第2章 『守りたいもの』③
「平穏の終わり」
新:棘刀式?
私が心を開いてから半年ほどが経った。今では昔からいたかの様に馴染めている。
桜:そう、この村の伝統的なお祭りなの
若:男役の神人が女役の棘人の爪を刀で切る…って感じだったんだけど…
佑美は七瀬の方をチラッと見る。七瀬も照れくさそうに笑う。
高:七瀬が去年、それをぶち壊したんだよねぇ〜
生:ちょっとずー、言い方
その場が笑いで包まれる。一同の認識は同じようだった。
白:確かにあれはぶち壊してたね
松:ほんま、よー出来たと思うで。まちゅなら絶対出来ひんかった
七瀬はまた照れくさそうに下を向いた。
橋:そのおかげで今があるんだけどね
七瀬も大きく頷く。私もいたずらに続けた。
新:私がここにいるのもそのおかげってわけね
松:でも、悪くないやろ?
新:まあね
穏やかな秋の日差しが部屋に差し込む。こんな穏やかな日常、帝都にいた頃では考えられなかった。
白:今年の男役は未央奈で、女役は飛鳥だってよ
高:え〜今年こそは選ばれると思ってたのに…
生:いやいやいや、妥当でしょ
桜:去年なんか、あの二人喧嘩してたのにね
西:それ、懐かしいなぁ
私は自然と左手を摩る。去年の傷跡はきれいさっぱりだったが、目には焼き付いていた。
若:今年も棘切るの?
橋:いや、今年は神楽を踊るらしいよ
生:え〜楽しそう!
白:え〜良いなぁ
棘を切るよりは踊った方が楽しいのは総意のようだった。確かに、去年の稽古は大変だったなぁ。
西:今年もさ!
思いの外、大きな声が出てみんなの視線が一斉に集まる。
西:みんなで見に行こうね
恥ずかしさが相まって、小声になってしまった。
橋:当たり前でしょ
みんなも頷いている。あぁ、良い友達を持ったなぁ。
穏やかな日差しはまだ降り注いで止まなかった。
明るい日差しが差し込む、いつも通りの朝。そういう時に悪いニュースは飛んでくる。
新:えっ、なんで…
帝都からの一通の手紙、言葉を失うとはまさにこの事だった。
新:おかしい、絶対におかしい
私は居ても立っても居られなくなり、帝都へと足を走らせた。
西:あれ、新内さんは?
橋:昨日は来るって言ってたけどなぁ
あの生真面目な新内さんが連絡も無いとなると心配になる。
飛:奈々未、稽古遅れちゃうから早く〜
橋:うん、今行くよ
私の勘は悪い時しか当たらない。胸騒ぎを押さえ込み、飛鳥と七瀬と稽古場に向かった。
新:どういうことですか!
私は総督の部屋に入るなり大声で問いただしていた。上司、それもトップの人に問いただすなんて普通は有り得ない。
総:今朝の手紙を見ただろう?その通りだ
新:だからその理由を聞いているんです。
なんで村を攻め落とすんですか!
今朝の手紙には、2週間後の明朝に村に奇襲を仕掛けて攻め落とすと書かれていた。
新:彼らには帝都を攻める気配はなく、ただ穏やかに暮らしているだけです
総:君からの報告を見ているからそれは知っている
新:じゃあ、なんでですか?
心当たりが1つも無かった。報告に嘘を書いたことは1度もない。
総:新しい領土が欲しいのに理由が必要かな?
頭の中が真っ白になった。言葉の理解に時間が必要だ。
総:理由などない。ただ、我々帝都の民が豊かになるためだよ
そうだった、帝都はそういう街だ。いつだって戦うのに理由は要らない。ここにいた私が1番分かっているはずだった。
総:君は良く任務をこなしてくれたよ。期日までに荷物をまとめて戻って来なさい
新:…はい
反対が出来なかった。私は総督の部屋を出る。涙を堪えるのはそこまでが限界だった。
私はあくまでも帝都の人間である。忘れていた事実が目の前に立ちはだかった。
?:…ちさん、新内さん!
