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もうずっと逃げるために

生きているような気がするけれど、何から逃げているのか分からない。きっとよく分からない理不尽や、当たり前だと押し付けれるような正義とか、健全だと言って貼られる推奨の札や、そんなものから逃げて、流れ着いた場所だ。

よくわからない人たちが逃げてきた場所にはよくわからない人がきっと大勢いて、きちんと選べるような場所でもなかったのなら、余り物みたいな余生を分け合っている。あなたがいつか残したものとか、いらないと言って見なかったものや、気にも留めなかったものたちの残骸も、そんな風にどこかに転がっている。

惑星のごみ箱みたいなこの場所には、もうあまり永くはいたくはないんだと言って語りながら、文句や愚痴を言いながら、どうしようもないやと言いながら笑って、どうしようもなく励まし合ったりして、優しさも意味を持たなくなってしまった場所には、荒廃と堕落があった。

そんな風に荒んでいるものたちが辛うじて過労死で逃げ出すような場所ばかりが集まって、まだ息をしている。殴り合ってずっと笑い合っている人たちの場所で、どうやらまだ辛うじて息をしている。まだ息をしている夢を見ている。もうとっくに死んだつもりでいたが、それなら穏やかな夢だけ見せてほしかった。暴力に苛まれながら死んでいくのはどこの地獄だろう。

まだ夢を見ているような場所や、そんな夢だけ見せてほしい場所だけを集めて、ずっとパーティーをしているような惑星で、帰ったら地獄みたいにガタガタと震えて、そうしてまた息をしようと、生きようともがいている場所には、どうか穏やかな花だけ咲いてほしかった。そんなに責めないでいてと思う場所ばかりだった。

ぜんぶがぜんぶ逃げ場所みたいに隠れてまた移ってもがいて、何もなくなったみたいに忘れていく。そうやっていつか死んでいくのだとしても、やりたいことがまだもう少しだけ、あったはずなのだとぼやきながら、ぼくらはどうしようもないやと笑いながら、いつか息を引き取って消えてなくなりました。

空には星が祈ってほしい。どうしようもないのだとしても、なんて言い訳ばかりなぼくらに、せめて祈りくらいは与えてほしいよ。

さぁ、また夢に出かける時間だ。

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