[映画]ラ・ジュテ


 今夜のU-NEXTは『ラ・ジュテ』。1962年の作品。

 わたしの好きな映画監督が、よくこの作品の名前を挙げる。影響を受けた作品として。だからずっと気になっていたのだけれど、これまで見る機会が無かった。そしたらなんとU-NEXTにあったので、念願かなってようやく見ることができた。

 この作品、わずか28分しかなく、本編はほとんどがスチル写真のスライドショーにナレーションがついている、というスタイル。わずかに1カット、動画として撮影されているカットがある以外はぜんぶスライドショーなのだ。

 スチル写真という、いわば時間の流れを止めて瞬間を切り取ったものを並べ、再び時間を生み出していく。時間が生まれることで写真は映画になる。さらに、この作品は扱っているテーマも「時間」だ。もともと舞台設定が制作当時から見た近未来であり、そこに過去から現在を経て未来へと続く流れと、現在から過去を思い出す回想、さらには時間移動によって過去や未来へ移動したり、移動したときの記憶を後で振り返ったりといったさまざまな要素が配置されていく。あらゆる点で時間というものを考えさせられる作品なのだ。

 見ていて割と序盤のほうで、「あれ、これ何かに似ているな」と感じた。そっくりの話を見たことがある。途中で気づいた。「12モンキーズ」だ。「12モンキーズ」の核になっているタイムパラドクスのアイデアは、この「ラ・ジュテ」とまったく同じなのだ。驚いて軽く調べてみたところ、もともと「12モンキーズ」という作品はこの「ラ・ジュテ」に着想を得て作られたものだそうだ。そうだったのか。しらなかったよ。

 「12モンキーズ」のテリー・ギリアム監督もわたしの好きな監督の一人で、彼もまたこの作品に並みならぬ影響を受けていたのであった。

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