新:あっ、ごめんどうした?
西:神楽、始まりますよ!
ここ最近、新内さんは心ここに在らずみたいだ。神楽の見学だってあんなに楽しみにしてたのに。
松:めっちゃ楽しみだわ〜
白:あっ、始まる
私たちも見たことの無い、飛鳥と未央奈の踊る神楽が始まった。
高:綺麗だったね
生:ほんとそれ。飛鳥たちとは思えなかった。
神楽を見ている間、誰も口を開かなかった。見入ってしまうほど綺麗だった。飛鳥が褒められているのも我が妹ながら誇らしかった。
感動の余韻が抜けないまま、私たちはその場を後にした。
西:神楽綺麗だったね
新:うん
神楽は本当に綺麗だった。ただ、私にはそれ以上に頭を悩ませる問題があった。
西:なんか悩み事でもあるん?
新:えっ
西:ここ最近ずーっと暗い顔してるで
新:ん〜歳のせいかも
西:それなら納得やな
新:おい
そう言って誤魔化すしかなかった。神楽を次に見ることはない、そんなこと言えるわけが無い。
新:私、仕事あるから今日は戻るね
西:頑張ってな〜
今は1人になりたかった。でも家に戻れば嫌でも考えなければならない。
そんな時に向かう場所は1つしかなかった。
こんな綺麗な場所なのに、ここに来る時はいつも悩み事を持ち込んでしまう。
ただ、その度に答えを見つけられる。そんな不思議な力がここにあると思っていた。
ブオォォォ
遠くを走る電車の音。昔は帝都に直ぐにでも戻りたかった。今は…
今は守りたいものが増えすぎた。
このまま帝都に戻ればまた出世コースに戻れるだろう。女性初の総督だって夢じゃない。
でもどんなに出世しても、どんなに給料が上がっても、どんなに執務室の椅子がふかふかになっても、失うものには釣り合わない。
新:私も変わったなぁ
独り言が草原に吸い込まれる。
本当のことを言えば戦いそのものを止めたい。でも、自分にその力がないことは分かっている。残りの策は1つ…
新:でも、そんな無責任なこと絶対に頼めない
その頼み事は命懸けだ。それも私の命だけじゃ足りない。
新:あぁぁぁぁぁぁぁ!
大声が木霊する。荘厳な草原がそれを優しく受け止めた。
?:どうしたの、大声なんか出して
振り返るとそこには見慣れた佇まい。この草原は誰かを呼び寄せる力まであるのかな?
新:奈々未…うるさかったよね
橋:別に大丈夫だよ。ここはそういう場所だしね
奈々未は黙って隣に座った。やっぱり、この場所には静寂が似合っている。
どうしてここに来たのか、正直分からない。
1人になりたかった訳じゃないし、悩んでいた訳でもない。ただ、何となく来ないといけない気がした。
聞き慣れない大声。それでも草原はいつものままだった。
新:奈々未…うるさかったよね
橋:別に大丈夫だよ。ここはそういう場所だしね
私は隣に腰を下ろした。
新:私ね、前まではこんな所直ぐにでも帰りたかったの
橋:そんな感じの雰囲気出てたから気づいてたよ
新:その節はごめんね
奈々未は微笑み、私も釣られる。穏やかな中に強さがある、年下ながら憧れる。
新:でもね、今は違うの。ここの暮らしを…村を守りたい
守りたい、なんでそんな言葉を使うんだろう。今日も明日も村は村のままなのに。
新内さんはまだ何か言いたそうだ。でもなんだか違和感がある。
橋:私には頼ってもいいんだよ
1人で戦っているような新内さんを助けたかった。
橋:私には頼ってもいいんだよ
抑えていた気持ちが溢れ出す。この人なら…そう思ってしまった。
新:明後日の明朝、帝都の軍が攻めてくる。村人ごと壊滅させる気で
奈々未は落ち着いて聞いていた。私は涙が止まらなかった。
新:だからお願い…村を…みんなを守って欲しい
無責任なお願いなことは分かっている。でも、奈々未たちに頼むしか策がなかった。
新:ごめん…本当にごめ…
奈々未の手が私に伸びてくる。その手は一直線に私の涙を拭った。
橋:大丈夫、私たちに任せて
そう答えた奈々未の手は暖かく、しかし震えていた。
新:わがままなのは分かってけど…絶対生きてて欲しい
橋:分かってる。だから絶対に、またみんなで神楽見よう
奈々未は小指を差し出す。私も小指を絡めた。
橋:これからどうするの?
