文体練習の練習

 「文体練習」って何?
 フランスの小説家による作品。ひとつの文章を99通りくらいの異なる文体で書いている。
 日本語訳はされているものの、そのまま翻訳できない文体などがあるため結構オリジナル要素が強い。
 そういうヤツです。

 なんか面白そうだなと思ったので真似してみたヤツをまとめます。
 物語を考えるの好きですが実際に書き起こすと全然語彙も展開もなんにもないことばっか~(ですよ。風の言い方)。
 っていうかもはや文体どころか大きく内容が異なっているヤツもある。まあいっか。原作もたまにそういうのがある。とりあえず元の文さえベースになっていればいいかな、という方針。
 目指せ100通り。

 ある程度溜まったらイイ感じに並び変えたり推敲したりしたいけど多分飽きそう。

 思いついた順且つ最後までかけた順なので、間にいくつか書きかけがあって飛ばしています。



【元の文】

 札幌駅南口、東側の通路にある赤い脚の形のオブジェの近くで、私は柱に寄りかかっていた。
「遅いな……」
 昨日、美術部に所属している先輩に『エッシャー展に行かないか』と誘われて、二つ返事でOKしたのは良かったけど、後になってから先輩との連絡手段が無いことに気づいた。先輩は携帯電話やスマートフォンを持っていないらしい。
 「や、やあ、遅くなってすまない……行こうか」
 ビックリして顔を上げると、先輩が疲れた様子でそこにいた。
 ……30分も待っていたんですけど!

01.メモ

・札幌駅南口の東側の通路に、脚の形をした赤いオブジェがある
・近くの柱に寄りかかっていた
・私は確か「遅いな」と呟いた
・この日の前日に、先輩に美術館に誘われたのでその場でOKした
・当時、美術館では『エッシャー展』が開かれていた
・この日の時点では先輩との連絡手段が無いことを忘れていた
・先輩はスマホなどを所持していない
・突然先輩が現れたため私は驚いた
・先輩は遅れたことに対する謝罪をして、目的地へ向かおうとした
(具体的になんて言っていたかは忘れてしまった)
・先輩は疲れた様子だった
・この時点で私は30分ほどこの場で待っていた
・そしてそのことに対してちょっとだけイライラした

02.可能な限りで内容を逆

 博多駅北口、西側のとある店頭にある青い手の形の商品を、オレは遠くのベンチから眺めていた。
「早すぎるだろ……」
 昨日、陸上部に所属していた(今は弓道部らしい)後輩ちゃんから『プロレスを見に行きたいのですが、オススメってないですか!?』と聞かれ、知識のないオレはかなり渋って断ったのだが、結局無理矢理ついていくことになってしまった。
 そもそも後輩ちゃん、情報通って噂があるくらいだし自分で調べりゃいいのに、何故オレに聞いたんだろうか。……いやほら、スマホ二台にタブレット端末まで。すっご、同時に観るどころか動かしてるし。
「早く着いたのに中止になっちゃいましたね……どうしましょっか?」
 オレはベンチの背もたれを使わず、開いた脚の膝の上に肘を乗せ、俯いた姿勢をとっていた。……後輩ちゃんに覗き込まれながら言われた。後輩ちゃんはすこぶる元気なようで、動き足りないらしい。
 ……にしても集合時間より30分早く着いたオレよりも早いのかよ。

03.可能な限りで順序を逆

 ……30分も待っているんですけど!
 突然疲れた様子で現れた先輩に驚いて、思わず顔を上げたのもあり、ちょっと苛立っていた。
「い、行こうか。……すまないね、遅くなって」
 スマートフォンや携帯電話を先輩は持っていないということに気づいたのはついさっきのことだ。……そもそも先輩に誘われて思わず二つ返事でOKをしたんだけど。
 というのも、昨日『観に行かないか?……ええと、エッシャー展に』と先輩に誘われたのがことの発端だ。ちなみに先輩は美術部に所属している。
 先輩が到着する前、思わず『遅いな……』だなんて呟いてしまったくらいだ。その時は柱に寄りかかって、近くにあるオブジェを観ていた。赤く、人の脚のような形をしているあのオブジェ。
 ……さっきはこのままこのオブジェのように一人で、札幌駅南口の東側の通路から目的地の美術館へ向かってしまおうかと思っていたくらいだ。

