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物書きのためのパソコンの選び方

 ちょっと前にTwitter で話題になったパソコン選びについて、ちょっとまとめてみようと思い立った。

 当初、フローチャートみたいに質問に答えていく感じにしようと思っていたのだけれど、質問の順番を考えている段階で混乱して袋小路に突入したのでnote にしたためてみる。

 ダラダラと7000字以上にわたって駄弁っているので、パソコン好きのおっさんが酔っぱらってくだを巻いていると思って読んでほしい。

パソコン大好き?

 あなたはパソコンそのものが大好きなタイプですか?

 Yes の場合、このnote はあなたには不要です。存分に好きなパーツを選んでとびきりクレイジーな一台を作ったり、ギリギリまでOC したりして楽しみましょう。ぶっこわれたり時に燃えたりしますがそれもまた一興。

 No の方。パソコンそのものが好きなわけではないけれど日常的にパソコンは使う、ハードウェアにそれほど詳しいわけではないし、特段詳しくなりたいとも思っていないけれどパソコンを使う必要はあり、時折買わねばならない事態が生じる、そんな方。このnote はそういう方向けです。

 では、パソコン選びで問題になりそうなポイントを見ていきましょう。

OS をどうするか問題

 パソコン(以下PCと書こう)を選ぶうえで最初に考えるのは、OS をどうするかということ。OS とはオペレーティング・システムのことで、日本語では「基本ソフトウェア」なんて呼ばれたりしていた。(この呼び方、近頃とんと聞かなくなった)

 OS には実にいろいろあるのだけれど、ここで選択肢にするのはWindows とMac OS のみ(あとでちょっとChrome OSには触れる)。それ以外にもいっぱいあるだろ、UNIX系がどうのBSDがどうのあれやこれやソラリスだなんだ、そういう方々にはこんなnote は必要ないので自分で好きなものをインストールしてくれ。

 というわけでWindows か Mac か問題。これはもう根が深い問題で宗教的な諍いに発展することもあるのでなるべく触れたくないところではあるものの、触れないわけにもいかない。OS 選択のポイントは、「そのOS でないといけない何らかの理由があるかどうか」に尽きると思う。例えば職場がWindows なのでプライベートでも同じOS の方がストレスがないので良い、といった場合や、Mac (あるいはWindows)でしか動かないソフトウェアで使いたいものがある、といった場合は自然に決まる。

 そうでない場合、あらゆる要素が「どちらでもいい」と言っている場合、これは身近な人がどちらを使っているかで選ぶと良い。よくやり取りをする友人とか知人、親兄弟その他。そういう人が何を使っているのか聞き、身近な人が使っているのと同じ方を選ぶと良いだろう。もちろん情報交換できるから、という理由による。

モバイルか据え置きか問題

 次に、持ち運びができるようなノート型(ラップトップ型)か据え置き型(デスクトップ、タワーその他)か、という問題。最近はここにタブレット型PCというのも加わり、モバイルはノートタイプかタブレットタイプかという選択も必要になる。

 まずは持ち運ぶかどうかという部分。PCを持ち出して使用する可能性があるかどうかを考える。外出時はスマホ、あるいはタブレット端末で事足りる、という場合はPCにモバイル性を求める必要はない。逆にスマホやタブレットを持っていたとしても、外出時にPCが必要になる場合はモバイルタイプを選択する必要がある。

 持ち運ぶ必要がない場合でも、設置場所の問題で、例えば自宅の中で移動させたい場合や、定位置置きっぱなしでもとにかくスペースを取りたくない場合などは、外には持ち出さないけれどモバイルタイプを選択するというケースもある。最近はこちらの理由でノート型のPCを買う人が多いような気がする。

 ただし、同じ性能であればモバイルタイプは据え置き型よりも値段が高い傾向にあるので、設置場所が許すのであれば据え置き型を買った方が良い。イニシャルコストの費用対効果に加え、コンピュータそのものの寿命も据え置き型のほうが長くなる傾向にある。

メーカー製かBTOか問題

 一昔前は家電量販店に売っているようなものをメーカー製、オンラインで必要な性能にカスタマイズして購入するものをBTO(Built to Order)と呼んで区別していたのだが、今はいわゆるBTO系のブランド(ASUS、ACER、DELL、LENOVO、HPなどなどなど)も量販店に売られているのでその境界はあいまいになりつつある。

