雨ちゃんと合い挽きハンバーグになりたい
私達が出会ったのはこの街だったよね、ピ。皆からは私達のことどう見えてるのかな？
カップル？ セフレ？ それとも二人してこんなナリだから、今からトー横に行く悪い子供達？
それとも、可愛い女をナンパしてるいけ好かないスカした地雷男とか？ あの日みたいに。冗談だよ、ピ。そんな悲しそうな顔しないで。大丈夫、愛してるから。
私達は、自分で毒を盛って、無意識に他人に助けを求めてた。
でも、そんな私達を助けてくれる人なんて居るはずもなくて……だから、私達はここに居る。
最後は一緒に死のうって約束したの覚えてる？ 光栄なことなんだよ？ 飽き性の私が最期までピの隣に居るなんて。
……あはっ。
その絶妙に気持ち悪い笑顔、結局直らないままだったね。
電車がもうすぐ来るね。ピに言われて、よくいろんなところに出かけたなぁ。外になんて出たくなかったのに。ピは付いてこないし。ほんとクズだよ、ピは。
でも、それでいいんだ。影は光と抱き合うことは出来ても、一緒になることは出来ない。溶け合うことは出来ない。結局のところ、影はいくら憧れても光にはなれないんだよ。せいぜい出来ることと言ったら、薄くなるくらい。それなら、ピみたいなイキった陰キャとつるんでる方がいいよ。太陽なんて熱くて鬱陶しいだけで、なんにもしてくれないし。
……あはっ。
愛してるって。
はぁ、結局ピは分かりやすいスキンシップでしか愛を実感出来ないんでしょ。私もそうだし。愛してるだなんて言葉は世界からログアウトする為のパスワードでしかないのかもね。
来たよ。飛ぼう。私達、皆の記憶に残るんだよ。トラウマになって夢に出て、深夜に飛び起きてトイレに駆け込むようになったりするのかな。車掌さんは私達の死に顔がこびりついて離れなくて、仕事やめるのかな。必死に勉強したのにね。私達を捨てた親には多額の請求書が届くのかな。
ざまーみろ。
こんなに可愛く生まれたのに、最後はミンチか。しかもアンタと合い挽き？ 笑えるね。ハンバーグにしたらいくらで売れるんだろ。よく買い出しに行ってた、安いスーパーにすら並ばないかもね。
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