04.みた夢

 視点は自分自身。赤いオブジェがある場所にいた。後ろに柱があった気がする。自分は何か独り言を呟いた(遅い?)。この時点での夢の中での設定では、前の日に先輩から美術館に誘われていて、待っている状態。先輩との連絡手段が何故か無かった。突然先輩が出てきて「じゃあ行こっか」と言った。何か先輩に言おうとしたところで目が覚めた。

05.焦り

 札幌駅で私は不安になっていた。
「まだ来ないのっ……!?」
  昨日、先輩に美術館に誘われて即了承した時点で、先輩からの連絡手段がないことに気付くべきだった。
「遅れてすまない! 急ぐよ!」
 驚き顔を上げた時には先輩に手を引かれていた。
 今のところ30分も予定がズレている。

06.幼い子供による語り

 さっぽろえきの、えっと……あかいあしのちかくにいたの。『おそいなー』っていっちゃった。
 きのうね、センくんに『あしたえをみにいこ?』っていわれて、いいよっていったの。だけど、センくんとはなすほうほうがなくって、えーと、どうしたらいいかなって、おもってて……。
 いっぱいかんがえてたら、いつのまにかセンくんがいてびっくりした。センくんは『おそくなってごめんね。いこっか』っていってた。でもわたしはたくさんまってたから、ちょっとおころうとおもった。でもがまんしたの。

07.タイポグリセミア

 さっろぽえみきなみぐち、ひがしわがのうつろに、あしのたかちをした、あかいオジブェのちくかで、わしたははらしに、よりかてっかいた。
「おそいなぁ……」
 きのう、びつゅじぶにしぞょくしている、せぱんいに『エャシッーてんにいなかいか』とさわそれて、ふたへつんじでOKしたのはよたっかけど、あてにかっとならせぱいんとのれんらしゅくだんがないとこにきづいた。せぱんいはけいでいたんわやスフートマォンをもっいてらいなしい。
「や、やあ、おそなてっくすなまい……いうこか」
 ビクッリしてかおをあるげと、せぱいんがつれかたよすうでそこにいた。  ……30ふんもまってんたすいでけど!

08.もじと おとを スリー

 きたの だいち、えきの みなみ、ひがし つうろ
 あかい あしの アート、ちかく はしら
 わたし、せなか つけて 言った
「おそい!」
 きのう アート ぶかつ ぞくす、あにき 言った
「ヒトの めとか あたま だます アート てんじ、行こう」
 わたし すぐに「行くよ」なんて 言った
 しかし、あにき スマホ 持たず 過ごす ヒトだ
 あとで 気づき すこし へこむ
「どーも ごめん 待った?じゃあ 行こう」
 うわっ。かおを 上げる。あにき ひろう してる ようす
 じゅう かける さんの ふんも 待った!バーカ!

09.不安定

 あ、サッポロ駅のぉ~~東南の道にぃ~~~?

 ニンゲンさんたちの身体の一部を模した形状で土留色の物体があるよね。
 
 そこいらでオイラぁね、

 柱にー、寄りかかってー、スマートフォンをー、いじってましたー。

「『◎senpai 真冬に30分も待たされてるんだけどー これはさっき撮った #テレビ塔 #起きろ先輩 #遅いぞ先輩』っと……。大丈夫かな……」

 今から19時間と20分28……29……30秒前、

 なんかしらねーけどめっちゃ絵ェ描いてるパイセンがぁ

『たっ、たまたまチケットが余ってアンタを誘ってるだけなんだから! か、勘違いしないでよねっ! ま、待ってる、からさ……』

 とかなんとか言われちゃあもうこりゃね、

 ……はぁ……仕方がありませんね…………。

 とまぁ二つ返事で儂は了解したんじゃよ。

 で、でもね……さ、さっききづいちゃったんだけど……うぅ……。

 ……アイツはアタシと連絡をする気なんてハナから考えてすらいねぇ。

 先輩はホンマに現代社会を生きとるんか!?

