まっさらな克己ハチマキ

小学生の時行っていた塾がちょっとヤバかった。
小6になると、「克己」と書かれたハチマキを渡され、それを着用し授業を受ける。
また、講師もハチマキを着用して授業する。

当時の私は、その風習が嫌いだった。
そんな布切れ一枚巻いたって…（笑）と思っていた。ひねくれてたな〜

受験直前になると、皆講師からのサインをハチマキに書いてもらう。「絶対合格」「初志貫徹」「君ならできる！」とか。

一方自分は誰からもサインを貰わなかった。必死な感じを他人に見られたくないという、自分の変な羞恥心のせいで貰いに行けなかった。

「克己」とは、自分の中の欲望、邪念に打ち勝つことだという。

(ハチマキにサインもらうなんて、必死な感じがして恥ずかしい)という思いを邪念だとするならば、

己に打ち克てなかったゆえ、サインのないまっさらな「克己」ハチマキを巻いているって、なんて滑稽…。

あれから年月が経ったが、未だに己に克てていない。死ぬまで克てない気がする。