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3分で読めるレイルロオドのお話「不死鳥博士のアイディア教室」&アイディアの出し方

前回の更新で、WEBTOON 作品『レヱル・ロマネスク0』の第13話
「協賛者集め」のネームを一挙公開いたしました。

次回更新からは第14話のネームを公開していくのですが、
その間に一回、作劇Howto的な記事を挟むのがいままでの更新パターンですので、今回もそのようにいたしたく思います。

のですが。
本日わたくしプライベートで、
「母親が救急搬送される」というアクシデントにぶちあたってしまいました。

幸いなことに母の命には別状がなく

「元々の持病である肝硬変の悪化で足が炎症を起こしものすごい血膿がたまってしまった」
もしくは
「足が炎症を起こしてものすごい血膿をためてしまった負荷により、肝硬変も悪化した」

の、どちらかのニワトリタマゴで――

まぁ、肝硬変と足の炎症が良化するまでの入院。ということになり。

母が入院してしまうと在宅介護中で、脳梗塞の影響で80歳になってからほぼ全盲になった父が家で一人になる時間が生じてしまい。
それはあまりに危険なので、母の入院期間中一時預かりをしてもらえる施設を探すことになり――

まぁ、かなりばたばたしてしまい。

「作劇Howto、何を書けばいいのか」を落ち着いて考えるのが難しい状況に陥ってしましました。

つまり 「何を書けばいいのかのアイディアに困っている」わけです。

そこで本日は「アイディアの出し方」について、書いてまいりたく存じます。

1:『アイディアに困っている状況をそのまま題材にしてしまう』

――今回のパターンがそれです。
マンガ家マンガで「締切が迫っているのに何も書けてない!」というお話も、同じです。
そうすることが許されるのであれば「アイディアに困っている状況を題材にする」は、
アイディア切れに対する一つの緊急避難方法として、確立されているものであるといえましょう。

2:『アイディアの断片を書き出していく』

――アイディアの断片=キーワードですね。
例えば「レヱル・ロマネスク」の第13話であれば

・レイルロオドアイコンを活用しての協賛者探し
・蓑笠鍛冶店= 包丁
・クマ川下り= ?
・凪、ふかみ、それぞれによるアイディア出し

みたいに、お話の見えてるとこ、見えてないとこを箇条書きにしていく。

箇条書きにしたら、それらの順番を並べ替えてみたり。

あるいは、各項目を

・クマ川下り=?

→船、櫓、櫂、ライフジャケット、座布団、屋根、発船場、着船場、クレーン、トラック
→具体的な航路を設定する

r……的に、更に掘り下げていったりして。

そういうあれやこれやをしていると、

「航路上で鉄道路線と絡めるイベントを起こし、体験型の協賛としよう!」

とか

「船頭さんのハッピや、観光客が購入する編笠をキャラクターアイテムとして協賛にしよう!」

とか、具体的なアイディアが見えてくるという寸法です。

今回の私であれば

・親の介護

・肝硬変

・脳梗塞からの視力喪失

・身体障害者手帳取得のためにどんな手続が必要か

・社会的入院とはなにか

――みたいなキーワードもございますので。
それらを組み合わせたり掘り下げていくことでもまた、なにか別のアプローチを思いつけるのかなとも思います。

「肝硬変と足の炎症のニワトリタマゴの話をマクラにして、ストーリーラインとキャラクター、どちらを先に設定すべきか」
的な作劇HowToも、まぁ余裕があれば書けたかもですね、とかそんな感じです。

3:『人に聞く』

――「お話の作り方で、何か知りたいことありませんか?」
と、twitter等で直接聞いてしまう、というのも、わたくしがよく使う手段です。

これを例えば「レヱル・ロマネスク」の第13話でやるのなら

「クマ川くだりと鉄道のコラボ。どんな商品や体験がほしいですか?」と聞いてしまうわけです。

で、いただいた答えの中で「これはいける!」と思うものがあったら、

そこ=答え から 「どうやってその答えにたどり着いたか=解法」を逆算していきます。

「物語におけるアイディアとは、書き手やキャラクターが解決すべき問題」であるともいえましょうので、
答えと解法があれば、問題=アイディアは、逆算で整えていけるのです。

4:『ネットで類例を探す』

3と同じく「答え」を探す方法です。
見つけた答えを「別の解法」で導き出せば、そこには別の物語、別のエピソードが生まれます。
解法や問題までマネてしまうと、それは単なる「パクリ」となりますんので、
上記「3」の例でいうとこの「答え」だけを漁っていくのが、
比較的安全で誠実なアイディア探しの方法ではないかと思います。

5:『寝る』

お風呂はいる、車の運転する、コンビニに行く――等、
なんでもいいので「一時的にアイディア出しから頭を離してしまう」のも、
ひとつの優れた方法ではないかと思います。

「諦めた、寝よう」と思って布団に入って目を閉じて「あ」とアイディアを思いつく的なことも、稀にはあります。

「アイディアが出ない」 ≒ 「視点や思考法が固まってしまって、同じ場所ばかりを採掘してしまっている」

という感じもあるのではないかと存じますので、何らかの方法で
「強制的に視野を引き剥がして、時間を置いて別のとこから見れるようになるまで頭と目を休める」のは、
余裕があるときにはわたくし、積極的に試すことでもあります。