 「お! 後輩氏! 遅れて申し訳ないでござる! それでは早速参りますぞ! 歌川国芳展へ!」

 わぁお! さすがのボクもビックリしちゃったよ☆

 ……顔を上げると、あぁ……大好きな私の先輩が目の前に……!

 でも、せんぱい、げんき、ない?

 ……30分、か。やれやれ。

10.ダブルや倍

 札幌駅南口、西側の通路にある穴の空いた白いオブジェの近くで、私は壁に寄りかかっていた。
 しばらくして、東側の通路から彼女が歩いてきた。……どうやら待ち合わせ場所はこちら側ではないらしく、東側の通路にある赤い脚の形のオブジェへ向かった。今は二人して近くの柱に寄りかかっている。
「あいつら遅いな……」
「も、もうちょっとしたら来るよ! たぶん……」
「その……ありがと。勝手に西側だと思ってた」
「うん! 待ち合わせの時、いつも私より早く来てるのに、今日はいなかったからね、えへへ」
 二日前、美術部と吹奏楽部の両方に所属しているらしい先輩方に『ねぇ君たち、エッシャー展に観に行かない?』『その前にエッシャーを説明しよーよ?』『あぁそうだったね。エッシャーという人は――』と誘われて、彼女は説明も聞かずに二つ返事でOKしてしまい、ちょっと彼女が心配な私も同じようにOKしてしまった。……勢い余って合わせて四つ返事、なんて。しかし、後になってから先輩方との連絡手段が無いことに気づいた。いや、それどころか誰も携帯電話やスマートフォンを持っていない。一人くらい持っていてもいいのに、と思ったけどそれでも一人じゃ意味がないか。
「や、やぁ、遅くなってすまない……行こうか」
「いやその前にあやまろーよ。ごめんね~二人とも……コイツが北口西側だって聞かなくてさ……」
「フッ……君こそ、北口東側だと言っていただろう。ふふふ」
「なんだその不敵な笑みは」
 私たちは二人同時にビックリして顔を上げると、先輩方が疲れた様子でそこにいた。……小突きあってるからやっぱり疲れていないな。
 ……1時間も待っていたんだけど。

11.電話

――――あーもしもしー?
――うん。そのー、忙しかった?
――ごめんありがとー。先輩が来なくってさ~、暇だったからちょっと付き合ってほしかったんだけど、大丈夫?
――えっ、マジ? すご!
――あー流石に遠いか。えっと、札駅のー赤い脚の……あーそうそこそこ。
――ねー遠いよね。でーその……待ち合わせしてんだけどさ、先輩が遅くてー。現在進行系で30分待ってる。
――えっへへ面白い。確かに惜しいかも。 ……あ、二人はどこ行くの? 
――へーいいじゃん! え、その後輩くんから?
――やるねえ~!
――あっ、アタシ? 美術館。
――いや、ホントにね……自分が一番意外に思うわ。
――そりゃあまぁそーよ。アタシ、絵は……まあ嫌いじゃないけど、美術館行くほどってワケじゃないからさぁ。
――あー、昨日昨日。なんだっけ。『やったー』みたいな名前の画家?
――あーそれ! エッシャーだエッシャー。
――笑いすぎでしょもう! いや、えっと……わかんない。思わずすぐオッケーしちゃった。
――あー、うーん…………かも? ……いやハッズ!
――いいってもう! この話終わりね!
――あぁいや、それがさ……、先輩スマホ持ってないんだよね……。ってか連絡手段が無くっ て。
――なんでだろ? いやたぶん浮かれてて全然考えてなかったわ。やたらとテギワっていうか、細かく場所と日時言うなあと思ったけど。
――そこイジるな! 否定できないけど!
――ちょっズル! あぁもー! ありがとねー!

