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ZOOM M2 MicTrak はマジで「買い」

長めの前書き

Podcast 関連の情報を発信されているPodcast 『電器屋Walker』。

この電器屋Walkerさんが企画された「旅するMicTrakM2」というイベントで、なんと私も参加させてもらうことになりました。

https://www.inst-web.com/home/tmt2

実は前回の「旅するPodtrackP4」のときに、この「旅する〇〇」っていう企画最高に面白いなぁ、と思って見ていたのです。まさか自分が参加させてもらえるような展開になるとは全く思っておらず、単に一ファンとして楽しんでいたのでありました。

電器屋Walker のYoutube 版であるINSTチャンネルもよく見ていて、僕の動画でも登場するZOOMのH3-VRは、INSTチャンネルのレビューを見て購入を決めた、という経緯もありました。

そんな流れからの、今回の「旅するMicTrakM2」へのお誘い。一も二もなく「やります!」とお答えしました。「旅する〇〇」であればなんでも参加したい、というのもありますが、M2はとても興味があるのにどこにも在庫がないという状況が続いていたので、ぜひこれを触ってみたいと思ったのでありました。

届いた

そして5月16日、すでにあちこち旅をしてきたMicTrakM2 がわたしのところに届きました。

ミッションインポッシブルみたいななにか

すごいケース…。ヘビーデューティという言葉が指すのはこれ、という感じのタフさ。本体、標準で付属しているウィンドジャマーとマイクホルダー、おまけとして電器屋Walker のコーヒーさんが好意で入れてくれたというZOOM製の卓上三脚が入っていました。

さらに、この写真のケースにも貼ってある電器屋Walker のシールがたくさん入っていて、「ぜひご笑納ください」と書いてあるではないか!!これでわたしも電器屋Walker。

外観を眺める

じゃじゃーん。

正面

こういうオールインワンカラオケマイクがあったような…

見るからにマイク。この本体に、USBオーディオインターフェース、PCMレコーダ、コンデンサーマイクが詰め込まれている。すごい。持ってみた感じは「ちょっと太めのマイク」という感じ。

とてもシンプルな操作ボタン

正面のボタン配置はこんな感じ。下の部分は見れば大体わかる再生操作。上の段は左端がステレオ/モノラルの変更、右端がローカットの設定で、中央の2つは表示波形のズームに使用するボタン。その他メニュー等は中央の2つで項目の上下を、右端で実行、左端でキャンセルを行う。基本これだけの操作なのであっという間に覚えられる。

側面(向かって左)

左側面の様子

ヘッドフォンとラインアウトは兼用。同じZOOMのH3-VR はヘッドフォン端子とは別にLINE OUTが用意されていて、それがとても良いと感じていたのだけれど、M2についてはカメラにつないで使う、みたいな用途ではないので共用でも問題ないと思う。

USBは最近の製品らしくType-Cが採用されている。電源供給もデータ転送もこの端子から行うのだが、インタフェースとして使用する場合は、データ転送に対応したケーブルを使わないと動作しない。うちにあった適当なケーブルで接続してみたところ、一本インタフェースとして使用できないケーブルがあった。

側面(向かって右)

右側面の様子

右側は電源スイッチ、メニューボタン、microSDカードスロットがある。電源はZOOMでお馴染みの、反対側にスライドするとホールドになるスイッチ。カードはもちろんSDXCまで対応している。音声のみの操作なので最高音質で録音する場合でも、カメラのような高速なカードを用意しなくて大丈夫。

背面

背面には大きめのネジ

背面にあるこのネジを緩めることで、電池ボックスを取り出すことができる。このネジはコインで回すような溝がついているけれど、普通に指でも回せる。むしろコインでぎちぎちに締める必要はないので、手で締まるところまで締めておけば良いと思う。

ネジを緩めるとマイク下部から電池ボックスを引き抜くことができる

電池は単三を2本使用する。アルカリ電池、ニッケル水素電池、リチウム電池が使用でき、メニューで切り替え設定が可能。

電池は三種対応

この電池タイプの設定は、残量表示を正しくするためのものなので、これを切り替えずに別の種類の電池を使用しても特に問題はない。ただ残量表示がおかしくなり、まだもつと思っていたら急に切れた、といったことが起こるかもしれない。使う電池種別をなるべく統一しておくのが良いと思う。