心配そうに見つめる瞳。私にも出来ることはあるはずだった。
新:帝都に戻るよ
橋:そっか
私は立ち上がった。思い立ったら即行動するのが新内眞衣である。
新:七瀬たちには…
橋:七瀬たちには伝えておくよ
食い気味に奈々未は答えた。
新:色々ありがとう。、、、またね
新内さんはそう告げると村に戻っていった。1人残された私は事の重大さを痛感する。
橋:任せて…か。大きく出ちゃったかなぁ
この戦いが一筋縄でいかないことくらい私でも分かる。
橋:プライド見せますか
私は村に戻ると村長の家に棘人の大人たちを集めた。
私は1つ奈々未に嘘をついた。次に奈々未たちが神楽を見るとき、私はそこにはいない。
帝都の勝ち負けに関わらず、重要機密を漏らした私に待ち受けるのは見晴らしのいい台の上だ。
それでも良かった。最期くらいは自分のことを正しいと信じていたかった。
足元にいつかと同じボールがぶつかる。
山:あ、しんうちさぁ〜ん
新:お、ちびっ子か
山:またちびっていったな、おばさんめ!
こんな生意気なちびっ子も私の守りたいものの1つだった。ただ、私は生意気を許すほど優しくはない。
新:まてクソガキ!
山:アハハハ、にげろ!
こんな日常、いつまでも続いたら良かったな。
棘人1:奈々未ちゃん、それ本当か?
奈々未の話を聞いた大人たちはざわついた。
橋:新内さんはこんな嘘つかない。帝都も本気で来ると思う
ざわめきは収まり、沈黙が流れる。こんなこと直ぐに受け入れられるはずがない。
橋:私は…私たちで村を守りたい
新内さんが中々言い出せなかった気持ちが、今ならよく分かる。
命を賭ける、その言葉を軽々しく口には出来なかった。
橋:だから…私と一緒に戦って欲しい
頭を深く下げる。みんなの反応はきっと困っているだろう。
白:奈々未、顔上げて
松:せやで、そんなん答えは決まってるやん。なぁみんな
私は顔を上げた。みんなの顔がよく見える。本当に私の勘は悪い時にしか当たらない。
若:自分たちのこと守らない奴がどこにいんだよ
そうだそうだと大合唱。思いは1つだった。
それぞれに大切な人がいる。それが友達なのか家族なのかは分からない。
ただ、その人たちを守ることに理由なんか必要なかった。
白:七瀬たちは知ってるの?
私は首を横に振った。七瀬たちに伝えるつもりは最初からなかった。
松:なんでや、みんながいた方が絶対良いやん
橋:いざって時に村を守る人たちも必要でしょ?
それに私たちの方が強いしね
こんな時に冗談を言えた自分には驚いたが、少し場が和んだ気がする。
それに敢えて口にはしなかったが、みんな頭の片隅には思っていただろう。
今度は私たちが恩を返す番だって。
松:せやな、まちゅたちの方が強いもんなぁ〜
若:だな
皆の士気は次第に高まっていった。そして明後日の明朝にあの草原で帝都を迎え撃つことに決まった。
橋:最後に1つだけ
白:どうしたの?
最後に絶対に言わないといけない事があった。
橋:みんな、死なないで。これは絶対に守ること
矛盾したお願いなのは重々分かっている。これは私の我儘でもあり、本心でもあった。
白:もちろん、死ぬ気も負ける気もないから
一同頷く。そして場のボルテージは最高潮に達し、そのままお開きとなった。
橋:みんなちょっといい?
