緊急事態条項が独裁国家・日本を誕生させる

先日のnoteで話したボン基本法の防衛事態における合同委員会には基本法を改正したり無効化したりする権限はありません。

しかし、日本の自民党改憲案にある緊急事態条項では、その辺りはハッキリと明記されていません。(つまり駄目とは書いていない、という事です)

その代わり、こう書かれています。

『内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる』、と。

つまり、事実上『議会で議論することなく、また議会の承認を得ずに内閣だけで法律を制定出来る』というわけです。

また、他にも気になる点があります。

『内閣総理大臣は財政上必要な支出“その他の処分”を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。』

上記にある“その他の処分”が何を指すのか不明瞭であり、権力者がこの部分を都合よく解釈して好き放題出来るリスクがあると私は考えています。

また、緊急事態の宣言と更新に必要な条件も甘めに設定されていると思います。

緊急事態の宣言と更新について自民党はこう明言しています。

『4項で、緊急事態の宣言の承認の議決及びその継続の承認の議決については、衆議院の議決が優越することを規定しました。宣言の解除の議決については、衆議院の優越はありません。』

大雑把に言えば、緊急事態の宣言と更新(継続)は“衆議院で議決されれば”、『たとえ参議院で否決されたとしても』認められます。

しかし、これの解除を行う場合は“衆議院のみならず参議院でも議決する必要があります。”

つまり、『緊急事態の宣言と更新に必要な条件は衆議院での議決のみ』。衆議院で議決されれば参議院で否決されても問題なし。

しかし、『緊急事態の解除に必要な条件は衆議院・参議院両方での議決』。衆議院で議決しても参議院で否決されたら解除できないのです。

この部分が非常に危険であると私は考えます。

そもそも宣言と更新に必要な『衆議院で議決』という条件自体が簡単過ぎる。

現時点で議席の3分の2を占めている与党が『緊急事態を宣言・更新する』と決めれば、その時点で議決したも同然です。

更に、このような文まであります。

『緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、

その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、

両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。』

要するに、一度緊急事態を宣言すれば衆議院・参議院両方の議員の任期を好きなだけ延ばせます。

つまり、与党が得た議席をずっと占め続ける事が可能です。そしてこれは『好きなだけ緊急事態を継続出来る』という事でもあります。

このため、私は自民党改憲案の中でも緊急事態条項が最も危険だと考えています。

先日お話ししたドイツの緊急事態条項と比べて制限が緩く、権力の暴走を押さえられない。

故に、私は自民党改憲案の中でも特に緊急事態条項を通してはならないと考えます。

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