 一般にメーカー製は割高だがサポートがちゃんとしている、BTO系は安い分サポートに不安がある、といった話もあったけれど、今は上記のようなかつてのBTO系ブランドはそれほど心配しなくてもよさそうだ。

 今はBTOというと上記のようなブランドではなく、ツクモとかドスパラなどのショップ製のものを指すことが多い。マウスコンピュータなどはどちらに入れるか迷うところだけれど、価格としてはショップ系ブランドに近いぐらい安い。この辺は細かくカスタマイズして購入できる上に割安なので魅力がある。一方でまったくの初心者みたいな人にはあまりお勧めしない。ツクモとかドスパラの実店舗が近所にあるなら選択肢に入れても良いかもしれない。

 なお、この項はあえてメーカー製とBTOにしか触れていないが、もちろん自作という道もある。しかし自作PCを選択するような人は当然ながらこのnote の対象ではない。そういう人はわたしと同じ側なので共にどっぷりと沼に沈みましょう。

キーボードどうするの問題

「物書きのための」ということで最も重要なのはおそらくキーボードであろう。物書きが直接触るデバイスとして最重要のものはキーボードだ。ノート型のPC を使用し、かつ、本体についているキーボードを使うつもりであればそのキーボードを気に入るかどうかがとても重要になる。これはもう店頭に触りに行き、触り倒して気に入るやつを見つけるよりない。

 が、PCを買い替えるたびにキーボードのことで悩まされるのは煩わしい。そういう人はぜひ、外付けのキーボードを検討してもらいたい。お気に入りのキーボードさえ見つけておけば、PCが何であれ、その気に入っているキーボードを接続すればいいだけだ。その分PCの選択肢は広がるとも言える。外付けキーボードは据え置き型のPCにも使えるし、Bluetooth 対応であればスマホやタブレットにも使えたりする。

Celeron とAtom はやめておけ問題

 テキスト編集しかしないならなんでもいいよ、と言われることが多かろう。今売られているPCという意味でその言葉にはほとんど嘘はない。が一点、CPUについては、Intel のCeleron シリーズとAtom シリーズのものは避けよ。「避けた方が良い」ではない。避けなさい。この辺のCPU を搭載したPCは基本的人権を侵害してくるので買ってはいけない。

 先日アイリスオーヤマのPCを学校にどどーんと導入するとかいう話で、話題になっていたPCがCeleron 搭載機であった。これは全国の未来ある若者から人権を奪い、コンピュータそのものを嫌いにさせる行為なのでわたしは全面的に反対する。Celeron はもはやこの世から去っていただいて良い。使わねばならん理由は一つもない。ストレスで病気になりたい人はCeleron のマシンでYoutube 見ながらテキストを打ったらよい。二日後には発狂できるだろう。

必要なスペックが分からない問題

 このnote は一応「物書きのための」パソコンの選び方ということで、テキスト編集に重きを置いて検討するけれど、テキスト編集なら別にPCなんて低スペックでもいいでしょ、という発想だと困る事態もあるので、どの程度のスペックが必要になりそうかチェック項目を設けて考えてみる。なお、前述のようにここから先の話では既にCeleron はこの世に存在しないものとして読んでいただきたい。

 たしかに今どきのPCは最低価格レベルのものでも一昔前とは比べ物にならないパワーを持っているため、テキスト編集しかしないのであれば特に問題ない。

 が、「わたし文章書くだけなんで」と言っている人が本当にテキスト編集しかしないわけではない、という事情がある。実際問題、ある。

インターネットを見ながら原稿を書くか

 これがNo の人はほとんどいないのではあるまいか。よくPCショップなどでも初心者っぽい人が「ネット見るぐらいです」とか言っているのを見かけるが、だいたいこの「ネット見るぐらい」の中に、フルHDとかともすると4Kの動画配信を見るとか、Zoom で会話するとかそういうものも含まれていたりする。