ちなみにわたしは同種のすべての機材で全部パナソニックのニッケル水素電池(EVOLTA)を使用している。

マイク部

わかりにくいがマイクのドームの中はこうなっている

M2の正面を手前にして持ち、その状態で天頂部からネットの中を撮影したのが上の写真。こんな風に、小型のコンデンサーマイクが2つ、向かい合うように入っている。写真上側のマイクで右の音を、下側のマイクで左の音を収録するX-Y方式のステレオマイクになっている。

起動してみる

さっそくスイッチOn。

起動画面はザ・ZOOMの見慣れた画面

この瞬間のワクワクがたまらん。ファームウェアは僕の手元に来た時点では1.2が出ていたけれど、お借りしているものなので今回はアップデートせずにそのまま使う。

左右の音量レベルがリアルタイム表示される

左右の入力レベルメーターがリアルタイムに表示され、録音するとそのまま波形として記録されてく。シンプルかつ必要十分な情報だけが表示されていて、このすっきりしたディスプレイは長年この手のものを作ってきたメーカーらしく、研がれているなぁと感じる。

録音してみた

届いてすぐ、ざっと設定を確認していきなり録音してみた。設定は電器屋Walkerさんの説明書にあった「サンプルレート:48kHz、LoCut:80Hz」の設定にして録音ボタンを押し、適当にしゃべってみた。

同じもののスタエフ版はこちら。

ちょっとやってみた感想。

すっげぇ。32bitFloat での録音に対応している、というのがこのシリーズの売りで、わたしは32bitFloat録音初体験だったのでその部分に大いに期待していたのだけれど、M2は価格が24000円ということもあり、音質的にはそこそこだろうと思っていた。が、想像をはるかに超えて音が良い。特にS/N が明らかに良い。

思ったよりすげぇ、と思いながら思ってることをしゃべくり倒しているので、わたしの感動ぶりは上のPodcast を聞いてもらうと良くわかると思う。とにかく音が良い。

ASMR もやってみた

32bitFloat 録音は圧倒的

このモデルの売りは32bitFloat の録音に対応しているところ。最近各社からこれに対応した録音機材が登場してきていて、対応するインターフェースも出てきた。DAWも対応してきていて、おそらく近い将来、これがデジタル録音の基本になるだろう。その先進的な録音技術について、今のところ市場に機材を出しているメーカーとしてZOOMは世界的に見ても最先端を行っていると思う。最もラインナップが充実しており、さらに低価格帯をたくさん出している。ZOOM製品を通じて32bitFloat 録音が浸透していくことになるだろう。

32bitFloat 録音 というのはなんなのか。いろいろな解説記事もあるが、ここではとにかくその製品をたくさん出しているZOOMのサイトにある説明を紹介する。

…。なぜかこのページ、英語版しかない。

まぁかんたんに言うと、録音レベルを調整しないまま録音しても、レベルが高すぎて音割れしたり、レベルが低すぎてS/Nが悪化したりすることがない、というもの。そもそも32bitFloat 録音には録音レベルの調整自体がない。このM2 は32bitFloat 録音専用機なので入力レベル調整は必要なく、設定項目自体がない。当然ながら、24bit 機(例えばH3-VRとか)にはついているピークリミッター等もついていない。そういうものが必要ない、というのが32bitFloat録音のすごさである。

これについて事前にちょっと学び、だいたいこういう感じだろうと予想していたところにM2が届いて実際に触ってみることになったのだが、わたしが思っていたよりもはるかに、この「レベル調整が必要ない」ことによる恩恵は巨大だった。

わたしはこれまで、だいたいのコンテンツを24bit 48kHz で録音して制作してきた。特にわたしのメインコンテンツはASMRであるため、S/N の改善が非常に重要だ。より良好なS/Nで録音を行うためにマイクを選定し、機材を選定し、録音レベルの調整とポスト処理をセットであれこれ試し、よりよい状態を模索しながら録音をしてきた。

