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3分で読めるレイルロオドのお話「みくろとヤギとハチロクと」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第26話ネーム&字コンテ(全)

本日、レヱル・ロマネスク0改め、WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』の第6話がリリースされました。

凪さま登場! の前にお風呂シーンがございまして、大体こんな感じです。


で、わたくしはXで、内容の一部紹介をやっているのでございますが――

――今回のサムネイル、誰にするか、大変なやましうございました。

ポーレット: 問答無用でセンシティブ判定されてしまうかも
ハチロク : 年齢が低い人間だと誤認されると危険かも

……ということで日々姫ちゃんにしてみたのですが、いかがでしょうか?

もし有識者の方がいらっしゃいましたら
「このカットをサムネイルにするとよりよかったのでは?」
的なご教示いただけましたらとても幸いに存じます。

そんなこんなな『レヱル・ロマネスク0』
このnoteでのネーム掲載も順調に進んでおりまして、
本日は第26話「観光列車のつくりかた」の全ネーム&字コンテを公開させていただきます


新観光列車をどのようなものにしていくのかを検討するためポーレットと視察にでかけた双鉄。
ふたりが最初に赴いた場所は、「ヤギのいるクマ川」だった――
って感じのお話でございます。
よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

ってなことですので、本日の短いお話は「ヤギ」をテーマに書いてみたいと思います。

登場するレイルロオドは、動物といえばこのこ、なみくろと、ハチロクで参りたいかと存じます。

どなたにも無償でお読みいただけるお話となりますので、どうぞご笑覧いただけますと幸いです。

■みくろ■


旧帝鉄8620形38696専用レイルロオド。
38696の静態保存場所が雄武田市動物園な関係で、
いまは動物園職員(飼育員)として稼働している。

■ハチロク■


御一夜鉄道8620専用レイルロオド。
8つ下の妹であるみくろを大変かわいく思っており、
比較的ちょくちょく会う。

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『みくろとヤギとハチロクと』

「まぁまぁまぁ、わざわざ雄武田から御一夜まで」

「このこたちにもいままでで一番の長旅でしたけど、とってもいいこにしてました」

みくろの声に応えるように、白と黒、一対のヤギがめぇめぇ鳴きます。

「うふふ、まるでみくろの言葉を理解しているようですね」

「ある程度は理解してくれてるのかもって、みくろ思ってます。ヤギって結構かしこいんですよ」

まためぇめぇ。あまりのタイミングのよさに、説得力を感じさせられてしまいます。

「例えば――犬とかそのくらい?」

「犬みたいに、『おすわり』とか『お手』とか、言葉でいうことを聞かせるレベルは多分むりなんですけど――
おねえさま。少ししゃがんで、くろこちゃんと目をあわせてみてくれませんか?」

「くろこちゃんというのは黒山羊さんですよね?
ええと、目の高さ――まぁ!」

目と目があった瞬間に、黒子さんがわたくしの方にずいずい近づいてまいります。

「みくろ、これは」

「手の甲で、くろこさんのほっぺを撫でてあげてください」

「……手の甲で――こう――ひゃっ!?」

撫でてくれたお返しに
――そんな感じで、くろこさんがぺろぺろわたくしの手を舐めます。

「ね? ご挨拶くらいのコミュニケーションは余裕なんです、ヤギってば」

「挨拶……ああ、いまのが挨拶なのですね」

わたくしが手で撫でたのは、くろこさんてきには恐らく、舐められる――毛づくろいされるとおなじ感覚なのでしょう。
だから丁寧に、わたくしの手を舌でつくろい返してくれた……。

「かしこくかわいいものですね」

本心から漏れた言葉に、”ああそうでした”と思い出します。

「でなければ、除草のためのヤギレンタルなどというお仕事、きっと成立しないのでしょうけれど」

「です、おねえさま。草を食べる能力だけならヤギより高い動物も多いんですけど。
ヤギくらいかしこくて人懐こくて環境変化につよくて逃げない動物は、他にほとんどいないんですよ」

「そうなのですね」

いまみくろがあげた特徴が全て真なら、なるほど、
約束の地域の雑草を食べ尽くすまでのヤギレンタルが、人気商売になるのも道理といえましょう。

「それで実際、ヤギたちはどのように扱えば」

「草を食べてほしいところに連れて行って、杭を打ってそこに紐で繋いで、夜になったら連れ帰るだけで大丈夫ですよ」

「そんなに簡単なのですか?」

「はい、おねえさま。だって、立ち話してたこの間にも、ほら」

「!!!?」

みくろが紐をもっていたヤギ――しろちゃん。
その周りに生えていた雑草が、綺麗さっぱり食べ尽くされています。

「いまの季節ならお水も朝と夜に二回、満足するまでのませえればそれで大丈夫ですし、本当に何の手間もかからない――あ」

ヤギのお尻からぽろぽろぽろ、小さな黒が落ちていきます。

「あははっ……もちろん糞はしちゃうんですけど、放っておけば肥料になりますし、回収すれば燃料にもなっちゃいますから」

「燃料?」

「はい。元々が草ですから、乾燥させるとよく燃える燃料になるんです。
平たく潰してから整形して乾燥させれば、持ち運びにいい固形燃料にできちゃうんですよ」

「燃料……」

「あ! やめといたほうがいいですよ?」

「!!!?」

いえいえいえ、わたくし全然、一ミリ秒とてそのようなこと考えもいたしませんでしたが――

「やめといたほうがいい、というのは?」

「やっぱり不完全燃焼しちゃうんですよ」

「って!? みくろ、あなた試したのですか!?」

いくら動物好きといえども、
いくらわたくしの妹――大食らいの8620形レイルロオドといえども、
いくらなんでもそこまでは。

けれどみくろは、照れくさそうに、ペロッと舌先を覗かせます。

「……休車直前の38696に、ちょっとだけ」

「あーびっくりした! 38696!
よかった! そっちだったのですね!!」

;おしまい

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ちなみにヤギ糞はガチで燃料として有能らしく(燃焼効率に比して軽いため)
中央アジアあたりでは山行のお供にされてたりもするらしいです。

そんなこんななWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク』0の過去話


どなたにも無償でご確認いただける0~7話はこちらで
https://note.com/railroma/m/m6a3d8a98bd00

それ以降のまとめはメンバーシップ特典で
https://note.com/railroma/m/m71dc746ee336

それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

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