12.短歌

冷たい手

 待ち人は来ず

  ひとりきり

   遅れた彼へ

    送る冷えた目

13.既視感

 札幌駅南口、東側の通路にある、何処かで観たような気のする赤い脚の形のオブジェの近くで、私は柱に寄りかかっていた。
「……前にもこんな事なかったっけ」
 ……昨日、美術部に所属している先輩に『エッシャー展に行かないか』と誘われる気がしていて、思いがけず予想が当たってしまい二つ返事でOKしたのは良かったけど、後になってから先輩との連絡手段が無いことに気づいた。……いや、それも知っていたような感覚があったのに。先輩は携帯電話やスマートフォンを持っていないらしい。
 「や、やあ、また遅くなってしまったね、すまない……行こうか」
 顔を上げると、先輩が疲れた様子でそこにいた。少しビックリしたけど、何故かなんとなく予測がついていた。なんでだろう。30分も待っていたんだけど、諦観というか、やっぱりというか。
 ……あれ、先輩さっき『また』って言ってた?

14.面倒そうに

 私は札幌駅にいた。
「おっそ……」
 昨日、先輩から美術館に誘われて何故かOKしたけど、今は連絡ができない。先輩がスマホを持ってない事にさっき気づいた。
「あー、悪い遅れたわ……行こ」
 気づくのが少し遅れた。先輩は頭を掻いている。
 ……30分待った時点で帰りゃ良かったな。

15.反芻

 札幌駅南口、東側の通路にある赤い脚の形のオブジェの近くで……30分も私はスマートフォンを持って柱に寄りかかっていたんですけど!
や、遅いな……ビックリ
 昨日、美術部に所属している南口先輩に疲れた様子で札幌エッシャー展に行かないか』と誘われて、後になってから二つ返事でOKしたのは良かったけど、後になってから南口先輩との連絡通路手段が無いことに気づいた。美術部に所属している南口先輩は携帯電話やスマートフォンを持っていないらしいんですけど!
 「や、やあ、遅くなってすまない……エッシャー展に行こうか行かないか
「遅いな…」
 ビックリして顔を上げると、赤い脚の先輩が疲れた様子でそこの通路寄りかかってたので二つ返事でビックリした。
 ……30分も連絡手段がないオブジェの近くで待っていたらしいんですけど!

16.客観的に。その1

 バレないように観察してかれこれ30分、あの女はずっと柱に寄りかかってる。時々スマホをいじったり、身だしなみを確認したり、近くにある赤い脚の……なんだこれ。……オブジェを観ているけど、大きく移動する気配は今のところ無さそうだ。
 ……ん、あの女の口が動いた。でも流石に聞き取れない。多分、遅いなーだとか呟いたんだろう。
 昨日、美術部の部室を通りかかったところ、何やらお兄ちゃんとあの女が話しているのを見かけた。どうやらお兄ちゃんがあの女を美術館に誘ったらしい。あいつ、どんな手を使ってお兄ちゃんを誘惑したんだ……。淫魔か?
 っていうかお兄ちゃん、スマホ持ってないじゃん。あの女にイライラしていたけど、よく考えたらお兄ちゃんもお兄ちゃんでそういうとこはなんか変。私がいないと駄目なんだから! ……お兄ちゃんと連絡とれないじゃん。
 ……っと、あっ! お兄ちゃんがようやく着いた。ってか私がわざとお兄ちゃんを遅刻させたんだけど。……お兄ちゃんが遅刻する人と思われるのは嫌だし謝らなくちゃいけないけど、あの女がどういうヤツなのかを観察する時間稼ぎの為。仕方ないもん。
 走ってきたお兄ちゃんがあの女になんか言ってる。お兄ちゃんのことだから、言い訳せずに謝ってるんだろうな。……。
 ……30分くらいあの女を観察してたけど、今のところは特に怪しいところはない。……いや、まだまだ。美術館でボロを出すかもしれない。お兄ちゃん誘惑する変な女から守らなきゃ!