それが一切いらなくなる。M2で何も考えずにただ録音ボタンを押し、録音できたものをそのまま32bitFloatに設定したCUBASEのプロジェクトに持ち込んでみた。

インポートしただけで適切なレベルになった

録音されたものをCUBASEのトラックへインポートしただけで、適切と思われる音量になった。プロジェクト側も32bitFloat にすることで、音声の状態を自動的に判別して適正音量にしてくれるようだ。

普段24bitでの制作では、波形がこんな見た目になるまでにいくつかのプロセスを踏んでいる。グラウンドノイズがなるべく入らないレベルで録音し、わずかに残ったノイズをリダクションしたうえで音量を持ち上げる。32bitFloat のワークフローではそういう操作が必要ない。拍子抜けするほどあっけない。

あまりにもびっくりした。これは欲しい。M2も相当魅力的だが、普通のコンデンサーマイクを使用して32bitFloat 録音ができる機材が欲しい。そういうものがあれば、わたしのASMRコンテンツ制作は格段に効率化されると同時にクオリティも上がるだろう。

かなり個人的な話になるが、今回M2をお借りしたことの一番の収穫は、32bitFloat 録音の持つ革命的なパワーを体感できたこと。一気に録音機材の核を入れ替えるところまで話が展開した。

M2の楽しさ

M2のだいたいの所感は以上のような感じだが、わたしはこのマイクがとても気に入ってしまい、届いてから毎日これで遊んでいる。

iPhoneのUSBマイクとして

例えば、前述の録音では本体の32bitFloat 録音を堪能したわけだが、次はiPhone にUSBで接続し、直接iPhone に録音するという方法での収録もやってみた。

この中で、「さすがに本体で録音するよりは音質が落ちるだろう」というような見解を話しているけれど、実際のところスタエフアプリでの自動補正を通るとほとんど変わらない音になっている気がする。きわめて手軽に高音質が録音できる。

他のUSBステレオマイクとの比較

見まわしてみるとうちにはこの種のUSB接続でステレオマイクとして使えるマイクとかレコーダの類がいろいろあったので、その辺にあったものたちとM2を比較するものも収録してみた。

同じもののスタエフ版はこちら。

ASMR でも比較

屋外での録音を想定したウィンドジャマーテスト

さらに、M2には標準で簡易的なウィンドジャマーが付属しているので、その性能はいかほどか、他のウィンドジャマーとも比較しながらテストしてみた。

同じもののスタエフ版はこちら。

これまた、ウィンドジャマーの見かけからその性能を見くびっていた。思ったよりもはるかに性能が良く、上の録音でも話しているが、「これだけでいいんじゃね?」という感想。すごい。

追記 さらなるコンテンツ

Podcast 収録でダイナミックマイク(TASCAM TM-82)と比較してみました。

同じもののスタエフ版

M2の音は序盤だけですがダイナミックマイクと比較してもノイズが少なくてPodcast とかゲーム配信用途でも力を発揮しそうな手応えですね。

さらに追加

そして5月26日、滞在期間が終了したM2は次のPodcaster さんのところへと旅立っていきました。Farewell!
別れを惜しんで、前夜にM2で最後の収録をしました。

同じもののスタエフ版

ありがとうM2。ありがとうコーヒーさん。ありがとう電器屋Walker。あっという間の二週間でした。

まとめ

そんなわけで、#旅するMicTrakM2。M2の総合的な感想は、

良い点

  • そもそも音が良い

  • 32bitFloat録音がヤバいほど強力

  • 操作がシンプル

  • USBマイクとしても優秀

  • 付属のウィンドジャマーで十分な効果が得られる

  • コスパ良すぎ(実売2.4万円程度。性能からすると安すぎ)

悪い点

  • 本体表面が光沢仕上げなので指紋で汚れやすい(他のPCMレコーダ等と同じような仕上げじゃダメだったのか?)

  • マイクドームのメッシュが荒いので風被り(吹かれ)が発生しやすい(通常のハンドヘルドマイクみたいなメッシュではダメだったのか?)

  • 入手困難(なかなか在庫してる店がない上にメーカー在庫もないので買えない)

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