私はしーちゃんと松と若に声をかける。そして、本当の作戦を伝えた。
白:はぁ…本当に昔から突拍子もないこと言うんだから…
しーちゃんに呆れられるとは、少し腑に落ちない。ただ、この作戦は突拍子もないどころでは無い。命懸けそのものだ。
松:でもみんなを守るためにはしゃーないかもな
若:思えば小さい頃から私たちいつも4人で一緒だったね
白:若、いきなりどうしたの?
松:思い出話なんてまだ早いで
若:ってことはさ、最期も一緒だろ?
若が手を出す。その手を3人が握る。
橋:みんな、ありがとう
友情で乗り切れるほど簡単な話ではない。ただ、4人だからできると私はそう思った。
村の夜はいつもと変わらない。変わったのは私たちの覚悟だけだろうか?
私たちはそれぞれの家に戻った。夜は静かに更けて、静寂が村を包み込んだ。
村の大人たちが長老の家に集まっていく。何があったんだろう?
私は部屋に近づき、聞き耳を立てる。
大した話じゃないだろうと思っていた。そんなに大きな話、聞く心の準備なんか出来ていなかった。
橋:だから…私と一緒に戦って欲しい
その言葉を聞いたときは頭がフリーズした。
戦うって何?なんで奈々未がそんなこと言うの?
もしかしたら奈々未たちは…嫌だ、そんなの嫌だ。
飛:お姉ちゃん…
日常が崩れる音はとても大きく、とても静かだった。
上を向いても涙が出るから堪えるのは止める。私は泣きながら暗闇の家路を走った。
朝日が部屋に差し込む。今日もまた1日が始まった。
橋:ほんと、皮肉な天気ね
空のキャンバスは私の心とはリンクしていないようだ。
飛:奈々未…ごはん…
橋:うん、今行くよ
飛鳥の異変にも気づけなかった。いつも通りのフリをするので手一杯だった。
改めて見ると、1日というのはあっという間だ。稽古を見て、集会所でだべって、美月たちと遊んだら、もう陽は赤みを帯びていた。
西:んじゃ、みんなまたね!
いつもの夕暮れ、いつもの別れ際。大切なものは手元にあるときは気づかない。
橋:うん、またね
お互い背を向ける。振り返ることはなかった。
松:4人で歩くの何回目かなぁ
若:子供のときからだからね、数えきれないな
4人の前には子供の頃の自分たちが見える。
若:まちゅのばーか
松:なんでそんなこというん、エーンエーン
若:アハハ、おもしろいやつ〜
白:まちゅおいで、ヨシヨシ
松:エヘヘ、まいやんやさしいなぁ
橋:ほらみんなはやくかえるよ
タッタッタッ
4人の背中が遠ざかっていった。
若:ほんと、松は変わらないよな
松:そんな褒めんといて〜
若:悪い意味でね
松:エーン、まいや〜ん
白:若だって昔のまんま、ヨシヨシ
松:まいやんも奈々未も昔のまんまやで、エヘヘ
橋:私たちは変わらないよ。今までもこれからもね
どれだけ成長しても、4人の背中はいつだって一緒だった。
飛:奈々未ちょっといい?
その日の夜、珍しく飛鳥が部屋にやってきた。
橋:良いよ、どうしたの
飛鳥は襖を開けるが中々入ってこなかった。まるで躊躇いが体に先立つように。
しばらくすると飛鳥は部屋に入り、私の隣に座った。
橋:女役、様になってるじゃん
飛鳥は下を向いたまま口を紡んでいた。泣くのを我慢している、姉である私にはお見通しだった。
橋:未央奈との息もピッタリだし、心配はなさ…
いきなり飛鳥は手を握った。そして涙で重そうな瞳を私に向けた。
飛:奈々未…行かないで…
普段なら人前で絶対に泣かない飛鳥。そんな飛鳥が昔から私にだけ見せる弱い姿。
飛:全部…全部知ってる。明日、みんなが戦いに行くことも、その戦いに勝ち目が無いことも…
飛鳥は手を強く握る。痛いくらいだ。
橋:みんなを守るの。黙ってやられる訳には行かないでしょ
飛:なら、私も戦う
涙で浸かった目がこちらに向く。その奥には何か決意のような諦めが見える。
飛:私ももう子供じゃない。みんなのために命くらい懸けられる
橋:飛鳥…
飛:だから私も行く。私も皆と…
私は飛鳥を抱きしめた。
橋:飛鳥には生きてて欲しいの
飛:それってどういう意味…
橋:お姉ちゃんとしての本望よ
飛鳥はまた泣く。こんなに泣かれたのは飛鳥のおもちゃを壊した時以来かな?
