダイス+4、C値-3、攻撃力+12。装甲無視。


ジャーム:肉塊
◆データ
上級p.142 EXジャーム:死者のデータを使用する。

■経験点
・シナリオの目的を達成した 14
(通常5、神余清香がジャーム化しなかった5、Eロイス4)

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