感想欲しいもといソナーズについて

はじめに


 みなさんは小説投稿サイト「SONARS(ソナーズ)」をご存知でしょうか。
 中身スッカスカのまとめブログみたいな書き出しになりましたが、そもそもソナーズ知らない人はこれ読んでないと思いますので、説明は省きます。
 本当に知らない方は大変申し訳ないのですがここで振り落していきますので、各自着地体勢よろしくお願いします。


ソナーズについて


 さて、SONARS(以下「ソナーズ」)は匿名メッセージサービス「マシュマロ」派生の小説投稿サイトということになっています。
 マシュマロを利用したことがない方も、Twitterでなんかタイムラインにピンクの縁取りのコメント画像みたいなのが流れてきたことは一度や二度ではないのではないでしょうか。
 匿名で、かつひどい言葉は自動的に検閲してもらえる、ふわっふわの優しいメッセージだけがやり取りされ、たら、いいなあという夢と希望と世知辛さの入り混じったマシュマロの切なさはネットの海にいまも広がり続けています。

 ソナーズはマシュマロの派生ということですが、一応うたい文句は「ぶっちぎりで感想がもらえて、文単位のいいねがある、かなり尖ったサービス(原文ママ)」とのことです。
 マシュマロに馴染んでいた方も、たまたま目にした方も、このうたい文句にひかれた方は多いのではないでしょうか。
 特に感想がぶっちぎりでもらえるというのは、日々感想に飢えて、存在しない感想に祈りを捧げて実存を招こうという儀式に興じてさえいる感想ジャンキーにはとても気になるところですね。観測範囲内では長串さんの人以外に見かけたことはありませんが、たぶんこころは一つです。

 一発当たればなんか売れるかもしれないこのご時勢、小説投稿サイトと一口に言っても、いくつものサイトが鎬を削る群雄割拠の時代です。多すぎです。ぶっちゃけ知らないサイトの方が多いです。
 長串さんの人もPixiv、小説家になろう、カクヨム、ハーメルン、ノベルアップ+、ノベリズム、アルファポリスと様々なサイトを利用しています。使い辛過もとい相性の合わなかったマグネットやエブリスタを含めてもいいでしょう。なんか知らん間に名前変わってますけど。
 果たしてソナーズはこの小説投稿サイト戦国時代を生き残れるのでしょうか。
 と思ってるところに早速炎上し始めたみたいなのを遠目に見てしまって、まあそうなるなという顔ではあります。

 ベータ版ということで、まあ最初の内は使いづらかったり、うまくいかないこともあるよな、そんな風に考えて、短編をいくつかあげるだけにとどめていたところ、今回の一件。
 なんでも感想が多く来過ぎると、古いものからロックされてしまうとのこと。困りますね。
 そのロックを解除するには自分も感想を書けばいいことはお察しいただけますねと。そうですね。感想に最も価値があるサイトですもんね。私が何して欲しいかわかるよねって彼女か。
 でもその機能はまだ未実装なのでいくら書こうがロック解除されないこと。リリース直後でそうなることは想定してなかった。なるほど。感想に最も価値があるんですけどね。それが十件オーバーフロウすることは予想していませんでしたね。はい。はい?

 まあ、そうですね。
 思ったよりもみなさん登録して下さって、活発に活動して下さるのは嬉しいけれど誤算は誤算。
 いろいろ新しい機能を実装していくのは時間も手間もかかります。はっきり言えばお金が動きます。
 仕方ないですよね。新しいことを始めたんですし。ちょっとずつ進めていこうって言う方針でしたし。ゆっくり待ちましょうか、なんて思っていたらね。
 なので有料会員の機能を先に作って、制限解除機能を最低限一つは用意しますよと。はい。
 おっとぉ。
 そう、来ますか。なるほど。

 まあでもなんです。基本無料で頑張ってきてくれたマシュマロの派生。
 いきなり有料なんてのは、ということで、「あれを設定してあれのあれを希望している」熱心なユーザーの方には無料体験期間を用意する予定ですと。
 実際にソナーズに登録して作品を投稿したことのある人ならば何のことかはお察しいただけることでしょうね。
 ただ、それを設定していると熱心なユーザーという分類はつらい。とてもつらい。

 長串さんの人は短編を何作か投稿させていただいてるだけで、本格参入は検討中、というより難しいなという感じだったのですが、実際この機能はなかなか手ごわいです。
 感想を十件以上貰うというのがそりゃ想定外になるだろうなというくらい感想が来ません。ビタイチ来ません。いいねはしてくれる方もいますが、連打して下さるとその通知がすべて個別でくるので、感想きてないかなと通知欄をさかのぼるのは大変です。そしていつも何も見つけられません。