しばらくすると飛鳥は落ち着いた…いや、強がりながら涙を拭った。
橋:飛鳥にお願いがあるの
飛:、、、なに?
橋:みんなが避難出来たら村の奥にある神社の鐘を鳴らして。それを合図に戦線を引くから
飛鳥は黙って立ち上がった。
橋:飛鳥?
飛:絶対に、絶対にみんなで帰ってきて
力強い口調。その目には確かな覚悟が浮かんでいた。
橋:当たり前よ
飛鳥は再び抱きついてきた。気付かないうちにこんなに成長していたんだなぁ。
飛:私の晴れ姿、見ないとか有り得ないからね
橋:分かってるよ
頭を撫でる。気弱タイムは終わり、いつもの飛鳥が戻ってきた。
こうして私はまた1つ嘘を重ねた。
橋:全く…まだまだ子供ね
膝の上には泣き疲れて眠る飛鳥。寝顔は昔と変わらない。
橋:晴れ姿、私が1番楽しみにしてたんだぞ
飛:スーッ…おね…ちゃん…スーッ…
優しくて強い、時に頑固で意地っ張りな飛鳥が私は大好きだ。
橋:私、頑張るから
飛鳥の頭を撫でる。これで充電は十分だ。
白:あれ、桃子どうしたの?
大:いっしょにねるの!
白:良いよ、おいで!
大:きょうはね、しおりとね…
可愛い。本当に可愛い。これが最後なんて嫌だなぁ。
桃子はどんな大人になるんだろう。女役はするのかな?誰を好きになるのかな?
その隣に私もいるのかな?これは聞くまでもないか。
大:それでね!…ファァア…
白:そろそろ寝よっか
大欠伸をした桃子と布団に入る。子供ってなんでこんなに暖かいんだろう。
大:ぎゅー!
白:ぎゅー!
桃子の匂いがする。私が守るもの、その再確認が出来て良かった。
白:ありがとう桃子
桃子はもう寝てるから聞こえないかな。私も目を閉じた。
松:今日くらい何食べてもバチ当たらんやろ
冷蔵庫の中から大きなアイスを取り出す。これの一気食い、昔からの夢やってん。
縁側に座る。アイスを食べるには少し寒かった。
松:綺麗な夜空やなぁ
アイスを運ぶ手が震える。当たり前やろ、怖くないはずがない。
まだいーっぱい食べたいものもあるし、やりたいこともある。
でも、みんなが居ないとそれは始まらない。
松:今度は山盛りのからあげが食べたいなぁ
甘いアイスも今日はなんだかしょっぱい味がした。
みんなもう寝ただろうか。残念ながら私はまだ寝れそうにない。
若:昔っからこういうとき寝れないんだよな
昔を思い出すのは私の悪い癖かもしれない。ダメだダメだ。こんなんじゃいつまで経っても寝れない。
若:戻ってきたら何しようかな
今度は未来に目を向けることにした。
若:釣りもしたいな。史緒里たちとも遊んでやらないとな。日奈子と飛鳥のこともっと鍛えてやらないとな
やりたいことはたくさん浮かんだ。でもやっぱり1番は…
若:最初に玲香に会いに行こう
色々考えた。考えたらなんだか落ち着いた。私はゆっくりと目を閉じた。
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