……この方法の危険なとこは「そのまま寝落ちる」が比較的発生しやすいとこでもあるのですけど。

――と、思いつくまま書いてみましたが、多分、わたくしが普段やってる
「アイディアの出し方」はこんなところでございます。

何か少しでも反面教師になったりお役にたったりする部分がございましたら幸いです。

と、いうことで本日は短いお話も「アイディアの出し方」をテーマにしたいと思います。

登場するレイルロオドは、すずしろとひよこ(不死鳥博士)
*このレイルロオドのチョイスは「3:人に聞く」の実践で行われたものです

タイトルは 『不死鳥博士のアイディア教室』でございます。

どなたにも無料でお読みいただけるものとなりますので、よろしければどうぞご笑覧ください。

■すずしろ■

万岡鉄道C12 67専用レイルロオド。
女優レイルロオドとしても名高い、大人気レイルロオド。
そのため、不慣れな仕事に取り組むことになるケースも多い。

■ひよこ (不死鳥博士)■


旧帝鉄C57 145専用レイルロオド。
不死鳥博士の異名を誇る、レイルロオド界きってのレイルロオド研究者。
そのため、ありとあらゆる種類の相談事をもちこまれがち。

■「不死鳥博士のアイディア教室」■

(あらすじ)

コラボ化粧品のアイディア出しに四苦八苦するすずしろ。
四苦八苦するそのあまり、
全検があけるやいなやで、不死鳥博士に相談をもちかけてしまいます。

///

「ふぅむ。前回の全検時よりむしろ数値が良化している。
であるというのに――」

女優レイルロオドと名高くとも、そのルックスに老化がなくとも、
すずしろ氏も老朽機。

整備・交換が頻繁であるというのみならず、稼働状況等の面でも、
おそらく良好な環境下にあるのだろうと類推できるのですが。

「――なぜそれほどに悩ましげな顔をされてるのですかな?」

「聞いてください不死鳥博士!」

待ってましたといわんばかりの長広舌。
ああ、これは――質問を誘導されてしまいましたか。

「……なるほど。コラボ化粧品」

「そりゃ、知識としては知ってますよ?
人間の女優さんたちがメイクされてるのもよく見ますし。
けどすずしろにとっての”メイク”は――」

「演技のための要素の一つにすぎない……ですかな?
なるほど、人間にとってのメイク――外観の印象の高評価化、
という視点はなかなか、レイルロオドにとっては
共感しがたい欲求であるのかもしれませんなぁ」

「ですです! だからすずしろ、
コラボメイク商品のアイディア出し、
なにかヒントを不死鳥博士に貰えないかと思いまして」

「ふぅむ。とはいえこの不死鳥博士もメイクとは無関係!
ので――そうですな、『無関係』を利用するアイディアメイク
テクニックを、今回は用いてみるとしましょうか」

「それってどんな?」

「すずしろ氏。そうですな――
次のオフ、どこか一箇所、どこにでもいけるとしたら、
果たしてどこにいってみたいと思いますかな?」

「え? え? えーーと――グリウッド?」

「なるほどなるほど。では、すずしろ氏的に、
グリウッドとはいかなり特徴をもった都市であるかを
3つ、思いつくままあげてみてください」

「え? え? ええ? グリウッドは――
『映画の都』

『有名人がたくさんいる』

『雨がふらない』
――って感じです」

「ほう? 雨がふらないとは知りませんでした」

「映画の誕生したばっかりのころって、今ほど照明技術がなかったから、
自然光で撮ることが多かったんだそうです。
で、雨があんまり降らない……降ってもすぐにあがって乾いて、気候が安定してるところ探して、
グリウッドにたどり着いた……って、すずしろ聞いたことがあって」

「ほうほう」

「って、そんなことより! アイディア出しの方を」

「まさにいま、我々は実践中ですが?」

「へ?」

「すずしろ氏的『グリウッドの特徴』を、
今度は『化粧品の特徴』に置き換えてみてください」

「ええと――
『映画の都で大人気の化粧品』
『有名人にたくさん使われている化粧品』
『雨が降っても平気な化粧品』――あ! ああああ!」

「ですな。最初の2つは虚偽となってしまいますが、
最後のものはコラボ化粧品のアイディアのひとつとできましょう」

「すごい!? え? 全然関係ないことすずしろ考えてたのに――」

「関係ないもののの特徴をピックアップし、
これをターゲットに当てはめてアイディアのソースとする。
これぞ! 『エクスカーション法』というアイディアメイキングメソッドなのです!!」

「さすがすぎです! 不死鳥博士!!!!」

「いやいやさすがというならすずしろ氏こそ」

まったく、うまく乗せられてしまいました。

「役者ですなぁ!」

;おしまい

///

いかがでしょうか?
さまざまなアイディア法を駆使してより面白く作っていきたいWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク』0。

どなたにも無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。

よろしければどうぞ、あわせご笑覧ください。

(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)

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『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ『御一夜鉄道サポーターズクラブ』

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『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。

どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。

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