17.客観的に。その2

 やることがなく、テレビゲームで札幌のすすきのみたいな街をぶらぶらと歩いていたら、姉貴から連絡が来た。
 『男性が待ち合わせに遅れる時に理由って例えばなんかある?』
 はぁ……? ……待てよ、そういえば昨日、晩飯食べてる時になんか母さんと話してたな。美術館がどうとか服がどうとか。……男ってことはデート? 姉貴が誰とだよ。ねー……ことも無いのか。なんか姉貴の高校でも特にモテてる? ってのは聞くし。
 まあいいや、そんでコレ、どう返そうか……。既読無視して変にギスるのもヤなんだよな……。
『ちょっと考える』
『暇。もう30分くらい待ってる』
 そりゃあ遅いな。しかし遅れる理由ったってなあ……。
『チンピラに絡まれたんじゃね』
『ゲームやってないで真面目に考えて』
 バレてるし。
『寝坊か人助け』
『来た あとで答え合わせ』
 あー、そう。

18.適当、感覚派。

 札幌駅の……どこだっけ、赤い脚があるとこ。そこにいた。
「……場所間違えたかな」
 昨日、絵がすごく上手い人に『ナントカ展に行かないか』と言われて、なんかノリでおっけーしちゃったけど、あの人と連絡を取る事を考えてなかったな。……って、あれ、自分もスマホ……家に忘れてきたかも。どうしよ。まあいっか。
「……あ、合ってた。ごめんね、遅くなって。行こうか」
ビックリして顔を上げると、その人がそこにいた。そういえば名前もわかんないな。確か美術部の……部長? だったけ。先輩じゃん。
 結構待ってた気がするけど、時間もわかんないや。腕時計とか持ってたほうがいいかな。

19.ワードサラダ進行

 前頭葉引き戸、芝生の備蓄にあるカワイイ行間の獄中のプリズムの延長線上で、お嬢様は防音室に蔑んでいた。
「賢いな……」
 四里、孤独感に扮している梵天に『ワイヤレス側に吹雪かないか』と溶かされて、淵の煎餅でRTしたのは狂ったけど、門に凝ってから鉱物との上場企業が不味いことに演じた。妄想は前途多難やバックスラッシュを温めていないらしい。
「え、えい、凄くなって手堅い……寝そうか」
 ハッキリして餅を兼ねると、牛丼が違えた電報で音に見た。
 ……9ガロンも沿って聞いたんですけど!

20.ヤツは

 札幌駅南口、東側のヤツにある赤い脚の形のヤツの近くで、私はヤツに寄りかかっていた。
ヤツ、遅いな……」
 昨日、ヤツに所属しているヤツに『ヤツの展に行かないか』と誘われて、二つ返事でOKしたのは良かったけど、後になってからヤツとの連絡手段が無いことに気づいた。ヤツヤツヤツを持っていないらしい。そういうヤツだ。
 「や、やあ、遅くなってすまないヤツだ……行こうか」
 ビックリして顔を上げると、ヤツが疲れた様子でそこにいた。
 ……30分も待っていたヤツなんですけど!

21.重言を重ねて二度言う

 札幌駅のステーション南口の南東、東側の道の通路ロードにある赤く緋色なレッドの双脚の足のオブジェのモニュメント物体の付近と近くで、自分と私は支柱の柱に背中を付けて寄りかかってくっついていた。
「遅れていて遅いな……」
 昨日とイエスタデイ、美術部の部活クラブに所属して入っている上級生の先輩に『エッシャー展のM.C.展覧会と展示に行って向かわないか』と誘いけしかけられて、ダブル二つ応答返事で了承OKして乗ったのはいいし良かったけど、しかし、だが、後々の後になってから上級生の先輩との連絡伝達手段の方法が無く、存在しないことの事態に発覚して気づいた。上級生の先輩は持ち運ぶ携帯電話や洗練された賢いスマートフォンを持って所有していないらしいようだっぽいとのことだそうで。
「や、やぁ、遅くなって遅れてすまなく面目ない……移動して向かって行こうか」
 ビックリして驚き顔のフェイスを上に上げると、上級生の先輩が疲労して疲れた様子のありさまと佇まいでそこにいた。
 ……30分や四半刻も待って待機していたんですけど!

