「かぎ編針で刺す」と日記

薄ピンク色　愛を乞ういろを　なでる　ひたすらに

ああ、知っているよ　まっすぐに

舌から垂れていく粘膜は都市を浸食していきますね。崩落していく花の詰められた箱から解放されて飛び立つ夜の白鳥の夢ですね

しっぽふりふり、動物のふり、四つん這いをして舌をペロリする
ウフッ
獣姦は禁じられています。それはなぜだったろ

孕め。孕め。孕みなさい

つかむ爪の輝き、なにを乱反射しているのかしら、そう薔薇の洋灯

編み物を、する　かぎ編針

みどり、森のいろ。森のいろと、夜の星の銀色の編み物をする。二年目のことしはすこしずつ、めが整ってきましたね、ありがとう、編み物や縫物が好きだったのを思いだした。あなたの首をあたたかくしましょう。(愛で縛ってはいませんか　いえ　あい　とは　そも　あいはん　する　あいぞう　-では、いや　まっすぐに、注ぎたい、雨あがりのように　そのにおいのように)
編みながら思いだしたわ、小鳥がいた、ところなんです。あたたかな真珠色のころんころんとする浜辺に、銀のつめたい雪はふるふるみどりに、しずかなフクロウの啼き声は耳の裏側。なつかしいかしら-覚えて、いる？

少しずつ思いだしたの。サランラップがきらめく薄うい、宝石にしなだれ落ちていたころのことを。どこまでも、どこまでも、くるくると引いて-あって

ただ名前もなく文字もなく、そこにあった。名付けるのは、祈りでしょうか？

ちい・ちい・ちい-あめゆじゅとてちて、あめゆじゅとてちて-ちい・ちい・ちい

あなたは、またきた、
いつまでもここにきた。いつだっていつだって、天にいかずに。ちえこや、としこや

ほうこうする四つん這いの、愛を乞うあまりにも薄い色の塔を浸食する

舌

首輪・ひとつふたつみっつ　輪投げして

ね、わらって-風が　過ぎ去るように　わらって

振り返って御覧なさい。そこにたくさんの毀れた道が、ありました。あなたはそこを通ってきたのですね-崩落しないように

もう二度と、あの、花咲く石のアーチの橋が
落ちること
ないように

みいつけた。ほんとうはうずくまって、おふとんのなかでちいさくなってふるえているだけ。きたないものはよらないでねっ　あはははは！　おねがい、さわんないでちょうだい！

とりのこされて生きてきたからね、これからもね、白い雪はよごれて溶けて、とうとうと、とうとうと、春の桜の流れるひ、まで

※宮沢賢治「永訣の朝」　高村光太郎「千恵子抄」等から

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■跋文は、詩集「死水晶」発行、2020年3月より詩誌「詩と思想」上にて詩誌評を担当されることになった白島真さんによるものです。

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このところさらにとりとめもなく、詩なのかなんなのか分からないものを書き綴っています。第一詩集におさめた詩と散文は我ながら、「近代文学と近代詩、『詩とメルヘン』直系だなぁ」と思うもので、もうちょっと読んでいただきやすい自信があります……というかAmazonの古本がものすごいお値段になっていますね。のんびりのんびり売れていって、作者の手元にもあと30部ほどあります。もともと利益がぜんぜん出ないという不思議なこの世界で、それでも必要とされているどなたかににお届けしたかったのでした。高額でびっくり！　という方には作者にこっそりお問い合わせくださいませ。おひとり様・一住所につき一冊という形ですが、マイペース発送をお許しいただいて、送料込み1620円(増税前の価格)で販売いたします。

交友録を原稿用紙にチマチマ書いています。夏にお茶をした和泉ちゃん、文通友達でこちらの都合でお手紙がとどまってしまっている中田満帆さん、一緒にお茶やお化粧品選びをしてくれる印あかりちゃん。はやくパソコンに書き写さなければ。ああ、キリスト教二次創作いくそす。

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さんのご紹介もしたい……脳内がしっちゃかめっちゃかです。

季節の変わり目、生姜入りのハーブティがおいしくなってきました。こころとからだを穏やかに、健やかに、金木犀のかおりを服に染みつかせて歩いていきましょうね。