3分で読めるレイルロオドのお話「赤井のツテ、双鉄のツテ」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第14話シーン1ネーム&字コンテ公開
さて、本日からは『レヱル・ロマネスク0』のネーム更新再開です。
第13話「協賛者探し」
に続きましての第14話は「8620復活準備展示会」
そのシーン1のネームがこちらとなります。
久々にポーレットが前面に出てきておりますね。
というか、いまのとこポーレットはヒロイン力が低めな感じに終始しておりますので、
どこかのタイミングでどどん! と、ヒロイン力を全開させてあげたいなぁ、とも思っております。
そのタイミングがいつなのかはわたくし自身にもまだわかりませんが、なるたけ早めに持って来たくはございます。
で。今回のネームの引きの部分が「ツテ」に関する話題となります。
ツテとは「伝手」。
なにかと繋がる、その手がかり、というほどの意味の言葉です。
ツテの語源は「つたう」であるとの説もございますので、
双鉄はなにかの手がかりをつたって、たくさんの協賛者と巡り合ったわけでございますね。
そのツテがいかなるものかについては、次回更新をお待ちいただけますと幸いです。
と、いうことで本日の短いお話は「ツテ」をテーマにしてみたいと思います。
登場するレイルロオドは、ハチロク、ニイロク。
双鉄と彼女らが繰り広げるお話は「赤井のツテ、双鉄のツテ」でございます。
どなたにも無料でお読みいただけるコンテンツとなりますので、
よろしければどうぞ、ご笑覧いただけますと幸いです。
■ハチロク■
旧帝鉄8620形蒸気機関車トップナンバー機8620専用レイルロオド。
品行方正な日ノ本撫子であり、職務に忠実。
マスターである右田双鉄に深い敬意を抱いている。
■ニイロク■
旧帝鉄クハ26 000試験編成専用レイルロオド。
全線電化での復活にかけた帝鉄最後の希望の星であり、それにふさわしい高性能を誇っている。
マスターである赤井清春とは相思相愛。
■「赤井のツテ、双鉄のツテ」■
(あらすじ)
なんのツテもない粉蔵区で試験運転士にまで上り詰めた赤井。
それがいかに凄まじい業績なのかを聞かされた双鉄は、
ふっと我が身をふりかえります。
///
「御一夜区でじゃない。粉蔵区で、だから」
「確かに……まことに左様でござますね」
ハチロクの同意を得、
ようやく満足したとでも言うように、ニイロクがレールショップを後にする。
話をなんとなく聞いてはいたが、ニュアンス部分がわからぬゆえに、そこを素直に質問してみる。
「それほどすごいことなのか?
赤井宮司が、何のツテもない粉蔵区で電車試験運転士になった、ということは」
「……左様ですね。わたくしが存じておりますのは、帝鉄華やかなりしころの、
帝央区でのお話ですけれど――」
「……なんと、それほどまでに旧帝鉄は狭き門だったのか」
「はい。なんといっても公社でございましたし、
本社と支社では採用体系もまるで異なりました。
が、そのいずれでも、『職員募集』などというものはかけられた試しがなかったのです」
「なんと!? 募集せずにどうやって職員を集めるのだ?」
「何らかのツテを持っていないものは、採用試験を受けることさえできなかったのです」
「つまりは……紹介が必要という形か?」
「左様です。職員やOBといったツテが最も多いかと思われましたが、近隣の学園の校長の推薦――といったツテもございました。
また、なんのツテも持たずに帝鉄勤務を志す者は、正和や石倉といった鉄道学園へ進学することでツテを得るものとも聞きました」
「ふぅむ、一般公募的なものがなかったのか」
「正和や石倉への進学が困難な地方でツテを持たず。それでも鉄道職に従事したいという者は、
最寄り駅の駅長等に懇願し、庫内手や保線係、清掃係の見習いから成り上がる他になかったそうです」
「ああ……そういうアルバイト的なものなら、駅長等の権限で採用できるのか?」
「左様ですね。そうして実績と経験を重ね、採用試験の情報を得て、ようやく採用試験に臨める。
そこまでした上で地方局での職員になるための競争率は、低いときで十数倍、多いときでは百倍近くにまで至った、と」
「狭き門――などという言葉ではとても足りぬな。
門であればそもそも、人を通過されるためのものであろうし」
「ですね。『開かずの踏切』――そうと例えた機関士さんを、わたくし記憶しております」
「言い得て妙――だったのであろうな」
僕の知る帝鉄は末期も末期。
踏切遮断機などは、下りていることの方がが珍しかったが。
「赤井宮司――いや、赤井運転士はその開かずの踏切りをくぐり抜け、
最終的には特急形電車の試験運転士にまで登りつめた――か」
御一夜区であれば神職のご子息。
ツテはいくらでも辿れただろう。
けれど縁もゆかりもない、しかも激戦区であろう粉蔵区で……か。
「想像以上に凄まじい方だったのだな、赤井運転士は」
「はい。大げさではなく偉業であるかと存じます」
「偉業か――確かにな」
感嘆すれば、我が身を振り返らされてしまう。
「比べて僕は……」
ハチロクと8620を引っ張ってきたのは汰斗さんだし。
汰斗さんが遺してくれたハチロクを起動させたのも偶然だ。
ハチロクと8620を観光復権――
そこからのエアクラ工場撤回に活用できる、
という道筋をみせてくれたのもポーレットだったし……。
「――ツテだけで、鉄道業に携わったようなものだな」
「それもまた偉業であるかと、わたくしは」
「ふむ?」
「だってわたくし、真闇様から聞いております。
御一夜に来られたころの双鉄様は――」
「ああ」
言いづらそうな表情に、そうだったなと思い出す。
汰斗さんに引き取られ、右田家の一員とさせられたばかりのあの頃は――
(僕にはなんのツテもなく、どころかそうした全てを拒んで、拳を握りしめていたっけ……)
その手を、日々姫が、真闇姉が、少しずつ少しずつ緩めてくれた。
緩んだ手だからハチロクと手を結び会えたし、
その手が更にポーレットと、その先のレールとも繋がった。
「ああ、そうか」
ツテは、伝手。
繋ぎあった手と手だけにしか、伝えられないものだから――
「確かに偉業だ。僕にとっては」
;おしまい
///
いかがでしょうか?
双鉄の伝手をどんどんどんどん伸ばしていきたいWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク』0。
どなたにも無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。
よろしければどうぞ、あわせご笑覧ください。
(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)
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