22.略

 サツ駅南東通路、赤脚オブジェ近くで私は柱に寄りかかってた。
「遅……」
 昨日、美術部長に『M.C.展行く?』と誘われOKしたが、後で連絡手段が無い事が発覚。部長、携帯やスマホを所持してないらしい。
「ああごめん遅れた……行こう」
 驚き顔上げると、疲れてる部長がいた。
 ……30分待機してたけど!

23.一息で言う

 札幌駅南東通路のオブジェ近くにいた私は遅いと呟いたというのも昨日先輩に誘われ承諾したけど連絡手段が無いと後気づいたのだってことを思い返してたら先輩登場この時点で30分遅れ。

24.特殊能力保持者

 札幌駅駅南口、東側の通路にある赤い脚のオブジェの近くで、私は柱に寄りかかって千里眼を使って先輩を探していた。
「うーん、みつからないな……。美術館は……うわ、混んでるし」
 昨日、念写が出来るのに写真部に所属している先輩に『エッシャー展に行かないか?』と誘われることを知っていたため、食い気味でOKしたのは良かったけど、後になってから先輩との連絡手段が無いことに気づいた。 先輩は携帯電話やスマートフォンを持っていないらしいし、先輩も私もテレパシーなどは使えない。ついでに言えばテレポート浮遊なども出来ない。
 予知を使えるチヨちゃんから、『先輩からデートに誘われる』と教えてもらったのはいいけど、先輩が大遅刻することも予知してほしかったな……。
「や、やあ、遅くなってすまない……行こうか」
 ビックリして顔を上げたが近くには誰もいない。先輩の声だ。
「あ、あの、透明化を解除してください」
「あ、ごめんごめん。今ちょっと……解除したらヤバいかな。いやぁ、走ってきたから暑くて時期外れの薄着になっちゃったからねぇ」
 ……はぁ。呆れつつ、スマホを自分の耳元に近づける。透明化している人と話すときのよくあるテクニック。通話しているフリをして、先輩と話を続ける。
「さっき観たら結構混んでましたよ……とにかく早く行きましょうよ」
 先輩は肉体操作で脚力と基礎体力を強化して来たらしい。……時間管理能力を強化してほしかったんですけど!

25.丁寧語です

 札幌駅南口、東側の通路にあります赤い脚の形のオブジェの近くです。私は柱に寄りかかっていたんです
「遅いです……」
 昨日のことです。美術館に所属している先輩さんに「エッシャー展に行きませんか」と誘われまして、二つ返事でOKをしたのは良かったのですが、後になってから先輩さんとの連絡手段が無いことに気づいたんです。先輩さんは携帯電話やスマートフォンを持っていないそうです
「や、やあ、遅くなって申し訳ないですね……行きましょうか」
 ビックリして顔を上げますと、先輩さんが疲れた様子でそこにいたんです
 ……30分も待っていたんですけどです




あと75くらい!!






~付録~
テキトーに書いていて一番楽しかったけど、一番内容が脱線したヤツ。

XX.不審で、饒舌な、少女の、予知と、助言だ!