 ためしに感想希望に設定してみたところ、やっぱりきません。いいねも来ません。
 悲しい。
 そもそも感想がもっと欲しいなと望むような人種なのです。そりゃ誰も私を知らない人ばかりの投稿サイトで店を広げてもそりゃ感想は来ません。元の求心力が低すぎます。
 その上、この感想希望を設定すると、なんか感想書かないと次のお話は読めなくなるそうで。ワーオ。読めなければ感想もいいねも来ないわけですね。
 いやまあ、じゃあといって外してみたところで感想は来ませんが。いいねは来てくれました。ぽちり。

 そんな現状で感想希望に設定してしまえば、ささやかな希望であるいいね連打さえ来ません。誰も読めなくなります。
 いーや、自分のは読んだら必ず感想もらえますから、と言う人はそもそも感想に飢えてないのではという気もします。仲間内で楽しく感想を送り会えてる人たちでは。
 現状で感想もらえていない人がその設定にするのはリスクが大きいんですね。
 いやまあ、困ってるのは感想もらえてる熱心なユーザーなので、ある意味一致してるんですが。

使い方次第、かも?


 という感じで愚痴はこのあたりで。
 ソナーズを今後も使い続けるか、使うにしてもどのようにして使っていくのか。
 ここではそのあたりをちょっと考えていきたいと思います。

 そもそもソナーズを利用していて、かついま不満を感じているユーザーの方は、ソナーズに何を求めていたのでしょうか。
 小説投稿サイトとして見た場合、ソナーズはまだ機能も実装されておらず、投稿側としても閲覧側としても不便が多い状態です。
 感想やいいねが不振でも仕方ないと言えば仕方ない状態でしょう。
 新しくできたばかりの場所で、自分の影響力を一気に広めていきたい、という野心をお持ちの方は是非頑張っていただきたいです。

 感想が欲しくて、という方には、そうですよねとしか言えません。
 どうしたらいいのかもわかりません。
 何しろ長串さんの人自身が感想欲しくて始めたのに、どうやったら感想もらえるかわかりません。
 あるいは数撃っていけばどれかは当たって感想もらえたりするかもしれません。
 でも版権の扱いもいまいちわからないし、今後の展望も全く見えないソナーズで手持ちの札を投入していくのは怖いものがあり、ちょっと腰が引けます。

 いいねの連打が気持ちい、というのは、とてもわかります。
 ただ、これも別に業界初の機能ではありません。
 どこが初で、それぞれのサイトにどのような特色があるのか、全ては把握していませんが、皆さん欲しい機能なのは確かなようです。
 長串さんの人が存じ上げている似たような機能は、ノベルアップ+とハーメルンで見られます。

 ノベルアップ+の「ビビッと」は一文ごとにポイントをつけて応援などできます。こちらはコメント欄に「《〇〇》にビビッとしました!」という形で記載されます。
 少し手間がかかり、名前も残ってしまうので、匿名でポチポチとはいきませんね。しかしポイントをつけて応援できます。

 ハーメルンの「ここすき」は感覚的にはソナーズと似た感じと言えそうです。一文をスワイプして、最大10いいねまでできます。そして匿名。無制限には押せませんが、現実的な数と言えそうです。
 そして全ての読者が、他の人がいいねした個所や回数を確認することができます。評価が目に見えますし、共感を得られることでしょう。
 そう言えばソナーズではその小説がどのくらい評価されているのか、読者からはわからないので、純粋に読者個人の眼力で挑まなければならないのが少し不安と言えば不安ですね。

 このような感じで探せば似たような機能もありますので、ソナーズにこだわることもないかもしれません。
 ぷらいべったーなどのように、身内にだけ読んでもらえればいいかな、とか、そう言う使い分けの一環と考えた方が健全かもしれません。

感想は難しい

 さて、最後に感想というものについて改めて考えていきたいと思います。
 長串さんの人は感想欲しすぎてソナーズを始めたわけですが、みなさんはどうでしょう。
 感想、欲しくないですか。
 感想書いてもらう方法は知らないのですが、感想を書きたくない理由はたくさん思いついたので、感想のハードルの高さを改めて確認していきましょう。

