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WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第37話 シーン1 ネーム&3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクと双鉄の父の日」

はや6月も最終日です。

と、いうことは7月1日まで開催の

『レヱル・ロマネスクの聖地、人吉を盛り上げたい!イベント開催応援プロジェクト!』

も、あと1日ちょいで終了となってしまいます。

みなさまのご支援のおかげさまで、2024/06/30 20:16時点で

達成率は862.0%を、
ご支援総額は18,620,000円を、すでにゆうゆう突破しております。

こうなると1000%、20,000,000円を突破できるか――も、気になってくるところでございます。

ともあれ、ご支援ご検討中の方がいらっしゃいましたら、
タイムアップでのご支援しそこない――ということの無きという、くれぐれもお気をつけくださいましです。

ということで、今回からはWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム&字コンテの方、
第37話「リスクマネジメント」を、1シーンずつ更新・公開してまいります。

今回はシーン1でございますね


新観光列車「くまがわくるん」を満喫する宝生元忠。
その乗車理由は果たしていかなるものなのか――どうぞご期待たまわれましたら幸いです。

で、短いお話の方は、今回は「父」をテーマに書いてみたいと思います。

タイトルは「ハチロクと双鉄の父の日」

どなたにも無償でお楽しみいただけるお話となりますので、よろしければどうぞご笑覧ください。

■ハチロク■

御一夜鉄道8620専用レイルロオド。
旧所属は日ノ本帝有鉄道。
全687両製造された8620形のトップナンバー・レイルロオドであることを大変誇りに思っている。

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『ハチロクと双鉄の父の日』


「6月も間もなく終わりますね」

「だなぁ」

「凪がぼやいておりましたが」

「うむ?」

「6月は祝日がない月なので、学園生にはことほど厳しい月なのだとか」

「ああ――言われてみると確かにな」

今の僕にとってカレンダー上の祝日は、
『観光列車の乗務が増える可能性を有する日』という程度の意味しかない。

が――

「学園生の時分には……うん、6月はしんどい月であったなぁ」

「しんどい、ですか? 双鉄さまが?」

「休みは少なく、雨は多く、蒸し暑く。その上さらに――」

「その上さらに?」

言い淀んだところに質問を乗せられてしまう。
ならばつらりと言ってしまおう。

「父の日もあるからな、6月には」

「あ――」

「母の日もそうだったのだが、僕を気にして真闇姉も日々姫も、
祝うのをはばかる空気が感じられてしまってな――
それがなかなか……こどもごころにはしんどくあった」

「そう――なのですか」

「ので、自分から率先して義父・義母にお祝いを述べプレゼントを送るようにした。
そうできるようになってからは……うん、6月の憂鬱はいつの間に消え失せてしまったように思うよ」

「その瞬間があるいは――双鉄さまが学園生から大人になられたとき、だったのかもしれませぬね」

「大人、か――」

正直いまだに、まるきり成れている気がしない。
が、それは甘えというものだろう。

「――かもしれぬな。少なくとも大人であろう、大人になろうという一歩を踏み出した瞬間なのかも」

「大変ご立派でございます」

「ハチロクはどうなのだ?」

真正面から真顔で褒められ、いささか面映ゆく話題をそらす。

「どう? とおっしゃられますと?」

「6月に関してだ。厳しさやらしんどさやらを、まるで感じぬ月であるのか?」

「左様ですね。特に感じるなにかなど――ああ、いえ」

「なにかあるのか?」

「父の日だけは、ほんの少し。切ないような気持ちになります」

「ほう。ハチロクにとっての父は、確か――」

「わたくしたち8620形姉妹のお父様は、芝高次郎技官です」

「だよな。以前に聞いたことがある」

日ノ本初の大量生産旅客形蒸気機関車と貨物形蒸気機関車――
8620形と9600形の設計に深く関与した、天才技官の名を恣にした方だ。

「鉄路を無事故で走り続けることこそが、お父様への何よりのご恩返しとそう教わってまいりましたので――」

「……」

「わたくしはそれを果たせず。どころか長い眠りについて、眠りについてるその間にお父様を失ってしまって……」

だから、父の日に切なくなる。
なにひとつ恩返しさえできぬまま、父に旅立たれてしまったがゆえ――

僕も同じだ。
ゆえ、言葉にせずにはいられなくなる。

「恩ならば、いまからでも返せるではないか」

「え?」

「同じ夢を描いたのだろう? 幼き日の僕と、路子と――お前の父、芝高次郎技官とは」

「あ!」

「弾丸列車――超特急列車」

言葉にすれば思い出す。
幼き日の僕と路子に、その夢の雛形を与えてくれたのは――僕の実父であったことを。

「親の夢を子が形にする。それも確かな恩返しのひとつだろうさ」

「ああ――左様ですね、双鉄さま。わたくしは、いまからでも、きっと」

「わたくしたち、だ。僕にとってもそれは父への恩返しとなる」

「でしたら、双鉄さま」

「ああ、共に目指していこう」

……既に目指していることだ。
やることはまるで変わらない。

が――

「来年からは父の日を、別の気持ちで過ごせそうです」

「だな」

決意を、今一度固め直す日。
その日を6月に迎えるのなら――

「来年からは6月を、晴れ晴れと迎えられそうだ」

;おしまい

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いかがでしょうか?

こういうお話のときにはあれこれ書くの、ちょっと野暮かもしれませんね。

そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』。の過去話。

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それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

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