お財布かえたいやい

もうこのお財布、何ねん使ってんだろ…色あせてやんの。原宿の竹下通りからほんのちょっとスッと入った場所にある雑貨やさんに、可愛いバッグとかお洋服とかお財布がいっぱいあって、そこで決めかねて一回別の店をぐるぐるしてから再度訪れて、これ!って買った財布。

ごついです。ピンクです。

この財布には思い入れがあるんだ。毎年わたくし恒例鈍行の旅をしてる時の話。その日は津軽線で終点三厩まで行って戻ってひとまず青森に泊まってまた移動…っていう旅程だったんだけど、三厩に何時だったかな、16時くらいだった気がするな、着いてからスタンプ押して駅舎の写真撮って、おひとり様ひとつまでの貝殻をいただいて、最後トイレに寄って、同電車で引き返したんだよね。

そんで、どこだったかで特急に乗り換えて、蟹田駅に着くくらいの時に「財布がない!」って気づいて一気に血の気が引いたよね。どこだどこだ記憶来いやと考えて、ぴかーん。

「あっ。そいや三厩駅でトイレに入った時にボードみたいな上に置いたっけ…?置いたじゃん!」

やばいどうしよう。まず三厩に戻る電車がない。戻っても青森に宿とってるのにダメじゃないか。ああ…野宿か?この乙女が野宿?

ひとまずすぐに三厩駅に電話したよ。誰かいてくれって願って。ほしたら駅長さんが出てくれた。

「すいません、さっき三厩駅に行った時に財布をトイレに置いたままにしちゃった気がするんですけど…ピンクの長財布で…ありますか?」

探してくれた。あっありましたよ!でもどうしましょうか、青森なら電車もないですよね…と一生懸命考えてくれてもうそれだけで有難くて泣きそうだった。

「じゃあ私が勤務終わったら青森まで行きますよ。2時間くらいかかるかもしれませんがいいですか?」

なんて天使なんだ。私はお礼を言って青森駅まで電車でつーっと行っちゃって、改札出た椅子に座ってひたすら待った。途中、青森駅の改札の人が心配してくれた。風邪ひかないようにね、とも言ってくれた。

じっと待って、あったかい飲み物も飲んだりしつつ、気づけば22時。三厩駅の駅長さんが来てくれた。はじめましてな筈なのに、改札外にひとりっぽっちだからすぐわかったのか、颯爽と財布片手に目の前に来て、「やー良かった!待ったでしょうごめんね」と言って、私がお礼を言って頭を下げてるうちに相手の名前も聞けずにささーっと行ってしまった…

名前を聞けなかった私の不覚。それだけ心残り。人の優しさを受けた大事な財布なんで、次の代の財布を買っても捨てることはないだろうな。