 さらに落とし穴なのはWebブラウザの消費メモリ。最近ユーザを増やしているGoogle のChrome はChromium というオープンソースのエンジンを使っていて、これがものすごいメモリを食う。わたしはゲームもするし映像制作や音声編集などもするのでけっこうハードにPCを使うのだけれど、重いなと思ってリソースモニタを見ると一番メモリを食っているのはChrome だったりする。

 次点で意外と重いのがMicrosoft のTeams。これも異様にメモリを食うので、Chrome やTeams を使うという人はメモリは多めに載せておいた方が良い。最近のPCはだいたい最低でも8GBぐらいはメモリが載っているけれど、Chrome でタブをいっぱい開いて使う、という人は16GB にするとより快適。(予算との相談で検討すれば良いレベル)

 なお、現在の新しいMicrosoft Edge というブラウザは、中身がChromium エンジンなのでChrome と同じようにメモリを食う。そのためEdge を使っている人も同様にメモリは多めに積んだ方が良い。

映像をあれこれするか

 映像配信を見るだけならそうでもないが、Youtube にアップするものを作る、となると少々考える必要が生じる。ここでポイントになるのはその動画制作にどんなソフトウェアを使うのかという部分。ソフトウェアがGPUレンダリングに対応している場合、CPUから独立したGPUを搭載したPCを買うと書き出し時間を短縮できる。これはソフトウェアが対応しているかどうかによるので、そういった用途に使う場合は使うソフトも含めてよく調べる必要がある。

ゲームをするか

 そのPCでゲームもするとなると、そのゲームが要求するスペックを満たす必要がある。この場合はもうショップに行って、やりたいゲームの名前を告げて選んでもらった方が良い。ゲームができるPCならテキスト編集で困ることはないだろう。

ストレージなんでもいいのか問題

 PCのスペックというとGPUが必要かどうか、CPUはどのぐらい速いのが必要か、メモリはどのぐらい必要か、といった話に終始しがちだがストレージ(データ格納デバイス)をどうするのかという問題もある。

 今の主流はSSD。SSDというのはソリッドステートドライブの略で、フラッシュメモリを用いたドライブのことだ。旧来のHDD(ハードディスクドライブ)を置き換えるものとして登場したが、今のところHDDと比べて、圧倒的に速い、でも値段が高い、寿命も短いという問題がある。寿命については最近のものはほとんど気にしなくても良いだろうから、メインドライブ(OSが入っているドライブ)についてはSSDを搭載したものを選ぶと良いだろう。

 ただ、SSDは物理的、電気的破損に弱いため、そういった破損が生じた場合、中のデータはすべて復旧不能になるリスクが高い。HDDは電気的にマザーボードが死んでもディスク自体に書きこまれているデータは復旧できる可能性がある。いずれにしても、必要なデータはGoogleDriveやOneDrive、Dropbox等のクラウドバックアップを使用することをお勧めする。

ChromeBook どうなの問題

 ようやく買うべきPCが見えてきたところで振り出しに戻るようなことを言うが、最近はChromeBook という選択肢もある。今小学校などではこれが主流で、多くの小学生が初めてのコンピュータ体験をこのChromeBook で行っていたりする。

 ChromeBook はその名の通りWeb ブラウザのChrome をベースにしたモバイル端末で、タブレット+キーボードのような形状をしているものとノート型PCのようなものがある。いずれもOSはChromeOSというもので、Chrome がOSのように動いていて、他のアプリケーションはChrome のアドオンのようにして動作する。

 ネットを見てテキスト編集をするという用途だけで考えるとChromeBookでも用が足りるという可能性は十分ある。これで用が足りるなら予算的にはかなり嬉しいだろう。だが一方で、WindowsやMacOSで動作する多くのソフトウェアがChromeBookでは使えない。自分がどうしても使いたいソフトウェアがChromeBookでも動いたり、あるいは似たような別のソフトウェアがあってそれで用が足りるのであれば選択肢に入るだろう。

iPad でもいいんじゃね問題

 こうなってくるとそれならiPad でもいいんじゃない? という疑問がわく。もちろんiPad でも良い。こちらも同じく、MacOS で動くソフトウェアがなんでもiPad で動くわけではないので、よく確認することが重要。自分の使いたいソフトウェアが動くかどうか確認して用が足りるのであればこういったタブレット端末も選択肢に入ってくる。