 ……あ、ねぇねぇー! そこの下校していて、長髪で黒髪で、可愛くって古風でセーラーな学校の制服のキミ! そうそう! キミだよー!
 よーっと。えーと確認カクニン……。タカサキ ミライ……髙﨑未來ちゃんだったかな? 名前を入力する場合の変換とか、重要な書類とか、名前をミクって間違えられたりとかー、なかなか苦労しているケド、カッコイイ名前だよねぇ。そんなキミに用事があるのだよー。
 あ、ワタシ? ワタシは~そうだねぇ、まあーしがないフツウのおねーさんだよ。フツー普通! ちょっとなんでもご存知なだけのね。わーお、防犯ブザーの準備が万端なポーズと表情! ほら! 降参のポーズ! 両腕は時既に頭上へ移動! ……ああっ、いやー御免ごめん、要件ねヨーケン……。
 え~~そう! さっきキミ、いとしのセンパイくんとデートのお約束をしたじゃあなーい? まあまあ、デートってことにしておきたくない? アレでしょ、芸術の鑑賞で、エッシャーの展示。集合の時間は明日の正午で場所は札幌の駅舎の構内の南口の東側で。お、どーしてってそりゃあー、なーんでもご存知なおねーさんだからね! 全知! ……ああっそれは誤解だよゴカイ! そんなストーカーとか盗聴とかそういうことはしてなくって! 本当にホントになんでも事前に理解と把握しているんだよー! しーんーじーて~~~!
 …………お、続行の許可!? これ以上の発言の権力を取得!? やっぱり非常に懇篤で親切だねえ未來ちゃんは! さっすが!
 でね? そのセンパイ、ワタシと同様にフツーオーラが超強いからなんだけどー、多分携帯とか所有してないでしょ!? どお? ……だよねー! おおっとまあまあ、ぷりーずうぇいと、じゃすとあもーめんとだよー。それがね、連絡手段皆無なことを指摘せず、このまま、このままの状態にしておくと後々いいことあるんだよー。キ、ミ、に! わお、その軽蔑の眼差し! 打擲してる! 貫通してるから! 本来センパイくんへの攻撃をワタシに……。運命も矛先も上書き! 無念だね!
 でまあ、それはさておいてぇ、その明日なんだけど、約三十分の遅刻で到着したほうがいーよ! ……あ! 心配ご無用! アタシもみんなもキミのセンパイくんを強奪しないって! えッ? ちがうちがうよ~全然カマかけたいワケでもないし、バカにしたいワケでも、キミやセンパイの弱点を発見したいワケでもなくってね? ワタシは、恋愛するキミの味方なんだよー!
 おっ? まーそーだよねー。怪訝な表情だね。このおねーさんをどうしたら信用してもらえるかなー?
 うーん、最初にキミの名前を解答したでしょー? 名前の苦労もそうだし、デートの予測も完全一致で正答したよねー。あとは……そうそう、センパイくんが携帯を所有していない情報もそう。あとはー、あ! キミが先輩を大好きなこととか!
 ……え、なになに? …………おっ? 内緒の小話? 信用してくれたか――ぁいだだだだ! まさかの両耳を両手で同時に牽引するこれまた古風な攻撃! あっそうか図星を刺激しちゃったのかな! そんなキミに謝罪会見☆ ――あああだあだだ!! ウサギさんに変身する能力の開花かな!? そろそろワタシの両目から液体が落下する時期かもね!? ああああああ!
 …………ふわぁ~~~……いやー、あんな激痛の体験は久々だったよ! 感謝感激雨晒し! ン?  いーよいーよ全然余裕ヨユーだよー。よくやられてるからね! あ、イイネその表情! 『それはそれでどうなの』ってツッコミの気分だね?
 で、話題と両耳の位置を巻戻して。えーっと、そうそう、信用ね信用。そうだなあ……。じゃあ……キミからさ『これは自分自身だけの秘密』みたいなことを質問してみて? ワタシがソレにバッチリ正解したら、信用、信頼、信任、新築、親愛をしてほしーな。……ああっ諦観な表情! ツッコミもして!
 ……うんうん、だよねだよねぇ。じゃあいくよー? 回答は……数字で『711132』でしょ! ……いぇーい正解! 流石ワタシ! 記憶してただけだケド! ループモノの人物がループしていない人間に周回の回数を把握させる秘密のパスワード! 実際に発生するワケないだろうけど、そういうのをあらかじめ確定させておくと、面白いよね! ……しかしキミは意外とSFも好物なんだよねー。それに毎回この数字を変更してるんでしょ? いいセキュリティだ!
 よぉーし、これでようやく全知全能おねーさんとしてキミの信用をゲットしたワケだけど。まあよーするにね……。
『先輩の携帯の話題は絶対に回避を』
『故意に集合の時刻を間違え遅刻を』
『札幌で先輩と腕組み芸術の鑑賞を』
 ――かな! まあ最後のはおまけだよオ・マ・ケ! 最初と二番は実行してね! 絶対ね!
 明日、貴方か先輩が死亡する事故の発生が確定するから。
 それじゃーね!

(秘密の約束: 漢字を使用する場合は二字づつの偶数で連続させる。可能であれば二字の熟語にする。熟語でなく、仮名が文字の後方に接続されていてもいい。)