 まず、なぜ感想は来ないのにいいねはつくのか。
 ひとつに簡単だからではないか、と思います。
 感想を書くにあたっては、一文をぽちりと一回押すことに比べて多大なる労力が発生します。
 「これこれこの文章が好きです」、といいねと同じことを言うだけでも一文書かなくてはいけません。おまけにいいねなら押した回数で気持ちが伝わるのに、文章ではどれくらいというものを自分なりに表現しなくてはいけません。
 単に好きですだけでもいいはずなのですが、こんなのでいいのだろうかと悩んでしまう経験は皆さんお持ちではないでしょうか。

 文章を書く、というのは、難しいものです。
 実際に文章を書いて投稿して感想まで求めているみさなんなんかは、世間的に見たらもはやハイエンドユーザーですよ。やばい連中ですよ。特殊技能で無能力者の後頭部をぶん殴ってるんですよ。
 そういう変態技術者たちの文章に打ちのめされた後に、文章で感想を書けというのは、どんな羞恥プレイなのかと感じてしまうのも無理はありません。
 その恥が見たいんだよこっちは。

 そもそもいいねと一回押すときの気持ちが、必ずしも言語化できるわけでもありません。
 「これ好きーわかりみー」を通り越して「はー♡♡♡」みたいな鳴き声に成り果てる時もしばしばですし、なんなら人は感動のあまり逆にキレだしたりもします。いいぞ。
 自分の庭で叫んだりする分には大丈夫な人も、いざ感想欄の四角い小窓を前にすると着飾った言葉を選び出してしまいがちです。
 作者の人がいくら簡単なのでいいんですよ、一言だけでいいんですよと言っても話は別です。自分の中の獣との対話なのです。

 正直なところ作者の人としては、そういう生き生きとした読者の方の新鮮な悲鳴もとい感情の発露が生々しく受け取れたりすると最高にニチャアという気持ちなのですが、なかなかそうもいかないのが人間社会というものです。求む新鮮な生贄。
 生の悲喜こもごもからしか得られない栄養素があるんですよ。

 また感想を書く上で、匿名性も大きなハードルになります。
 ソナーズは多分感想も匿名で送れるのでしょうが、多くの投稿サイトでは登録ユーザーはお名前が出てしまいます。
 感想は言いたい、でも自分の感想だと伝わるのは嫌……わかります。
 この感覚が直感的には理解できなくても理屈ではわかる皆さんも多いのではないでしょうか。

 でも匿名なんだから大丈夫よ、とご安心の皆様はさぞかし健全な精神をお持ちなんでしょうね。
 しかし身バレを恐れる気持ちがさらに進むと、文体から自分の存在を気取られるのが苦痛になります。なにがなんでも作者の人に自分の個性を気取られたくないのです。読んでるとバレたくない。何なら自分の存在によって影響を与えたくない。それならいっそ感想なんか書きたくない、と。
 理由はいろいろですが、結果として感想が書けなくなります。
 自意識過剰というなかれ。
 長串さんの人も普通にマシュマロ送ったつもりがなぜか普通に即バレしたこともしばしばありました。エスパーかな。まあバレるようにやってるときもありますが。

 投稿サイトを幾つも利用して、一番多く感じるレスポンスは、実はスタンプです。
 感想を書きたい、でも書きたくない、そう言うジレンマにちょうどいいのがこのスタンプです。
 例えばノベルアップ+では「待ってました!」「感動しました!」のように短文つきのスタンプが幅広く存在します。
 これによって文章をこねくり回さずともよく、自分の個性が漏れることもなく、手間も大してなく、それでいで華やかなので応援してます感がそれなりに出るという、なかなかうれしいシステムです。
 個人的には、これをもう少し文章に寄せて、定型文を一覧からポチポチするだけで簡単な文章を作れる機能があったら嬉しいかもしれません。

最後に

 このように、私たちが雑に考えている以上に、感想を書く、感想を書いてもらうというのはハードルの高いことです。
 ソナーズはその感想というものの価値に注目し、大きく取り上げ、発展させようとしてくれます。
 それがどう転ぶのかは現状ではまだまだ見えないことが多いですが、私たちユーザーの使い方にもよるのではないでしょうか。
 ソナーズだけでは不十分かもしれません。しかし他のツールは山とあるのです。
 うまく使い分けて、気持ちのいい感想のやり取りを交わしていこうではありませんか。

 そんなわけで、早速ですが長串さんの人は感想募集中です。
 いつでもウエルカム。ぜひ。お待ちしてます。靴とか舐めます?

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