見た目も大事問題

 さあ必要な要素が見えてきた、いざ買うPCを選定するぞ、となったとき、最後に問題になるのが外見。特に持ち歩いてスタバでドヤるような場合(このところの感染症のアレでスタバドヤリング勢はほとんど見なくなったが)、PCの外観というのはなかなか大事だ。家から一歩も出さない場合でも、ポップでファンシーなお部屋にゴッツくてビッカビカに光る虹色ゲーミングPCみたいなものを置くのはいろいろアレである。

 外見をどの程度重視するかはそれこそ人によるが、ここは譲れない、という場合外見のためにいくらか予算的に頑張る必要が生じたりもする。

いつが買い時か問題

 PCは日進月歩。買ったとたんに新型が発表されたりすると悔しい思いをしたりする。かといって待っているとさらに新しいものが出て、いつまでも買えないといった事態も生じる。

 これについては「欲しいと思ったときが買い時」なのだが、一点だけ、あまり詳しくない人は「新しいOSが出たばかりのとき」は避けた方が良い。直近では今年中にWindows11が登場する。そうなれば各社から一斉に、Windows11プリインストール(最初からインストールされているという意味)PCというのがどっさり出てくるだろう。

 これを、発売直後に買うことは避けた方が良い。新しいOS はたいてい不完全な状態でリリースされ、いろいろと訳の分からない問題を生じることが多い。どんな不具合もだいたいあっという間に対処法が見出されたり、OSのアップデートで対応されたりするが、それを自分のPCに適用して修正していくのはPCに詳しくない人にはおそらく辛い。そこはもう我々のような自ら人柱を買って出る変態が我先にと飛び込んで知見を獲得していくので、そういったものがあれこれ落ち着いてから買った方が良い。または、Windows11が発売される直前ぐらいにWindows10のPCを買うと良い。(Windows10から11へのアップグレードは無料で行うことができる、と既にMicrosoft が発表している)

 ただ、今年は、実は半導体の価格高騰により、あまりPCは買い時ではない。今売られているものは全体的に少々割高だと思った方が良いだろう。でもこの状況がいつ頃解消するのかはわからない。例えば一年待てば適正価格に落ち着いてくる、という場合に一年待ってでも少し安く買いたいか、それともそこまでの一年間の作業を快適にするため、多少高くても今すぐ買うか、という判断になってくる。

 良いPCというのは買えばすぐさま作業効率が上がったり、快適性が上がったりするので、コストを考える場合には今すぐ買うことによって得られるその快適性×買うまでの待ち時間のことも視野に入れたい。

結局どうすればいいのか問題

 まずは誰に相談するにせよ、自分がそのPCで何をするのかを明確にせよ、ということになる。どんな使い方をするのかという部分。加えて、今PCを持っていてそれを買い替えようと考えている人は、今のPCで不満に思っているのがどういうところか、というのもポイントになる。今使っているPCのスペックと不満になっている要素を確認し、新たに買うPCではほかにどんなことをするのかをまとめておけば、ショップで相談する際などに話が早い。

 注意点として、あまり詳しくないという自覚のある人は中古は選ばない方が良い。よく知った人のおさがりを譲り受け、何かあればその人からサポートを受けられる、といった状況なら話は別だが、それでもなるべくは避けた方が良い。以前わたしの友人が別の友人から3万円で譲ってもらったノートPCが不調だと相談してきたことがあり、見たらメモリ不足が原因で新たにメモリを購入して増設した、ということがあった。友人から譲り受ける場合はどういう友人かをきちんと見極めるようにしよう。(金とって売ろうとしている時点でちょっと警戒した方が良いような気はする)

付録

あこがれのappendix。

わたしがこれまで購入したことのあるメーカー。

Compaq(現HP)(デスクトップ1台)
HP(ノート1台)
Dell(ワークステーション1台、デスクトップ1台、ノート6台)
Lenovo(ノート2台)
GALLERIA(ドスパラショップブランド)(デスクトップ1台)
Apple(mac mini 1台、MBP 1台)
Microsoft (Surface Pro4 1台)
自作(5台ほど)

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