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3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクと書庫」&WEBTOON作品 レヱル・ロマネスク0 第30話「体験! レストラン列車」シーン1ネーム&字コンテ

更新、間があいてしまいました。
まこと申し訳ございません。

わたくしもnote定期的に更新したいのですが、
ジャスト今、やってもやっても終わらない感のあるボリュームのなにごとかと
取組中でございまして、結果、間があいてしまった次第でございます。

が、そのなにごとかもひとつの山は越えた感ございますので、
なんとかなるはやできっちり仕上げきれますように、引き続き頑張る所存です。

というわけで、今日は前置きも最小限に、
ネーム更新の紹介と、短いお話とにはいらせていただきます。

WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』のネーム。

今回からは

第30話「体験! レストラン列車」のシーン1からの掲載をすすめさせていただきます

ネーム本編はメンバーシップ特典記事となってしまいますのですが、
全話のラスト部分を「アバンタイトル」としてどなたにも無償でお楽しみいただけるよう手配しておりますので、
よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

で、本日の短いお話は「遺品整理」としてみたく思います。

登場するレイルロオドは、ハチロク。
ハチロクと双鉄が住まう、「汰斗さんの部屋」の次の間である書庫。
そこを整理しようかどうかなぁ、というお話となります。

こちらもどなたにも無償でお読みいただけるお話となりますので、お時間あればどうぞです。

■ハチロク■


旧帝鉄8620形トップナンバー機 8620専用レイルロオド。
マスターである右田双鉄と相思相愛。
幸せな日々を重ね続けている。

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『ハチロクと書庫』


「お部屋のスペエスのお話なのですが」
「ああ」

ハチロクも僕も、物欲が極めて薄い方だ。

とはいえこれだけ仕事が立て込み多岐に渡ると、
持ち帰る書類や資料だけでも、部屋を埋め尽くさんばかりになる。

「ついついボヤいてしまったことを、真面目に考えてくれていたのか」

「それはもう。わたくしも同じく感じておりましたので」

物の量がかさみすぎると、整理整頓が付きづらくなる。

整理整頓が徹底されていない現況は――
なるほど、几帳面なハチロクには、間違いなく気障りであることだろう。

「となると、なにか解決案が?」

「はい。『双鉄さまの物』だと真闇様にご断言いただいております、このお部屋の『次の間』」

「汰斗さんの書庫か」

「あそこを綺麗にかたしてしまい、双鉄さまの書庫としてご利用されるのはいかがでしょうか?」

「ううむ――」

案として、僕も考えはしたことだ。

一時期ポーレットが日参し、それに赤井宮司まで加わるようになり、

あの二人+れいなニイロク、加えハチロクの手によって、
資料的・歴史的価値があるとされた文献は、全て寄贈・ないしは貸与済みとなっている。

「残っているのは無価値であるか、価値があれども簡単に再入手可能なものであるらしいが」

「そうしたものをまるっと古本屋さんが買い取ってくださる、『宅買い』という仕組みがあるそうです」

「ほう」

「稀咲様にご相談したら教えてくださいまして」

「ふぅむ。稀咲が紹介してくれる業者さんなら、間違いなく信頼できようが――
しかし、『僕の物』と言われていても、やはりこの蔵書は右田のものだ」

真闇姉に、日々姫に聞けば「好きにしてよかよ」という返事しかかえってこぬのもわかりきってはいることなのだが……

「売却するには、いささかの抵抗を覚えてしまう」

「でしたら」

「っ!?」

まっすぐ、ハチロクが僕を見る。
瞳に、普段にはない強い力が宿っている。

「『死蔵する』ことに、双鉄さまは抵抗を覚えられないのですか?」

「……確かに、僕がしていることは、死蔵か」

「物は、活用されてこその物なのです」

断定だ。
ハチロクには極めて珍しい。

「双鉄様に、ポーレット様に、赤井宮司に無価値であっても、
必ず誰か、今残っている蔵書を活用してくださる方はいらっしゃいます」

「だろうな」

で、なければ値がつかぬ。
値がつくのなら、それはいずれ、新しい持ち主のところにたどり着ける。

「自分が愛した本が再び、誰かに新たな知識を与える。
かくある方が汰斗様にも、きっとお喜びいただけるかと」

「……だろうな」

薄い記憶しか残っていない。
が、汰斗さんは間違いなくそういう人だ、

そうでなければ8620もハチロクも、僕も引き取られてはいないのだから。

「蔵書を売って――その売上は真闇姉と日々姫に還元すればよいか。
現金は受け取ってもらえぬであろうから、プレゼントなり、食事なりという形で」

「ああ! それはとても素敵なお考えでございますね。まさしく四方一両得の」

僕とハチロクは、まっさらに使える書庫を得る。
日々姫と真闇姉とは、リサーチ次第となってはくるが、欲しいなにかを手に入れる。
業者も無論、適正な利益を得るはずだ。

「……はて、あと一方は」

「双鉄さまがお見落としになられているのは、恐らく、本かと」

「ああ!」

言われればすぐに腑に落ちる。

「なるほど、本も――本たちも、新たな活躍の場へと旅立つ」

「左様でございます」

「であれば、動かぬことが罪だな!」

動く。動かす。
ああ、そうか。遺品整理というものは――

「思い出を、誰かの”今”へと動かすことか」

;おしまい

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いかがでしょうか?

ハチロクと双鉄の新しい”今”を描いていく物語となるWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』の過去話。

どなたにも無償でご確認いただける0~7話はこちらで

それ以降のまとめはメンバーシップ特典で

それぞれお読みいただけますので、よろしければどうぞご笑覧いただけますと幸いです。

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どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。

【製品版 WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』のご案内

本noteでネーム連載をしております『レヱル・ロマネスク0』の完成品は、
WEBTOON版『レヱル・ロマネスク』として順次リリースされております。

よろしければこちらもぜひご覧ください。

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